フロリダ州ジャクソンヴィル出身、1997年結成のこのバンドは、ポップパンク全盛期にバイオリンをフィーチャーしたオリジナルの音楽性で人気を博し、2003年のアルバム『Ocean Avenue』で大ブレイク、2004年には初来日もしている。2017年のワールド・ツアーをもって解散するが、2022年にシカゴで行われた5万人規模の人気フェス、Riot Festで復活。2025年3月30・31日のPUNKSPRINGでは、8年振りの来日も果たしている。最近では、ブリンク182のトラヴィス・バーカーが、一緒にスタジオ入りした写真をインスタグラムでアップしたことで話題になっていたが、遂にニュー・アルバム『Better Days』を完成させ、アルバム先行曲「Better Days」もリリースされることとなった。この新作ではトラヴィス・バーカーがプロデュースを担当し、全トラックでドラムを演奏しているという。ライアン・キー(ヴォーカル、ギター)とショーン・マッキン(バイオリン、ヴォーカル)に、PUNKSPRINGでの来日時にインタビューを行った。
Photography: Joe Brady
バンドにとって特別な場所である日本
SiiiCK 日本に戻ってきた気分はどうですか?
ライアン 4日しかいないから、滞在が短すぎるね。
ショーン 最高だよ。ライアンはまた戻ってくるんじゃない?
ライアン 2週間後に戻ってくる。今日のステージでも話したんだけど、アメリカ以外で初めてライヴをやったのは日本なんだ。だから日本はずっと特別な場所だし、スゴくつながりを感じてる。大好きな場所だから、もっと日本のことを知りたいんだよね。初期の頃はアルバムを出すたびに日本にライヴで来てたけど、最近は状況が変わって、海外のバンドは前ほど日本に来れなくなった。でもあまり来れなくなると、余計に日本のことが好きになるし、もっと知りたくなる。だから僕個人としては、ツアー以外でも何度も日本に来てるし、いろいろ経験してるんだ。今回の来日は僕個人としては5年振りで、2020年2月のちょうどコロナ禍直前に、バケーションで来たんだよ。
ショーン 僕は8年振りだね。
SiiiCK 初来日の時のことは覚えています? その時の観客のリアクションとか、日本で感じたカルチャーショックについてはどうでした?
ライアン 初めてどこかに行く時って、ありきたりのことをたくさん聞かされるんだけど、信じられなかったりするよね。でも、渋谷のど真ん中に立った時は言葉にならなかったよ。23歳の若造にとっては強烈だったんだ。
ショーン 僕は日本人とのミックスで、僕の母親は大阪の郊外で生まれてる。いつもずっと疑問に思ってたのは、何故母はあれほど礼儀にうるさくて、僕に厳しかったんだろう?ということだった。それで初めて日本に来て、イエローカードがいかに野蛮なのかを見た時に、やっと理解できたんだよね(笑)。
全員 爆笑
ショーン 僕らは若くてアメリカ人だから。
ライアン でもこれは言わせてよ。アメリカだけじゃなく、日本にだってパーティのカルチャーがあるじゃない? それで23歳の僕は日本で最高に楽しめたんだ。でも同時に、同じくらいの思いやりとリスペクトがあったのには驚かされたね。
ショーン 僕自身は家庭でのしつけが厳しくて、それでバイオリンも習ってたくらいだけど。
ライアン 僕たちは幼馴染と始めたガレージ・バンドなんだ。そんな僕たちが生まれ育って、バンドを始めた地元から遠く離れたところに来たわけだ。初めて飛行機から降りて、日本に着いて、最初のライヴをやった時に、日本の観客はスゴい盛り上がってくれたんだよ。あれはワイルドな体験だったね。とにかくお客さんからもらうエネルギーがハンパなかったんだ。ツアーに出ると、確実に盛り上がる特別な街っていくつかあるんだけど、日本の場合、毎晩、どのショーも特別だった。最初のツアーは忘れられない経験になったね。
ショーン とにかくワクワクしてたね。僕たち自身、イエローカードがあれほど受け入れられるとは思ってなかったから。
ライアン 今日のステージでも起きたことだけど、演奏が始まって、ドラムのビートが始まると、お客さんが、「ヘイ! ヘイ!」って叫び始めるんだ。誰かに強制されたわけでもなく、ごく自然に始まって、エネルギーとパッションが爆発するんだ。僕たちのライヴは小さなクラブから始まってる。だからライヴでは僕たちのパーティ精神が爆発するんだ。最高にハイテンションで、興奮するし、アドレナリンが出まくるんだ。
ショーン それで夜まで盛り上がるんだ。
ライアン だから、文字通り冒険の連続だったね。
SiiiCK それで、こうして今もイエローカードでライヴができて、ファンもめちゃくちゃ盛り上がるわけだから、素晴らしいことじゃないですか。
ライアン 2017年に解散した時は、再びこうして音楽をやれるとは思ってなかったからね。今僕たちに与えられてるチャンスは本当に特別なものだと思ってる。これはいつ失われてもおかしくないと自覚してるから、一瞬一瞬を大切にプレイしたいんだ。2017年にイエローカードを失った時は、永遠に失われたと思ったからね。今こうしてやれてるのは素晴らしいことだし、日本にも来たくて、この3年間何度もツアーで来ようとトライしてきたんだ。ずっと全米、ヨーロッパと世界をツアーで回ってきたから、日本にもちゃんとしたツアーで行きたかった。それで今回のPUNKSPRINGで、ようやく日本でのライヴが形になったんだ。バンドの復活後、ずっと日本に来れなくて本当に残念だったからね。今後も何度も日本に来れるように頑張りたいよ。
左から、ショーン・マッキン(バイオリン、ヴォーカル)、ライアン・キー(ヴォーカル、ギター)
©PUNKSPRING All Rights Reserved.
