そして、自由と愛をテーマに活動を行い、代表である渡部将太(TABE)によるアートワークが特徴的なドメスティック・スケート・ブランド「CHUULIP SKATEBOARDS」。2025年9月13日には、CHUULIPから池上塁がアートワークを担当したデッキがリリースされることとなり、これを記念して池上塁が働く渋谷のバー、OVER the MOONでリリース・パーティも行われた。池上塁も渡部将太も同じ世代で、同じストリートで遊んできた仲でもあり、スケートボードのカルチャーの部分を強く意識した発信をしてきたスケーターなのだが、何かを一緒にやるというのはこれが初めてで、意外な組み合わせだと思う人も多いようだ。リリースを記念して、池上塁と渡部将太のスペシャル対談を行った。
写真:左から、渡部将太、池上塁
二人の出会いとお互いの印象
SiiiCK 二人はいつからの知り合いですか?
渡部将太 覚えてないけど、絶対渋谷のストリートだよね。
池上塁 セブン-イレブンの前じゃないですか。コロナが落ち着いて、スケートのイベントとかも徐々に増えだして。俺もTABEちゃん(渡部将太)もよく行くから、会う頻度も増えて。それでめちゃ仲良くなった感じだよね。
渡部将太 イベントをちょくちょく一緒にやるようになったんですよ。BUGGYE.とCHUULIPで合同試写会もよくやってた。
池上塁 WOMBでやった合同試写会も一緒です。あれはTABEちゃんが頭で動いて、僕もそこに乗っかった感じですね。
渡部将太 ほぼBUGGYE.に占拠されてたけどね。BUGGYE.は会った時から破壊的だったから。この集団には勝てないと思った(笑)。
SiiiCK お互い、BUGGYE.とCHUULIPのことをどう思っています?
渡部将太 BUGGYE.はマジで迷惑集団だよね(笑)。バーッと来て、自分のテリトリーにするのが上手い。
池上塁 俺はBUGGYE.が東京の最後の砦だと思ってるので。
一同 爆笑
渡部将太 渋谷でBUGGYE.の名前を聞かない日はなかったから。みんなめちゃ遊んでるし。ブランドを立ち上げたのは同じぐらいだもんね。
池上塁 そんなに変わんないですね。BUGGYE.という名前をつけて映像を撮りだしたのは、2017年の終わりか2018年だから。
渡部将太 CHUULIPは6年目だから、BUGGYE.が1年早いぐらいですね。最初は「何だ、このチンピラ集団?! スケートなのか?! ストリートすぎるだろ!」みたいな感じで(笑)。「渋谷ってこうだよな」と思ったのは、KP TOKYOもそうだったけど、俺からするとBUGGYE.の方がヤバかった。クラブにもいるし、路上にもゴキブリみたいに集団でいるし。BUGGYE.ガールズとかまでいて。「マジでこいつら何やってるの? ぶっ壊れてるだろ」って。マジで塁のやりたいことがめちゃ詰まってるなと思って。金儲けじゃないところの面白さがめちゃあるんです。それに触発される子は今でもいるから、そこは見習うべきところですよね。
SiiiCK CHUULIPについてはどうですか?
池上塁 最初の印象は、「CHUULIPというブランドがある」というよりかは、「TABEちゃんがCHUULIPっていう名前で、自分が絵を描いた板を売ってる」というイメージで。ブランドというよりかは、TABEちゃんのオリジナルコンテンツみたいなイメージが強かった。
SiiiCK CHUULIPのデザインって、他とは全く違いますよね。そこはどう思いました?
池上塁 意外に繊細な絵を描くんだなと思いましたね(笑)。
渡部将太 それ、マジでみんなに言われるんで(笑)。
池上塁 けっこうハードコアな生活を送ってるのに、絵がめちゃきれいだなと思って。コロナが開けたぐらいで、いろいろイベントとか酒の場が増えて。毎日パークで切磋琢磨してるヤツらが遊びに来るようになって。そいつらがCHUULIPと絡むようになって、ライダーが増えて、ブランドっぽくなったなあっていうのが、ここ数年のイメージですかね。
渡部将太 最初はブランドじゃなかったもんな。
BUGGYE.とCHUULIP
SiiiCK BUGGYE.、CHUULIP、それぞれどうスタートしたのですか?
渡部将太 けっこうディープなんですよ。最初は自分がプレイヤーとしてやりたかったんですけど、怪我もあるし、歳だというのもあって。その時ちょうど家がなくて、ホームレスをやってたんですよ。友達の家をちょくちょく泊まり歩いたり、T7(渋谷にある某セブン-イレブン)で寝たり、六本木のクラブの横で寝たりして、何とかしてたんですよ。それで、デッキに絵を描いてたら、それを見たショップの人が「デッキ出してみる?」って言ってくれて。その時に、自分のスケート人生の最後かなという気持ちで始めましたね。家もないし、金もないし、スケートしかないし、とりあえずやってみるかという感じで。パソコンもなかったんですけど、たかぬーがスゴいボロボロのPCを持ってきて。「貸してあげるよ」って言ってくれて。イラレとか重くて動かないんですよ(笑)。動かない中、最初は見切り発車で始めましたね。
SiiiCK 家も金もなくなった理由は?
渡部将太 バカだからです(笑)。地元の長野でスケートをしてて。ムラサキスポーツで働いてたんですけど、「こいつは路上で滑りすぎだ」って、本社に名指しでクレームが入ったんです。それでストリートが禁止になって、どうしようってなった時に、「東京の方に行ったら?」みたいな話があって。とりあえず東京に来たんですよ。お金が3万円しかなかったので、家を借りれなくて。何とかなるかなと思ってたんですけど、何とかならなくて。そこからバイトして家を借りるまで、1年ぐらい駒沢で寝たり、スケートパークで寝たりしてました。23歳で東京に来て、ずっとストリートで遊んでて。26歳の時に自分がプレイヤーで上に行くのは難しいのかなということを思い始めて。その時にデッキを作らないかという話があって。そこで自分のデザインを出すことになったんです。
SiiiCK CHUULIPって名前が良いでんすよね。スペルも「TULIP」じゃなくて、CHUU(チュー)っていう感じがするから。チューは好きなんですか?(笑)
渡部将太 好きなんですよ(笑)。「チューリップ」にしたのは、母親が好きな花を名前につけようと思ったからです。うちは小さい頃からスゴく貧乏で、遊ぶコンテンツにしても、母親と絵を描いてるぐらいしかなかったんです。だから本当に、「ひと花咲かそう」ぐらいの感じなんですよ。
SiiiCK BUGGYE.の始まりは?
池上塁 元々映像を撮るのが好きで、せっかくなら名前を決めてやろうと思って。「自分が見たい映像を作りたい」っていう、ただのオナニーで始めたつもりが、人を巻き込みすぎて、今は責任が伴って苦労してます(笑)。
SiiiCK 「東京の最後の砦だ」という意識は?
池上塁 それはあります。ただのスケボーだけじゃなくて、生々しい感じの、ストリートコンテンツとして見せづらい部分も見せれたらなと思ってて。スケーターも撮ってるんですけど、最近はグラフィティ・ライターも撮ったりしてます。この前も韓国に2泊3日で弾丸で行って。トータルの睡眠時間が4~5時間ぐらいで、昼から夜までずっと回って、あるライターの映像を撮ったんですけど、本当に面白かったですよ。いい意味で刺激にもなったし、息抜きにもなったし。あとは、変わらず天晴(小澤天晴)を撮ってて。天晴がインスタントの30周年のビデオに出るので、それ用のカットを集めてます。あと、近藤祥っていう新潟出身の19歳のスケボーが上手くてカッコいいヤツがいて。そいつを育てながら、そいつも自分のオリジナルのパートを作りたいって言ってるから、撮ろうってなってますね。BUGGYE.の動きっていうよりかは、一緒に動いてくれる仲間のフッテージを貯めて、ネクストステージに行くためのパートを増やすような手伝いをしてますね。
BUGGYE. Photo by shoei



