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MOBB DEEP プロディジーの早すぎる死から8年。ハヴォックが語る、モブ・ディープの最終章『Infinite』

1990年に結成されたモブ・ディープは、NY・クイーンズブリッジ出身のプロディジーとハヴォックによるヒップホップ・デュオ。

’90年代NYハードコア・ヒップホップのパイオニアの一つとして、『The Infamous』(1995年)、『Hell on Earth』(1996年)、『Murda Muzik』(1999年)などの代表作を世に送り出してきた。

2017年、プロディジーは42歳の若さでこの世を去った。あれから8年、相棒のハヴォックが、前作から17年ぶりとなる、モブ・ディープの9作目にして最後のアルバム『Infinite』を完成させた。プロディジーの未発表ヴァースと、ハヴォック&アルケミストによるプロダクションが融合した本作は、デュオの絶妙なコンビネーションを見事に再現しながらも、彼らのレガシーを新たな形で更新する、時代を超えた作品となっている。

『Infinite』は、Mass Appealによる「Legend Has It」キャンペーンの第4弾としてのリリース。スリック・リック、レイクォン、ゴーストフェイス・キラー、ビッグ・L、デ・ラ・ソウル、NAS/DJプレミアとともに、7組のレジェンドたちによる新作リリースを祝う企画の一環でもある。

今回、ハヴォックにその想いを語ってもらった。



Interview and Text: Toshiya Ohno

Photography: Danny Hastings


写真:左から、プロディジー、ハヴォック



’90年代に新世代として登場したモブ・ディープのオリジナリティ


SiiiCK 実は1993年、当時やっていた雑誌で、NYであなたにインタビューをしたことがあるんですよ。


ハヴォック マジで?!


SiiiCK 日本の若いダンサーたち、ZOOがヒップホップ・アーティストにインタビューをするという企画だったんです。その時の記事を見せますね。この時、もう一人のアーティストとしてレッドマンも取材しているんです。


ハヴォック これはクレイジーだな(笑)。


SiiiCK ちょうどデビューアルバム『Juvenile Hell』を出して、「Peer Pressure」がヒットした時ですね。MVではプロディジーがドゥーラグをかぶっているんですけど、当時はまだドゥーラグが珍しいから、「何故ストッキングをかぶっているの?」っていう質問をしているんです。


ハヴォック (爆笑)今じゃ誰もがかぶってるけどね。


SiiiCK この記事であなたは「Run-D.M.C.とかLL・クール・Jから影響を受けた」と話していて、同時に、「レッドマンのようなハードコア・ヒップホップも出てきて、ヒップホップはスゴく早く成長している」とも話しているんです。当時は本当に新しい時代の始まりだったと思うのですが、Run-D.M.C.とかLL・クール・Jを聴いてきた中から、どのようにしてあのモブ・ディープの独自のスタイルが出てきたのですか?


ハヴォック 当時、ハードコア・ヒップホップはめちゃくちゃ新しかったからね。俺たちはとにかく他とは違う存在になりたかったんだよ。しかも地元ではいろんなことが起きてて、暴力も多かったし、ドラッグも蔓延してた。でもそのことを声を大にして言うヤツはいなかったんだ。だから俺たちはそのことを言いたかった。今まで血はやり方を変えて、俺たちが住んでた地元の問題を人々に伝えたり、気づかせたりしたかった。そういう意識を持ってやってた。


SiiiCK しかもリリックだけでなく、サウンドも新しかったんですよね。


ハヴォック 俺たちは新しい世代だったからね。新しい世代が登場する時は必ず前の世代とは違うサウンドを打ち出すものなんだ。


SiiiCK モブ・ディープのビートは、ソウルフルなのに不穏で荒々しくて、サウンドのレイヤーも独特で、他のビートとは全く異なるものだったんですよね。


ハヴォック そうだね。俺たちが目指してたのはダークなサウンドだから。地元の空気を感じさせる音を作りたかったんだ。だからサンプリングする音も他とは違うものにした。基本、ヒップホップはサンプリングが重要だからね。だからざらついた泥臭いサウンドをサンプリングしたんだ。


SiiiCK 当時、日本でモブ・ディープを聴いていた人たちは、あなたたちの地元のクイーンズブリッジに行ったこともないんだけれど、モブ・ディープの曲を聴くことによって、クイーンズブリッジを頭の中で描いていました。でも、そこにはどこの街の出身とか、いつの時代とか、そういう違いを超えた、何か普遍的なものも感じていたと思うんです。


