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【連載】DOGTOWN スケートボードとカルチャーのつながりとルーツを紐解く VOL.4:USUGROW

ゼファー・スケート・チーム所属でZ-BOYSの一人であったジム・ミュアーが始めたブランド「DOGTOWN」。

’80年代には弟のマイク・ミュアー(スイサイダル・テンデンシーズ)も加わって、ヴェニスからカルチャーを発信していくリーダー的な存在となった。スケートボードを軸に、音楽、アート、さらにはスタイルとアティテュードが加わったのが、DOGTOWNというカルチャーである。このSiiiCKの連載では、DOGTOWNを愛する様々な人たちに登場していただき、スケートボードとカルチャーのつながりとルーツを紐解いていきたいと思う。第4回目は、アーティストのUSUGROWが登場。1990年初頭、音楽シーンのフライヤー製作から活動を始め、オリジナルのアートを追求して、国内外で活動してきたアーティストである。イラストレーション、カリグラフィ、ペインティング、ミューラルなど、手法、媒体を超えて制作活動を展開してきたことでも知られる。USUGROWもメンバーである、新虎画廊のキュレーションによるグループ展『七癖 - NANAKUSE -』を開催中の、DIESEL ART GALLERYにUSUGROWを訪ねて取材・撮影を行った。



Photography: Jesse Kojima



DOGTOWNのカルチャーに受けた衝撃


SiiiCK DOGTOWNのカルチャーの入り口はどこからですか?


USUGROW 古着屋に飾ってあったスイサイダル・テンデンシーズの1stアルバムですね。そこから掘っていったらDOGTOWNが出てきました。17歳ぐらいの時ですね。1stアルバムは特に裏ジャケが好きで。リック・クレイトンがみんなのシャツに描いたヤツが勢揃いしてて、「これは何なんだ?!」と思ったんです。僕は最初好きだった音楽はハードロックだったんですけど、もっと激しいのが聴きたくて、スラッシュメタル、ハードコアパンクに行くんです。


SiiiCK そんな時に見たスイサイダル・テンデンシーズは異世界でしたよね。


USUGROW 下手なのか上手いのかわからないシャツがずらりと並んでて。これはただごとじゃないなと思って。それまで僕はスゴくプロダクションされたものを目指してたところがあって。まだフライヤーを描く前で、エアブラシでBMXとかマウンテンバイクのヘルメットをペイントとかしてたんですよ。聴いてる音楽もハードロックだったし、いわゆるメジャーの商品としてしっかり作り込んでるものしか知らなかったんですけど、こんなラフで生々しいものでいいんだ?!と思って。そういう衝撃がありましたね。


SiiiCK 元々エアブラシで描くことも好きだったんですね。


USUGROW エアブラシでちゃんと下地から作って、マスキングして、吹いて、磨いてっていう、職人っぽくプロフェッショナルにきれいに仕上げるような、そういうことを目指してたので。手描きの描きっぱなしのものを見て、余計にびっくりしたんです。 


SiiiCK そこからはどう掘っていきました?


USUGROW CD屋とかレコード屋に行ったり。一緒に遊んでたスケーターの友達が「THRASHER」とかそっち方面のことを教えてくれたり。そこからですね。スケートしたり、カルチャーに触れたのは。


SiiiCK そこで絵を描き始めたのですか?


USUGROW ボールペンでそのままスカルを描いたりとか、早速やりました。「これでいいんだ?!」とか思いながら、興奮してましたね(笑)。そこからは早くて。パスヘッドとか、掘ってるとどんどん面白いものが出てくるじゃないですか。もうどっぷりでしたね。音楽もどんどんハードコアの方に行って。それまで遊んでた山やBMXコースにも行かなくなったんですよ。BMXやマウンテンバイクでダートを走るよりも、街で遊びたいという感じになっていきました。


SiiiCK 描き始めた絵が世に出ていくのは、バンドのフライヤーが始まりですか?


USUGROW そうです。地元のバンドに頼まれたフライヤーを描くところからです。フライヤーを描き始めた時はもう真似という意識はなくなって、やっぱりオリジナルを描きたいと思ってて。ボールペンで描いてたドクロも描かなくなって。仏像みたいなものを点描で描き始めました。


SiiiCK スカルを描くようになったのは?


USUGROW 2000年に入ってからですね。スカルはパスヘッドもリック・クレイトンも描いてるし、最初の10年ぐらいは別のことをやるという意識で。生意気というか、そういうものだと思ってたんですよ。ハードコアとかスケートのカルチャーって、誰がトップでも下でもなく、順位がつけられるものじゃなくて、スタイルがある人がカッコいいわけだから。自分も真似ではなくてスタイルが欲しいと思ってたので、スカルは描かなかったんです。


SiiiCK レタリングに関しては?


