ミリタリー、トラベル、ロックンロール、写真といったカルチャーを背景に、ストリート・ブランドの新しい可能性を打ち出しているが、そこには、メディアやハイプを信用せず、自ら旅に出て、自分の道を歩いて、既成概念やカテゴライズなしに本当の世界を見たいという、Mei Yongの思いも込められている。
これまでに、チベット、雲南省(ともに中国)、キューバ、ネパール、ロシア、ドイツ、アメリカ、メキシコ、バングラデシュ、バリ島(インドネシア)、モロッコといった世界の様々な国と地域を旅してきたが、18シーズン目となる2026年春夏シーズンの旅先には、トルコの首都であり、アジアとヨーロッパが交差するインターナショナルな大都市、イスタンブールが選ばれた。
Photography: Mei Yong
今シーズンの旅先であるイスタンブール
SiiiCK 今シーズンの旅先としてイスタンブールを選んだ理由は?
Mei Yong 元々トルコという国はあまり知らなかったというのがあって。今まで10何ヶ国か行ってきて、どこの国に行った時も、その国は自分らが世界の中心だと思ってるんですよね。だから、日本に住んでる僕らが見てる世界地図と違って、その国の世界地図は自分らの国が真ん中にあるんです。前回行ったモロッコでもそうで、日本は地図の端っこにあるんですよ。それで、あまり意識したことはなかったんだけど、今までドイツ、フランス、モロッコに行った時、どれもイスタンブールで乗り継ぎだったんですよ。実は、トルコに行くのは今回で4回目で、そのうち3回は空港から出てないんです。しかもあの空港はデカくて、免税店にしても、何にしても、超ゴージャスで。何でこの国はこんなにスゴいんやろなって、まずそこの印象があったんですよ。トルコでの乗り継ぎは6時間ぐらいあるから、ブラブラするじゃないですか。そこで世界地図を見ると、イスタンブールが世界の中心になってる。しかも、いろんな国の飛行機が乗り継いだりするから、こんなにインターナショナルな感じの空港って、今まで見たことがないと思ったんですよ。香港もハブ空港でデカいけど、イスタンブールの空港の方が全然大きかったんです。その後、昔、ヨーロッパの歴史の本を読んだことを思い出して、その中で印象に残っていた、ナポレオンの「もし世界が一つの国であったなら、その首都はイスタンブールである」という発言があったんですよ。それを思い出した時に、もしかしたらあそこが世界の中心じゃないの?って思ったんです。モロッコに行った時も一回そこを通ってるので、じゃあ一回イスタンブールに行きたいなと思ったのが、今回のきっかけなんですよ。イスラム系の国で言ったら、一つ目はバングラディシュ、二つ目はモロッコで、今回のトルコで三つ目なんです。元々イスラムに対する知識はなかったから、バングラディシュに行った時は、人の素朴さに感動させられたし、モロッコに行った時は、人も良かったし、安全な国という印象もあったし、最後の3日間でラマダンも経験したんです。イスタンブールは世界のハブにあるから、そこはどうなんだろうな?っていう興味がありましたね。しかも、旅を重ねていくと変わってくる部分もあって。日本に住んでるから、以前は、どこかの地域に旅で行く時は日本と比べるんですよ。それが10ヶ国を超えてから、ドイツに行くとロサンゼルスと比べてしまう。そういう風に変わってきてるんですよ。だから今回イスタンブールに行った時に、バングラディシュ、モロッコ、トルコと、同じイスラム教の国で何が違うんやろなという部分も、実はあったんですよね。
SiiiCK イスタンブールで特に見たかったものはありますか?
Mei Yong 本でいろいろ見た時に、イスタンブールは世界の首都という印象が一番強くて。今までは、例えばモロッコだと、国が小さいから国のほぼ3分の2を回ったんですけど、トルコは大きいので、イスタンブールという一つの世界的な大都会にフォーカスしようかなと思いましたね。しかも、一部がヨーロッパ、一部がアジアで、間に海峡を挟んでるというところに、一番興味があったんですよ。そういう街は初めてで、アジアの国の一部にヨーロッパがあるというのが不思議な感じで。海峡しか挟んでない、そのヨーロッパの部分とアジアの部分で、どんだけ違うんや?っていうのも見たかったんです。