ハヴォック まさにそれが俺たちが当時作ってた音楽なんだ。作ってた当時は、まさか時代を超えるものになるなんて思ってもなかったけどね。でも人間の経験っていうのは普遍的なものだし、時代は関係ないんだ。だから、同じ地元じゃなくても、どこの出身とか関係なく、みんなが共感できるものなんだ。誰かが苦しい状況にある時の気持ちは、みんなが理解できるものだから。


SiiiCK しかも、『The Infamous』をリリースしてから30年も経つんですね。


ハヴォック そう、30年だ。信じられないよな。でも俺たちは今も音楽を作り続けてる。


SiiiCK 『The Infamous』は本当にラフで、生々しくて、ストリートそのものでしたが、大ヒットしましたよね。当時はそれがスゴいことだと思っていたのですが、「ストリート」と「メインストリーム」の間のバランスはどのように考えていたのですか?


ハヴォック そうだね。まず俺たちはメインストリームじゃないんだよ。だけど俺たちのメッセージは、多くの人たちが理解、共感できるものだ。人は自然とそういうものに引き寄せられるんだ。


SiiiCK 『The Infamous』では、Q-Tipがプロダクションでもラップでも参加していますが、Q-Tipは最初にモブ・ディープに手を差し伸べたラッパーなんですよね。


ハヴォック Q-Tipとは10代の時に出会ってるんだ。当時、契約してくれるレーベルを探してたんだけど、誰も聴いてくれなかった。だからレコード会社の前で待ち構えてたんだよ。出入りする人たちに、「聴いてください」ってデモを渡してたんだ。その中でQ-Tipだけが、初めて俺たちの音をちゃんと聴いてくれた人だった。聴いた後に、「Yo、おまえらのこと気に入ったよ」って言ってくれてさ。あの時のことは一生忘れないよ。Q-Tipも俺たちのことを覚えててくれたんだ。何年か経って、『The Infamous』を作るタイミングになった時、Q-Tipに「手伝ってくれないか?」って頼んだら、彼はすぐに「もちろん!」って言ってくれたんだ。彼は本当に兄貴分みたいな存在だよ。スタジオに来てくれて、ビートの作り方をもっと良くする方法を教えてくれたし、実際にいくつかのビートもくれたんだ。Q-Tipにはマジで敬意を込めて言いたいよ。「愛してるよ」って。


SiiiCK Q-Tipからもらったインスピレーションは?


ハヴォック インスピレーションはたくさんもらえたね。まず、Q-Tipはスゴいレコードコレクターなんだ。レコードを掘ることへの情熱も、彼と一緒にいることでさらに強くなった。本当に最高の時間だったよ。俺も次回日本に行くことになったら、毎日レコード店を回りたいね。


SiiiCK 当時はどのようにビートを作っていたのですか? 「Shook Ones, Pt. II」には、ガスコンロの音がサンプリングで入っているという噂もありましたよね。


ハヴォック (爆笑)それはね、ずっと噂になってたよ。「本当にコンロの音なのか?」とか、「本当はコンロの音じゃない」とか。俺はいつもこう言ってたよ。「ああ、コンロをサンプリングしたよ」ってね。だって、あのパチパチいう音、本当にコンロを点ける音みたいに聞こえるからね。しかもMVにもコンロの映像を入れたから、それをみんなが見て、「ああ、あの音か」って思ったはずだ。つまり俺はその神話をわざと生かしてるわけだ(笑)。


SiiiCK プロデューサーとしては、「秘伝のレシピ」は隠しておきたいですから。


ハヴォック でも人々が「「Shook Ones, Pt. II」のサンプリングは何なんだ!?」って探し続けて、何年もかけてようやく見つけたときのあの感じ、それがまた最高なんだよね。


Mobb Deep - Shook Ones, Pt. II


SiiiCK これまで作った中で、最も謎めいたビートは何になりますか?