USUGROW DOGTOWNのグラフィックから西海岸のストリート・ライティングまで見て、やっぱり自分の文字が欲しいなと思ったんです。少しの間だけど自分でも街で描いたり。’97年、’98年になると、LAに行くようになって、グラフィティの情報もどんどん入ってくるし、チャズ・ボホルケスのことも知るようになって。


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DOGTOWN周りのアート


SiiiCK DOGTOWN周りのアートについては、スイサイダルの1stアルバム以降はどうでした?


USUGROW 全部良かったですね。リック・クレイトンのラフな感じも好きだし、マイケル・シーフのエアブラシも好きで。エアブラシと言っても、自分がやってた、きっちりマスキングして吹くというよりも、かなりラフな描き方をしてて。それも衝撃的な感じはしました。


SiiiCK 2018年にRVCA SHIBUYA GALLERYで行われたExcelのアートショーには、マイケル・シーフの原画が展示されていましたよね。


USUGROW あれはいい体験でした。かなりラフだと思ったけど、こういう使い方でも別にかまわないんだなと思いましたね。


SiiiCK ウェス・ハンプストンは?


USUGROW 強いクラシックって感じですね。スゴく好きだったのは、ケヴィン・アンセルのアーロン・マレーとエリック・ドレッセンのグラフィック。どっちも東洋的な要素が描いてあって。DOGTOWNではなかったですけど、ALVAのジェフ・ハートセルのデザインとか。そこには謎の漢字っぽい文字が入ってるんです。アジア系の人たちだけどスタイルがあって、自分のルーツやローカルを主張してるのも、カッコいいなと思いましたね。そういうのを目のあたりにしたのがDOGTOWNのカルチャーです。


SiiiCK スイサイダル、Excelとか、ヴェニスのバンドのアートワークはどうでした?


USUGROW やっぱりマイケル・シーフですね。ジャケットが全部いいんですよ。特に好きなのは、Beowülfの1stアルバムで。街の雰囲気とスカルが良くて。あまりファンタジーに感じないところが良かったんです。Excelだけ異色なのも、ちゃんとバンドのキャラクターに合ってるというか、ギャングっぽくないし、スピリチュアルな感じもあって、いいなと思いましたね。


SiiiCK Excelの3rdアルバム『Seeking Refuge』のリイシュー盤のアートを手がけましたよね。どういう経緯でやることになったのですか?


USUGROW 2003年ぐらいにダン(Excelのヴォーカル)から電話があって。「リイシューするからジャケットを描いてくれ。1週間でできるか?」って言われて、頑張って1週間で描いたんですけど、流れてしまったんです。それが王冠のライオンの横顔ですよ。その後、リイシューの話はずっとなかったんですけど、2020年にショーン(Excelのベーシスト)からメールがあって。「リイシューするから描いてくれ」って言われて。「締め切りはないから、出来た時でいい」って言われて、4年かかりました。元の絵の王冠のライオンがあって。ショーンからレファレンスじゃないですけど、マイケル・プロフェットのアルバム(『Righteous Are The Conqueror』)をもらったんですけど、その前からこのイメージはあったんです。ショーンとLAで会った時に、あのアルバムはメジャーリリースだったけど、いろいろと思うようにいかないことも多かったとか、そういった話を聞いて。どこか後悔が残ってるから、いいものを作りたいということだったんです。


SiiiCK 2018年のExcelのアートショーでは、キュレーションもアーティスト選びもやったのですか?


USUGROW 自分でやりました。ちょうどExcelがツアーで来るというので、アーカイブをやりたいなと思って。ショーンとダンが昔のアートワークを全部持ってるのを知ってたので、これを逃したらできないなと思って。他の日本人はアーティストは、好きだというのがわかってた人を選びました。


SiiiCK 2017年にVOLCOMのイベントでスイサイダル・テンデンシーズが来日した時、マイク・ミュアーと対談もしましたよね。


USUGROW 対談したというか、マイク・ミュアーがずっとしゃべってましたね(笑)。話が面白かったので、さすがエンターテイナーだと思いました。


SiiiCK 総じてDOGTOWNカルチャーについてはどう見ています?


USUGROW ローカルの力ですね。ごく狭い中で仲間たちとコラボレーションとかを自然な形でやってて。それを周りの人たちが発見して、スゴいムーブメントになったと思うんです。逆に本人たちはあまり意識してないような気がして。「俺たちそんなに人気があるのかよ」みたいな雰囲気がしていいんですよ。だから、どんなに好きでもそれを真似しようとかは思わなくなりますよね。影響を受けたのは、バンダナを巻くとかハンドサインをするとかそういうことじゃなくて、地元の友達をピックアップしたりとか、一緒にコラボレーションをしたりとか、そういうことじゃないのかなって思います。


SiiiCK スカルを描くようになったのは2000年に入ってからとのことですが、スカルを解禁することになった理由はあるんですか?