SiiiCK 実際に行ってみて、何が印象に残りました?
Mei Yong イスタンブールはスゴく国際化したイスラム系の街だなって感じましたね。約2週間行ったんですけど、空港からはタクシーにしか乗らなかったんですよ。それ以外はすべて電車でした。システムが発達してて、クレジットカードでピッと入れてしまう。スゴく便利で、いろんな路線があるけど、複雑ではないんです。地下1階か路面にあって、地域から地域へは全部電車で行けるんです。きれいだし、乗りやすいし、誰とも交流することなく行けるんです。イスタンブールの人は、外国人を見ても何も思ってないし、慣れてるんですよね。インターナショナルな感じがスゴくあったんですよ。僕らはヨーロッパの方に泊まったんですけど、アジアの方よりも逆にヨーロッパの方が有名なモスクが何個もあるんです。僕らも半分以上を見学しに行ったんですけど、びっくりしたことがあって。どデカいモスクで、みんなは1階でお祈りをしてるんですけど、僕らは入れなくて。観光客は2階にしか行けないんです。雰囲気がスゴく良くて、上に暖簾のようなものが飾られてるんですけど、その裏を見たらイエス・キリストと聖母マリアがあるんですよ。あと、ステンドグラスの跡もありました。きっと今のモスクはキリスト教会やったと思うんです。ということは、何百年前、何千年前かは知らないけど、宗教の交差点はそこやなと思ったんですよ。

アジアとヨーロッパが交差する街
SiiiCK イスタンブールは昔、東ローマ帝国の首都、コンスタンティノープルで、正教会の中心地ですからね。
Mei Yong 壁画にイエス・キリストと聖母マリアが残ってるんですけど、きれいに残ってるわけでもないし、それを潰そうともしてないんです。それを見た時に、昔、雲南省に行った時に、同じ街にキリスト教も仏教もあるのを思い出したんですよ。ここは昔、戦争があったかもしれないけど、今は共存してるような感じするんですよね。そうじゃないと絶対に消すはずなんです。でも、消されてなくて、布で隠したりしてる。それがスゴい不思議な感じやったんですよね。あと、もう一つ不思議なのは、ヨーロッパの方からアジアの方には船で20~30分で行けるんですけど、アジアの方が街並みとかレストランは、ヨーロッパ側以上にヨーロッパ的なんですよ。ヨーロッパの方がイスラム教の聖地があるし、保守的なんですよね。アジアの方がカルチャーが強くて、グラフィティも多いし、おしゃれなレストランも多い。アジアの方には、刺青を入れたロック系の人もいっぱいおって。アジアと言っても、僕らの思ってるアジアではないんですけど。だから、想像してたのとは逆になってるんですよね。
SiiiCK アジアとヨーロッパの文化がミックスしている感じはありました?
Mei Yong ありましたね。でも、思ったよりもケバブはなかった(笑)。ベルリンに行った時も、トルコ人が集まるところはケバブだらけだったんですけど、以外と少ないんです。いつも新しい地域に行くと緊張感があるんですけど、イスタンブールに行った時は、2日目から緊張感がなくなりましたね。誰も俺のことを気にしてないし、俺も別に何もプレッシャーを感じてない。そのぐらい居心地が良いところでしたね。モロッコに行った時は、毎日タジン鍋だったんですけど、イスタンブールの街には高級な店から現地の店までいろんなダイナーがあって、むちゃくちゃ美味しかった。とにかく歩き回ったんですけど、坂が多いから、身体が鍛えられた感じですね。ヨーロッパの方には海岸沿いに特別区があるんですけど、そこには高級ブランドや有名なレストランが入ってて、そこはどこの国でも同じ感じで。イスタンブールはインターナショナルなんだけど、独特な感じで。どこともつながってなくて、「我々は大国ですよ」みたいな感じがするんですよね。
SiiiCK 元はオスマン帝国ですからね。
Mei Yong 今までテレビのニュースで観た時、いつもトルコの大統領って強気でものを発言してるイメージだけど、トルコに行ってわかったんですよ。国の強さを感じるんですよね。警察官にしても、みんな温和で。モロッコに行った時は、私服警察につけられたり、ドローンで撮影してると注意されたりするんですよ。でも、イスタンブールではマイルドなんですよ。「これ、おまえらのドローンでしょ。ここはダメだよ」で終わり。それ以上はないねん。それで、繁華街にある、有名な長い商店街には軍隊がデモンストレーションでおったりするねん。兵隊も自信に溢れてるのが印象的でしたね。アグレッシヴな感じは一切せんかったね。街にいるイスラム系の人たちの中には、全身真っ黒で目しか出さない人らもいれば、普通に頭に布を巻いてるだけの人もいる。いろいろ混ざってるんですよ。そういう意味での自由はある感じがしましたね。
SiiiCK イスタンブールで出会った人たちの中で、印象的だった人は?
Mei Yong 釣りしてるおじいちゃんとか(笑)。デカい橋があって、みんなそこで釣りをしてるんですよ。現地の風物詩みたいな感じで。みんなけっこう釣れてるんですよ。あともう一つは、猫に対する異常の愛ですね。