ハヴォック 「Hell on Earth (Front Lines)」になるね。


Mobb Deep - Hell On Earth (Front Lines)


SiiiCK 「Survival of the Fittest」の不穏なサイレンのような音も、最初に聴いた時はスゴく独特でしたね。


ハヴォック そうそう、あれも謎のサンプルの一つなんだ。元ネタを実際に聴いたら、「えっ、これが「Survival of the Fittest」になるの!?」って信じられないと思うよ。


SiiiCK それがハヴォックのレシピなんですね(笑)。


ハヴォック そうそう、それが俺のレシピなんだ(笑)。サンプリングの元ネタを明かさない。それが俺のやり方だ。


SiiiCK 年月が経つにつれて、人々はあなたのことを「ラッパー」というよりも「プロデューサー」として認識するようになったと思うんです。それについてはどう思っています?


ハヴォック 嫌なことだね(笑)。ちゃんとこう言いたいよ。「俺の功績、全部をちゃんと認めてくれよ」って(笑)。


Mobb Deep - Survival of the Fittest



ニューアルバム『Infinite』


SiiiCK (笑)ニューアルバム『Infinite』について聞きたいのですが、プロディジーが亡くなった時は、どのような気持ちになりましたか?


ハヴォック 彼が亡くなった時は本当に、本当に悲しかった。今でも悲しいよ。彼がいなくて寂しいんだ。友達であり、兄弟だったからな。あの時の自分は、正直どうしていいかわからなかった。ただね、心の奥ではずっと「もう一枚だけ、最後のアルバムを作りたい」って思ってた。それだけは確かなことだった。もしチャンスがあるなら、絶対にもう一枚だけ作りたいっていう。だけど、それを形にするのは簡単なことじゃなかった。プロディジーの家族は本当に深く悲しんでたし、最初の頃はやっぱりためらいもあったと思う。でも最終的には、家族のみんなが「最後のアルバムを作ろう」と言ってくれたから、本当に感謝してる。彼らには心からありがとうって言いたいね。


SiiiCK 『Infinite』は、あなたにとって、「やり残した仕事」だったわけですね。


ハヴォック まさに「未完の仕事を完結させた」って感じだよ。頭の中には、「モブ・ディープとしてまだ終わっていないことがある」というのがあったんだ。それはやり残した作品があったからだ。だから俺はアルケミストと組んで完成させることにした。


SiiiCK 最初に取った行動は、アルケミストに連絡することでしたか?


ハヴォック それが最初の行動になるね。アルケミストは初期の頃からモブ・ディープのファミリーなんだ。だから自然と最初に電話をしたのは彼だった。


SiiiCK アルケミストの最初のリアクションはどうでした?


ハヴォック 「もちろんだ、やろうぜ!」って感じだったよ。彼も俺と同じくらい本気でやりたかったんだ。


SiiiCK プロディジーの未発表のヴァースはかなり量があったのですか?


ハヴォック たくさん残ってたよ。アルケミスト側にもかなりのヴァースが残ってたし、プロディジーの家族もたくさん持ってたんだ。


SiiiCK それを全部聴き直すところから始めた感じですか?


ハヴォック そう。まずは大量のヴァースをじっくり聴くことにした。何日もかけて、プロディジーの未発表ヴァースを全部チェックして、その中からいくつかを選んで新しい曲を作っていったんだ。


SiiiCK 実際に『Infinite』の曲を聴くと、まだそこにプロディジーがいるような感覚がするんですよね。制作中、彼の声を聴いていて、エモーショナルになる瞬間はありましたよね。


ハヴォック めちゃくちゃエモーショナルになったよ。時々音楽を抜きで、彼の声だけを聴く時があったんだけど、まるで彼がそこにいるみたいに思えたんだ。同じ部屋にいるような錯覚を覚えたんだ。だから本当にクレイジーな体験になったよ。いろいろ聴いていくうちに、どちらかと言えば切なくなるような曲が多かったな。悲しさがこみ上げてくるというか。そういう瞬間が何度もあった。


Mobb Deep - Against The World


SiiiCK アルケミストとの制作はどのような感じで進めたのですか? プロディジーのヴァースを選び、ビートを作り、そこにあなたのヴァース、フックを重ねていくというスタイルですか?