USUGROW そろそろいいかなと思って(笑)。好きだし、今だったらもういいだろうと思って、自分を許したんです。 ハードコアとかパンクって、入学も卒業もない世界じゃないですか。だからみんな自由に何をやってもいいとは思うんですけど、「これはちょっとリスペクトのない、パクリじゃない?」というのも多いから。でも、それはノリだとかアンダーグラウンドだからというところで、許されてる気がして。もちろん表現することに制限はないので、何をやってもいいんですけど、自分はそこには入りたくないなと思ったんです。


SiiiCK そういうのを経てきた今、自身のアートはどのような方向に向かっていますか? 10年前に取材した時はダンスをモチーフにしたり、最近では仏様を描いたりして、また違うアプローチも入っているし、進化していますよね。


USUGROW そうですね。ダンスのあたりから、ストリートとかじゃなくて、もっと先にある歴史とか文化に触れていきたいという感じになって。そこからさらにどんどん広がって、土着のもの、精神的なものにまで興味は広がってますね。


SiiiCK 「SPIRIT BEYOND BORDERS」という言葉もありますね。


USUGROW それはダンスの作品群を描いてた時に持ってた言葉なんですけど、今でも変わってなくて。あらゆる境界を超えていこうというところですね。ストリート、家族、友達、国境とか全部のボーダーを超えていきたいんです。もしかしたら「超える」というところで意識しちゃってるから、自然体のまま、ボーダーがもう見えないぐらいになるのがいいのかもしれないですけど。


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今の自身のアートが向かうところ


SiiiCK 最近の活動についても聞きたいのですが、今年は福島市で個展「ふくのしま」を開催しましたよね。


USUGROW 地元をテーマにした個展をやりました。地元を盛り上げたいとか、そういうのが目的ではなくて。ただ福島にある、子供の頃からいろいろ気になってるものを、今一度チェックしたかったんです。やってみるとやっぱり面白くて、今はインターネットもあるし、子供の頃よりはお金もあるから、いくらでも調べることができるし、思いきりやりたいんですよね。


SiiiCK 福島のフルーツも描いていますよね。


USUGROW フルーツラインっていう、果樹園がずっと続いてる県道があって。そこをテーマにして描きました。


SiiiCK あと、20年ぶりにライヴのフライヤーも描いたんですよね。


USUGROW DESSERTのRyujiさんから、久しぶりにやるから描いてほしいと言われて、普通に描きました。自分のルーツでもあるし、ジャケットやフライヤーを描くのをやめたわけじゃないので、やってもいいなと思って。ちょっと前だと頑なにやらなかったんですけど、今はやりたいことはやってもいいかなと思ってますね。


SiiiCK Zineにはコラージュ作品も掲載されていますが、コラージュがまた凄まじいですね。


USUGROW コラージュはハマってて、よくやってますね。頭の中のイメージを絵にするのは時間がかかるんですけど、身体に良くなくて。頭の中にアイデアがどんどん溜まっていくだけで、全然アウトプットできないから、ストレスが溜まって何とかならないかなと思って。昔やってたみたいに切り貼りでどんどん出力して、プリンターでどんどん出して、思いついたまま切って貼ってくということをやってます。あのコラージュ作品は、’80年代、’90年代の、みんな心が浮ついてて、急にバブルが崩壊したような時代の、その辺の揺らぎを「心の時代」というテーマにしてます。何故それを今やるかというと、今が当時の空気ととても似てる気がするんですよ。心が揺らいでいるというか、安易に共感に流れていく感じや、それを利用したカルトじみた関係性とか。モノが溢れてテクノロジーが発達しているのに、世の中は不穏で。精神的に不安定になってる感じですね。


SiiiCK あと、リンキン・パークのアートワークも手がけていますよね。


USUGROW ジョー・ハーンに頼まれたんです。ジョーとはLAで知り合って。その頃、Brooklyn Projectsの隣りにジョーのお店があったんです。2005年にLAで初めて個展をやった時にジョーが来てくれて。そこから付き合いが始まって、いろいろ絵を頼まれたり、絵を買ってくれたりしてくれて。2017年に東京ドームでのライヴのプロモーションで日本に来てた時も会ってたんです。スゴくライヴを楽しみにしてたんですけど、その後にヴォーカルが亡くなって。僕もスゴくショックでした。そこから今はここまで持ち直して、新しいスタートを切ってることに感動して。時間はなかったんですけど、描くことにしました。