SiiiCK えっ?!
Mei Yong 猫の街なんですよ(笑)。猫だらけなんですよ。猫に対してあんな優しい街って初めてやなと思って。ところどころに猫の餌用のものを置いてて、みんなそこに餌を入れていくんですよ。デカい猫が偉そうにしてるもん。しかも、いっぱいおんねん。だから今季のグラフィックでも影響されて、音楽をやってる猫のグラフィックを出してますよ。でも、何で猫なの?って(笑)。犬もおるけど、少ないんです。







2026年春夏コレクション
SiiiCK 今シーズンのアイテムには、イスタンブールのどのような要素を落とし込んでいますか?
Mei Yong 今季のテーマの言葉は特にないんですけど、現地のローカルの要素を取り込んだグラフィックはけっこう上手く出来てますね。さっきも話した、ステンドグラスが印象的だったので、ステンドグラスの中にブランドのアイコンである折り鶴を入れてます。釣りのグラフィックでは、ある映画の題名でもあるんですけど、「Catch Me If You Can」と入れてて。ハブ空港も何度も通ってるので、「LIBERAIDERS AIRLINES」のグラフィックも作りました。イスタンブールにはとにかくいろんな国の飛行機が止まってるんですよ。特に、アフリカ系の飛行機とか見ることがないから、けっこう不思議な感じやったんですよね。そこにLiberaiders航空の飛行機があっても、誰もおかしいと思わへんなって感じなんですよ。あと、ケバブのグラフィックとか、手描きのモスクのグラフィックとか、ドローンで撮った写真を使ったフォトプリント・アイテムもあります。イスタンブールで実際に見たものをフェスのポスターのように描いたグラフィックもあります。イスタンブールでは、けっこうメタル系のフェスをやってるんですよ。今回トルコに行ってみて、自分の中では一つ世界的な大国を訪問した感じがすんねんな。今まで行ったのは小さい国が多かったから、今回はメジャーな国中の一つに行けたなと思ってて。トルコにはむちゃくちゃデカくて、地中海気候のところもあるし、砂漠もあるし、熱気球の有名なところもあるし、いろんな景色があるんです。あと、トルコ航空は世界で一番安全なエアラインらしいくて。機内食も美味しくて、帽子をかぶったシェフが出てきたんですよ。
SiiiCK 今シーズンはコラボレーションもいくつか発表しますよね。
Mei Yong 3月にコラボではないけど、New BalanceのSMUで、Designed by Liberaiders®︎の型が出るんですよ。6月にはVANSとの4回目のコラボを予定しています。NEW ERAとのコラボもあります。コラボに関してはそこまで考えてなくて、その時のタイミングで合うもの、自分らもやりたいものを、楽しみながらやってる感じですね。
SiiiCK 18シーズン続けてきた今、改めてLiberaiders®︎とは、Meiさんにとってどのようなブランドですか?
Mei Yong 元々、今までに好きだったことを一回表現しようと思ってスタートしたブランドやねんけど、まさか18シーズン続けられるとは思ってなかったんです。でも、思ってなかったからこそ、続けられたのかなとも思うんです。コロナ禍の時はスゴい悩んでて、このコンセプトでは世界に行けないし、日本からも出れなくて。その時は3シーズン、国内をテーマにしたんですよね。後で考えたら、それもそれで、神様からこうしろと言われたみたいな感じがして。何かね、このコンセプトである以上は、とにかく自分から出かけて世界を見ることにしてて。僕個人としてはそれがもう最高なんですよ。普通の旅行では見れない風景を、ブランドを通して見れてる部分はスゴい大きくて。ブランドじゃなかったら、バングラデシュに行こうかとか、モロッコに行こうかとか、自分からは思わない可能性が大きいかなと思ってて。だからこそ、居心地のいい、条件の良い国には、逆に刺激を感じなくて。だから、今まで行った国には先進国が少ないんですよ。日本は先進国だから、正直、NYに行っても、違和感はそこまでないんですよね。人種、建物の形、値段とかが違うだけで、そんなに海外だとは感じないんですよ。でも今までに行った国では、スゴい生きてる感じがするんですよ。日本は島国なので、みんなには海外に出て行ってほしいと思いますね。何でもそうですけど、程度がわかれば上手くやれるじゃないですか。特に若い子は、日本の程度をわかってても、世界の程度はわからないから、行けば行くほど自分の程度が良くなるはずやから。程度がわかってる人が国際人って言われると思うんですよね。国際人というのは、海外の言葉ができるとか、そういう意味ではないんですよ。言葉を訳すだけやったら、ChatGPTで充分だから。あと、海外ではSNSに時間を取られることがないし、自分のペースでものを見れるから。TikTokとは違って、自分で見ようと思ったものだけを見れるんですよ。