ハヴォック その通りだ。例えば、アルケミストがプロディジーのラップだけが入ってる曲を持ってたら、そこからヴァースだけを抜いて、そこに俺のヴァースを足していったり、俺がフックを作ったりとか。逆に、俺の方が、プロディジーのヴァースとビートを持ってたら、アルケミストがそこに手を加えていったりとか。そんな風にして曲を作っていったんだ。


SiiiCK 『Infinite』を聴いて思ったのは、オリジナルのモブ・ディープのレガシーにスゴく忠実なんだけど、それでいて「今なおモブ・ディープは続いている」っていう感じがしたんです。


ハヴォック 自分たちのレシピを変えたくなかったからね。だから今回も、あの時代の雰囲気を忘れずに同じアプローチで作ってる。と同時に、少しだけ今の音として聴けるものにもしている。でもそこはやりすぎないようにしてるんだ。


SiiiCK 『Infinite』の曲はゼロから作り始めたものが多いのでしょうか? それともすでに出来上がった曲をベースに作ったでしょうか?


ハヴォック すでに出来上がってる曲もあった。ただ、新しいトラックに乗せてアップデートする必要があったんだ。


SiiiCK 『Infinite』のビートメイクで大切にしたことは?


ハヴォック ファンがビートを好きになってくれることだね。あとはモブ・ディープらしさ、プロディジーの声との相性だ。


SiiiCK 曲のクレジットを見ると、あなたのプロデュース曲とアルケミストのプロデュース曲とで分かれているんですよね。1曲1曲はどちらか一人がプロデュースして作った感じですか?


ハヴォック その通りだ。俺かアルケミストの二人。それだけだ。他のプロデューサーを入れすぎると、モブ・ディープのバランスが崩れちゃうからね。 だからあえて、俺とアルケミストの二人だけで仕上げたんだ。


SiiiCK 「Easy Bruh」における、あなたのビートとプロディジーのラップの組み合わせは完璧だと思いました。


ハヴォック そうそう。俺も大好きな曲だ。あれぞまさにモブ・ディープのサウンドだよね。おなじみの感じもあるし、ドラムの鳴り、あのサンプリング、すべてがモブ・ディープらしいんだ。もちろんプロディジーの声も最高にハマってるしね。


Mobb Deep - Easy Bruh


SiiiCK 「Mr. Magik」も二人が数小節ごとにラップを繰り出していく感じが素晴らしかったです。


ハヴォック 間違いないね。「Mr. Magik」も俺のお気に入りの一つだね。あれは元々、完全にプロディジーの曲だったんだ。そこに俺が最後のヴァースを加えて、彼のヴォーカルをちょっとカットしたり、つなぎ直したりして、まるでお互いに掛け合いでラップしてるように聴こえるものにしたんだ。


SiiiCK プロディジーがいないものの、ある意味、二人で一緒に曲を作っているような感覚はありましたか?


ハヴォック その感覚はあったね。でもそれが一番大変なところでもあった。彼のリリックの言葉に俺が返すようにラップすることで、まるで二人で会話してるみたいな流れが生まれたんだ。だから、曲全体がまるで俺たちがまだ一緒にいるみたいに聴こえるんだ。


SiiiCK 昔はどのような感じで一緒に曲作りをしていたのですか?


ハヴォック 俺がビートを作ってると、プロディジーはすぐ隣に座ってて、その場でヴァースを書いてたね。それで書き上がったら、「ちょっと聴いてくれ」って言ってくるんだ。俺が聴いて「OK、いいね」って言ったら、今度は俺の番でリリックを書く。そんな風にして、ほとんどいつもその場で互いに刺激し合って作ってたね。今回は作り方こそ全然違うけど、気持ち的には同じものがある。俺はプロディジーのことをよく知ってるから、「彼ならこう言うだろうな」、「このビートは気に入るだろうな」っていうのが自然とわかるんだ。


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NASとの関わり、2Pacとのビーフ、最後のアルバム『Infinite』を成し遂げたハヴォックの今


SiiiCK 今回はMass Appealの「Legend Has It」シリーズからのリリースですよね。Mass AppealだからNASが関わっているのは当然ですが、モブ・ディープのアルバムにNASが3曲も参加しているのは、ちょっと感慨深いものがありました。


ハヴォック NASはホーミーだからね。俺たちは一緒に育ったし、NASとモブ・ディープとは長い付き合いなんだ。だから今回のプロジェクトをNASに渡した時、めちゃくちゃ喜んでくれたんだよ。まるでモブ・ディープのメンバーの一人みたいに感じてくれてたんだ。それで今回のアルバムで3曲もヴァースを担当してくれてる。他のアーティストのアルバムでNASが3曲もやることはなかなかないからね。それだけNASがモブ・ディープを愛してくれてたってことだよ。


SiiiCK 当時、モブ・ディープの『The Infamous』とNASの『Illmatic』を聴いて、クイーンズブリッジに思いを馳せたヘッズは多いと思うんです。当時、NASとの関係はどのような感じでした? 