新曲「Better Days」とニュー・アルバムへの期待
SiiiCK 今日のライヴでは新曲「Better Days」をプレイしましたよね。トラヴィス・バーカーがインスタグラムに投稿したのが話題になっていますが、ニュー・アルバムを作っているんですよね。
ライアン トラヴィスが投稿するとは思わなかったんだけどね。秘密にしておこうと思ったし、僕たちは口が固かったんだけど。
ショーン ずっと『Ocean Avenue』の20周年をお祝いしてる感じだったから。
ライアン もちろん何も隠すことはないんだけどね。リリース日も決まってないし、すべてがまだ未確定のままだから。でも今は世界中の人たちが僕たちがアルバム制作を始めたことを知ってる。そのことについてはワクワクしかないよ。すべてはもうすぐ形になると思うから。
ショーン めちゃめちゃ良い曲があるんだ。
SiiiCK 「Better Days」もトラヴィスとの制作の中から生まれたものですか?
ライアン そうだよ。去年の10月に出来た曲なんだ。
「Better Days」
SiiiCK 現時点でニュー・アルバムについて話せることはありますか?
ライアン ニュー・アルバムは『Ocean Avenue』以来の最高の興奮を、間違いなくファンに届けられると思うね。今言えるのはそれだけかな。
SiiiCK ちなみに、イエローカードが再結成することになったのは、2022年のRiot Festがきっかけですか?
ショーン そうだね。
ライアン あれがすべてのきっかけになった。
SiiiCK Riot Fest以降はどういう流れになったのですか? 元々はRiot Fest出演のための一回限りの再結成だったのですか?
ライアン みたいな感じかな。試しにやってみた感じかもしれない。
ショーン 2017年に解散した時は、誰もイエローカードを見向きもしなかったから。
ライアン 誰もじゃないけど。
ショーン 応援してくれたファンには感謝しかないけど、もはや自分たちの音楽をサポートできなくなってたんだ。そういう気持ちもあって、すべてが終わった感じがしたんだ。しかもドラマチックな感じでもなかった。だから、二度とないだろうと思ってたんだ。Riot Festに出演した時は、ちょうど『Ocean Avenue』の20周年が近づいてた。だけど僕としては、誰がイエローカードのことを覚えてるんだろう?って不安だったんだ。しかもRiot Festは超大型フェスだから。
ライアン あのショーのことは覚えてないな。スゴすぎたから。
ショーン 会場はフィールドがどこまでも広がってて、観客で埋め尽くされてるんだ。あれは夢を見てるみたいだったね。イエローカードはこれほどまで愛されてたのか?!って、ライブ中はずっと思ってたよ。だから衝撃に近かかったね。あの感覚はしばらく味わってなかったものだから。あの瞬間がすべての始まりになったと思うね。
ライアン 『Ocean Avenue』の1曲目から最後の13曲目まで、アルバムの順番通りにプレイしたのは覚えてるよ。アンコールではさらに4~5曲プレイした。でも、13曲をプレイし終えて、ステージ脇に移動した時、何を演奏してたのか覚えてなかったんだ。でもそこで振り切って、アンコールをやらなきゃってなったんだ。それでライヴは終わりになるからね。
ショーン その時の僕たちはRiot Fest以外は何の予定もなかったから、もう終わってしまうんだという感覚しかなくて。だったらこの瞬間を受け止めようと思ったんだ。こんなことは二度と起こらないと思ったからね。
SiiiCK アメリカのRolling Stoneの記事では、「イエローカードが突如として再ブレイク! 本人たちも理由がわからない」という見出しがついていましたが、自分たちとしては理由がわからないのですか?