SiiiCK 現在ここで開催中のグループ展『七癖 - NANAKUSE -』についても聞きたいのですが、これは新虎画廊のキュレーションですよね。


USUGROW 新虎画廊はそもそもIMAくん(IMAONE)から空いてるスペースがあって、何か使えないかなって話を聞いて。そこで建築デザイナーの野村郁恵さんも加わって、新虎プレスというギャラリーを虎ノ門で始めたんです。その後近所に移転して、コンセプトを見直して、新虎画廊に名前も変わりました。このグループ展はDIESEL ART GALLERYさんから話をいただいて。自分たちのキュレーションということで、 新虎プレス、新虎画廊で展示したアーティストに参加していただきました。みなギャラリーの所属アーティストというわけではないのですが、寡黙なんですよ。さっきの共感の話に近いんですけど、ソーシャルメディアでよく喋るとか、セルフブランディングに長けてるとか、そんな人たちばかり注目されてる気がして。なので、これを機にもう一度ちゃんと紹介したいなと思ったんです。自分の展示作品は話に出たExcelのカバーアートとDESSERTのフライヤーなんですけど、金になるかどうかも関係ない、ただただ好きでやり続けてる音楽についての作品を展示しました。今ってストリートアートが盛り上がってると言われて久しいですけど、販売するための絵とか、いわゆるファインアートとか、そういう感じに偏ってる気がしてて。僕はそことは対極にあるものを出したいなと思って。今だからこそですね。


DIESEL ART GALLERYで開催中のグループ展『七癖 - NANAKUSE -』。USUGROWの展示作品とともに

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ワークトラックジャケット  ¥19,250

サイズ:M L XL

カラー:ブルー  ブラック  スレート  グレー

’80sヴィンテージからインスピレーションを受けたワークトラックジャケット。スタンドカラーで背中には通気性の良い切り替え、アジャスターを備えたショート丈のドリズラータイプで、T/C素材でしっかりとした質感ながら軽い仕上がり。一枚生地仕立てで長いシーズン着用できる仕様

フロントにはブランドロゴワッペンを配置し、バックの右上にはプランドクロスのロゴをチェーン刺繍でアイコニックに刺繍

https://www.dogtownskateboards.co.jp/ja/products/dogtown-work-track-jacket-blue

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『七癖 - NANAKUSE -』

参加作家:USUGROW / IMAONE / SHOHEI OTOMO / NISHI / FATE / SNIPE1 / TENGAONE

2025年7月26日(土)~10月15日(水)


「一点ギャラリー」とも呼ばれる新虎画廊は、「作品一点で見せる」という明快なコンセプトのもと、数人のクリエイターによって自主的に運営されており、これまでに個展を開催した6名の作家はいずれも、その形式に向き合い、挑んできました。

本展では、作家それぞれが主題となる一点を軸に、そこに至る過程や思考の痕跡(制作ノート、ドローイング、関連作品など)を交えながら、作品が立ち上がる「前後」をたどる構成としています。


作家たちに共通しているのは、日本のサブカルチャー――グラフィティ、ヒップホップ、パンク、スケートボーディング、アニメ、ゲームなど――が広がりを見せた1990年代からゼロ年代にかけて、その現場に身を置き、その空気を吸収しながら表現を育んできたことです。世界的な影響力を持つに至った日本のサブカルチャーのなかで、彼らはその潮流に流されることなく個性を磨き、表現の拡張を試みてきました。  


「個性」と呼ぶには前向きすぎる、良くも悪くも矛盾を孕んだその「癖」は、それぞれの作品と立ち位置に自然と滲み出ています。さまざまな分野が過渡期にあると言われる現在、多くが似通った方向へと収束していくなかで、こうした「癖」こそが、より美しく、より強く、際立っていくのではないでしょうか。  


作家と画廊の滲み出る『七癖 - NANAKUSE -』。 ぜひご高覧ください。  


会場では、作品展示(一部販売)のほか、DIESELとのコラボレーションTシャツ、プリント、そして新虎画廊制作によるZINEなども販売予定です。


DIESEL ART GALLERY

東京都渋谷区渋谷1-23-16 cocoti B1F

電話: 03-6427-5955

開館時間: 11:30-20:00(※変更になる場合がございます)

休館日: 不定休

https://www.diesel.co.jp/ja/art-gallery/



DOGTOWN

https://www.dogtownskateboards.co.jp/ja

Instagram: @dogtownskate_jp

Facebook: @dogtown.jp


USUGROW

http://usugrow.com

Instagram: @usugrow


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