ブランド・ディレクター Mei Yong

Liberaiders®︎ Spring Summer 2026

DENIM WORK JACKET
¥38,500
ほど良いスラブ感の11ozのデニムを使用したワークジャケット。衿には春夏シーズンに適したライトなシャツコールを採用。左胸、背面には架空の航空会社【LIBERAIDERS AIR】のワッペン。右胸には缶バッジが付く

NYLON AWARD JACKET
¥30,800
少し光沢のあるナイロンサテン生地を使用したスタジャン。左胸にはLとRの組み文字ロゴ、背中にはDESTINATION UNKNOWNがパッチワークにて施されている。右袖には大きめのアワードワッペン。裏は薄手の裏地が付く

PATCHWORK BDU SHIRT
¥28,600
マルチな生地をパッチワークにしたBDUシャツ。ツイル、綿サテン、ブロークンツイル、ヘリンボーン生地をリメイク風にパッチワーク。縫製後にヴィンテージ加工、ペンキ飛ばし加工を入れている

LIFE L/S TEE
¥17,600
今シーズンより導入された【Special edition】シリーズのL/S TEE。ディレクターのMei Yongが追い求めるヴィンテージ感溢れるエイジング加工が施された逸品。5.6ozのライトなボディに、フロントにはボディと相性の良いひび割れプリントでメッセージがプリント

DIGITAL LOGO RAYON S/S SHIRT
¥19,800
夏に快適に着用できる中肉のレーヨンエットを仕様した開襟半袖シャツ。全体にLIBERAIDERSとDESTINATION UNKNOWNのデジタル文字が交差してプリントされている。フロントはLiberaidersの刻印ボタンを使用

FADED PUNK LOGO TEE
¥15,400
今シーズンよりコレクションに加わる【Special edition】シリーズのL/S TEE。通常ラインより一層、本物のヴィンテージを追求したこだわりのシリーズ。細部にエイジング加工が施された逸品。5.6ozのライトなボディに、フロントにはボディと相性の良いひび割れプリントでメッセージがプリント。イギリスの伝説的パンクバンドの名盤のジャケットデザインにオマージュを捧げた一枚。フロントに掲げた「NEVER MIND WHEREVER YOU GO, ALWAYS WITH LIBERAIDERS」というメッセージには、「どこへ行こうとも、何が起ころうとも、自分の信じるスタイルと仲間を忘れるな」という意味が込められている

CATCH ME IF YOU CAN TEE
¥9,350
6.2ozの天竺を使用したS/S TEE。ワンウォッシュ加工。某映画にかけたメッセージと魚のグラフィックがプリントされている。イスタンブール旧市街と新市街を結ぶガラタ橋が釣りのメッカとなっており、名物サバサンドにちなんで、サバがプリントされている

STAINED GLASS TEE
¥8,800
6.2ozの天竺を使用したS/S TEE。ワンウォッシュ加工。ステンドグラスと折り鶴を融合させたグラフィック。イスタンブールのブルーモスクにはキリスト教化が垣間見えるステンドグラスがあり、それに着想を得たグラフィックとなっている

FADED AIRLINE CAP
¥9,900
ヴィンテージ加工を施したツイル6パネルキャップ。ダメージ加工や、日焼け加工が入ったボディに、架空のLiberaiders airlinesの刺繍が入る
※ホワイトは汚し加工が入る
ニュートロン
TEL: 03-5785-4672
https://www.liberaiders-store.jp
Instagram: @liberaiders
YouTube: @liberaiders2036
SiiiCK Official
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