ライアン わからないね。
ショーン 君にはわかる?(笑)
ライアン 2023年の夏にやった全米ツアーは、僕たちのキャリアの中で過去最大のツアーになった。20年前の2003年、僕たちは1週間で3万枚のレコードをセールスして、ラジオのトップ40に15枚のシングルを送り込むという快挙を成し遂げた。でも2023年のツアーは20年前のツアーの倍の規模になった。だから、どうしてこんなことが起こるんだ?!って感じなんだ(笑)。
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自分たち世代の音楽の追求とバイオリンを取り入れた背景
SiiiCK 二人はパンク・ロックも含めて、様々な音楽に影響を受けてきたと思いますが、自分たちが影響を受けた前の世代の音楽を踏まえた上で、自分たち、あるいは自分たち世代としては、どのようなオリジナルの音楽を追求しましたか?
ライアン バンドを始めた時は本当にいろいろなところから影響を受けたよ。しかもメンバー一人ひとりがそれぞれ違う音楽のバックグラウンドを持ってる。2001年当時、自分のCDコレクションとメンバーのCDコレクションは当然違ってた。同時に、メンバーみんなに共通してるCDコレクションもあった。僕たちが多大な影響を受けたのは、’90年代半ばから後期にかけてのパンク・シーンで、No Use For A Name、Lagwagon、NOFXといったバンドを聴いてたし、すでにゴッドファーザー的な存在だったバッド・レリジョンも聴いてた。それで’90年代後半にはWarped Tourの影響で、そのシーンの音楽が爆発的に広がったんだ。今、僕が「音楽」と言ったのは、イエローカードは必ずしも “パンク・ロック・バンド” だったわけではないからで。僕たちはアナーキーじゃないし、権力や体制に対するアンチもなかった。それでも音楽的にはパンク・バンドから多大な影響を受けてる。それを聴いて育ったわけだからね。そこで僕たちはみんなで一緒に音楽を作る意識を共有できたんだと思う。その中から自分たちのサウンドを見つけていったのがイエローカードになったと思うんだ。
ショーン 僕たちが最初にインディーズで出したアルバムは、フレッチャーのスタジオで制作したんだ。今日のPUNKSPRINGはペニーワイズ、バッド・レリジョンとの共演だから、当時のWarped Tourのことも思い出すし、スゴく一周したような感覚になったんだよね。僕たちのDNAの中にあるものだし、僕たちの青春でもあるから。
SiiiCK イエローカードが出てきた時、パンクのサウンドの中にバイオリンをフィーチャーしたのは斬新でしたが、何故バイオリンを入れたのですか?
ショーン 同じ学校に通ってたんだよ。僕はハイスクールでバイオリンを弾いてた。最初のヴォーカルとは同じカレッジに通ってたんだ。
ライアン アメリカにはマグネットスクールというのがあってね。普通のハイスクールだと3000~5000人の学生がいて、バスケットボール部とか野球部とかがあるんだけど、マグネットスクールは特定の分野に特化したカリキュラムを提供する学校なんだ。僕たちはジャクソンヴィルにあるDouglas Anderson School of the Artsというマグネットスクールに通ってた。そこでは、ダンス、ビジュアルアーツ、ジャズといったいろんな分野があった。バイオリニストがパンク・バンドに入るっていうのは、そういう環境のおかげかも知れないね。学校の授業が終わった後、友達とハングアウトするんだけど、そこでバンドの練習に付き合った時に、バイオリンを持ってるわけだから、みんなでジャムってもいいじゃんってなるよね。僕たちが受けた教育はお互いをサポートする環境だったし、スゴくクリエイティヴな環境だったから、そこから大きなインスピレーションをもらえたと思うんだ。先生たちも常に、「境界線を超えて、新しいことをやるんだ」って言ってたからね。
ショーン 僕は学校ではオーケストラで演奏してんだたけど、パンクの曲も聴いてた。だから一緒にジャムした時は楽しかったんだよね。
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「Better Days」
2025年5月28日リリース。「honestly i.」も同時リリース
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『Better Days』
(Better Noise Music)
ニュー・アルバム。2025年10月10日リリース
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