ハヴォック ライバル関係とかは一度もなかったよ。むしろ兄弟みたいな感じだった。お互いをリスペクトしてたし、刺激し合ってた。だからいつもお互いのアルバムに参加してたんだ。俺たちの作品にもNASが参加してたし、NASのアルバムにも俺たちが出てたし、ずっとそういう関係だった。一時、プロディジーとNASの間にちょっとした確執があった時期もあったけど、最終的にはちゃんと和解して、ピースになったんだ。


SiiiCK 今回、ジョルジャ・スミスとH.E.R.を客演で起用しているのも最高なんですが、それぞれ「Down For You (feat. Nas & Jorja Smith)」、「Love The Way (Down For You Part 2) (feat. Nas, Kool G Rap, & H.E.R.)」という曲で、実は同じ曲をヴァージョンを変えているんですよね。


ハヴォック (笑)元々は1曲だけで、客演のフィメール・シンガーを探してたんだ。最初は一人に聞いて、もう一人にも聞いてみて、「どっちが先にOKしてくれるか見ようぜ」って感じだった。どちらかが忙しいかもしれないし、スケジュール的に無理な可能性もあったからね。そしたら二人とも「やるよ」って言ってくれてさ(笑)。それで、「どっちを選ぶ?」ってなったんだけど、選べるわけないじゃん。一人だけ選ぶわけにいかないから、二人とも選んだんだよ(笑)。


SiiiCK (笑)良い選択ですね。


ハヴォック 最高の悩みだ(笑)。あの曲は昔作った「Hey Luv (Anything)」を思い出させるね。


Mobb Deep - Down For You feat. Nas, Jorja Smith


SiiiCK あと、Pusha Tはモブ・ディープ愛を公言していましたが、今回のアルバムに参加していますね。


ハヴォック Clipseはデビューした時からずっとファンなんだ。「こいつらマジでヤバいな」って思ってたんだ。スキルが高いし、センスがずば抜けてるんだ。


Mobb Deep - Look at Me (feat. The Clipse)


SiiiCK レイクウォンとゴーストフェイス・キラーもブラザーだから、今回も参加していますね。


ハヴォック もちろんだよ。レイクウォンとゴーストは兄弟みたいなもんだ。だから彼らと仕事するのは自然なことなんだ。モブ・ディープのレシピを保ち続けるためにも参加してもらった。あの二人は常にモブ・ディープのアルバムにも関わってたからね。


SiiiCK このアルバムからの最初のリード曲は「Against The World」ですが、タイトルからして、2Pacへのオマージュを感じさせますね。昔2PACとはビーフ曲でやり合ったと思いますが、途中で2PACは撃たれて亡くなってしまいましたよね。


ハヴォック 俺たちが「Drop A Gem On ’Em」を出した後だね。あれは本当に最悪のタイミングだった。あの曲を俺たちが出したのは、2Pacが撃たれる直前だったんだ。あの時は「えっ、マジかよ?!」ってなったし、2Pacが亡くなったニュースを聞いた時、「Drop A Gem On ’Em」をラジオのプレイリストから外してもらったんだ。アルバムには収録されてるんだけどね。


SiiiCK あのビーフは深刻なものだったのですか? 2Pacとノトーリアス・B.I.G.のビーフは結果として、二人の死という悲劇を生んでしまいましたからね。


ハヴォック あの時は正直、怖かったよ。命の危険を感じるようなレベルだった。だって2Pacも俺たちも、同じタイプのアーティストだから。リアルなストリートをラップしてて、命がけで作品を作ってたクリエイターなんだ。だからこそ、あの悲劇は本当に痛かった。たとえ2Pacとビーフがあったとしても、絶対に死を望むことなんてない。だから俺たちも傷ついたし、悲しすぎる出来事になってしまった。


SiiiCK ちなみに、初めて日本に来た時のことは覚えてますか?


ハヴォック もちろん覚えてるよ。’94年か’95年だったと思う。日本に向かう飛行機の後部座席でタバコを吸えたから、それを今でも覚えてるんだ。当時はそれが普通にOKだったんだよ。それで日本に着いた時はマジで驚いたね。テクノロジーがアメリカよりもずっと進んでたんだ。当時アメリカにはまだないものが日本にはすでにあってさ、「何だこれ!?」って思ったのを覚えてる。一番覚えてるのは、ビデオ通話ができる携帯電話がすでにあったことだ。今みたいに、顔を見ながら話せるヤツが’90年代の日本にはすでにあったんだよ。アメリカに帰った後、友達に「日本では顔を見ながら電話できるんだぜ!」って話しても、誰も信じなかったな。日本と言えば、それがマジで印象に残ってるよ。


SiiiCK あと聞きたいのですが、メソッド・マンとのジョイント・アルバム『Dirty P』はどうなっていますか?


ハヴォック もうすぐ出るよ。ほぼ完成してるんだ。このアルバムは「Covid album」と呼んでる。だいぶ前のコロナ禍に作り始めたからね。もし『Infinite』が好きなら、間違いなくこのアルバムも気に入ると思うよ。


SiiiCK レイクォンと一緒のツアーも始まりますよね。


ハヴォック そうそう。11月から始まるよ。レイクォンのアルバム『Only Built 4 Cuban Linx…』の30周年と、モブ・ディープのアルバム『The Infamous』の30周年を一緒にやるんだ。


SiiiCK そのツアーでは『Infinite』の曲もやる予定ですか?


ハヴォック やるかもしれないし、やらないかもしれない。これは『The Infamous』の30周年だからね。でも考えてみるよ。


SiiiCK 先ほど「未完の仕事を完結させた」と話していましたが、『Infinite』はモブ・ディープとして本当に最後のアルバムになりますか?


ハヴォック そうだと思うよ。


SiiiCK 未完の仕事を完結させた今、どんな気持ちですか?


ハヴォック 最高だよ。みんなが「このアルバムいいね」って言ってくれてさ、フィードバックがスゴく良いんだ。それがめちゃくちゃうれしいね。だってさ、こういうアルバムを出したら、「クソだなこれ」って言われる可能性もあるだろ?


SiiiCK 確かに、追悼盤と銘打ったアルバムは大体良くないですからね。でも『Infinite』は素晴らしいです。


ハヴォック (笑)ありがとう。本当にうれしいよ。


SiiiCK でも、アルバム制作のプロセスは、ある意味セラピーであり、癒やしのプロセスでもあったのではないですか?


ハヴォック まさにそうだね。セラピーであり、ヒーリングでもあった。自分の中に溜まってたものを外に出して、やっと人生を前に進めた感じがするんだ。


SiiiCK プロディジーとは一時期上手くいってなかった時期もありましたよね。でも、その後また仲直りして、プロディジーは亡くなってしまうわけですが。


ハヴォック そうだね……。俺たちは兄弟だから、良い時もあれば悪い時もあった。でも、少なくともプロディジーが亡くなる前に仲直りができて、また一緒にツアーもやって、アルバムも作れたんだ。それが本当に救いとなってる。しかも今回アルバムをちゃんと形に出来たのも良かった。


SiiiCK 最後に、ハヴォックにとって「人生の哲学」って何かを聞きたいのですが、才能、チャンス、タイミングとかをどう使うのか、そして、最終的にはどのように自分たちのレガシーを残していくのか、そこの考えを聞かせてください。


ハヴォック とにかく「自分に正直でいること」だと思う。それさえ守っていれば、最終的には必ず良い結果につながると思うんだ。音楽を通して、自分に正直でいること。たとえ誰も自分と同じことをしてなくても、自分が信じることをやれば、必ず報われる。それだけは確信してるよ。



Mobb Deep『Infinite』

Image

2025年10月10日リリース

レーベル:Mass Appeal

配信リンク: https://mobb-deep.sng.to/infinite


Tracklist:

1. Against The World

2. Taj Mahal

3. Mr. Magic

4. Look at Me (feat. The Clipse)

5. Score Points On A Gangster

6. Down For You (feat. Nas, Jorja Smith)

7. My Era

8. Pour The Henny ft. Nas

9. Gunfire

10. All Day

11. Black Knights (feat. Raekwon & Ghostface Killah)

12. Discontinued 

13. Love The Way (feat. H.E.R, Nas)

14. The M. The O. The B (feat. Big Noyd)

15. We The Real Thing



Mobb Deep

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Mass Appeal Records

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