SiiiCK CHUULIPがチームライダーを入れたり、映像を撮ったりするようになったのは?
渡部将太 最初はめちゃくちゃ人がいたんですけど、初めて2年ぐらいで一回、ライダーをどうしようかってなったんです。そこで今の看板ライダーである齋藤丈太郎を新横浜のパークで見かけて、ソッコーで声をかけたんです。その丈太郎が17歳で入ったのがきっかけですね。そこから虎太郎(中野虎太郎)と怜也(今村怜也)が入って、チームになりました。今のCHUULIPが広まったきっかけは、この若い三人組が入ったことですかね。虎太郎は丈太郎が見つけてきて、怜也は虎太郎が見つけてきたんです。ライダーのチョイスは最終的には僕なんですけど、一番動きやすい形態を取りたいので、ほぼライダーにまかせてますね。気づいたらチンピラみたいなのが集まってしまったんですけど、滑りはめちゃくちゃスゴいんですよ(笑)。特に怜也はスバ抜けてヤバくて。いきなり来て半年で映像を撮り終わって、そこからバズったんです。映像を撮ってて初めて「こいつヤバいな」っていう衝撃を受けて。怜也のウェルカム・パートを撮ってから、CHUULIPがブランドになった感じがしますね。取り扱い店舗さんがしっかりデッキを入れてくれるようになったんです。そこでやっと役者が揃ったのかなという感じです。三人の存在はデカいです。
CHUULIP SKATEBOARDS
齋藤丈太郎

今村玲也




SiiiCK BUGGYE.は去年の年末に映像『BUGGYE VACATION 4』を発表しましたよね。
池上塁 そうですね。この1年ぐらいやりたいことだらけになりすぎて、いろんなことに手を出しすぎて、俺がキャバオーバーして人に迷惑をかけるという1年間になりましたね。スケボー以外にも、他の仲間とHOLY MAGAZINEを作ったんですけど、これは毎年夏に出してて、今年もやりました。Ollieの編集をやってるヤツが頭で、ラッパー、スケーター、ライター、フォトグラファー、いろんなジャンルが集まって1冊の本を作るっていうプロジェクトなんです。そういうのをやってると、スケーター以外のいろんな人とも会うし、ここ1年でOVER the MOONというバーでも働きだしたんです。それで飲みの席も増えるし、一気に知り合いが増えて、一気に行く場所も増えて。働いてるバーはローカルの店なので、近隣の人が来てくれたら、挨拶でお礼で飲み行ったり。そういうのがどんどん増えて、結局、何してんだろう?って話になり。いつも通り天晴にブチギレられて。ちゃんとしないとなと思いつつ、今年の夏のHOLY MAGAZINEが終わった時に、やっぱりスケボーだよなってなって。いろいろ好きなものはあるけど、結局それの原点はスケボーだし。スケボーに身を置いた生活に戻した方が、絶対に自分の精神衛生環境もいいし。自分のやりたいこともできるんです。何かBUGGYE.以外で、スケボーでまた挑戦をしたいなという感じですね。前まではショップで働いたり、ブランドで働いたりしたんですけど、そういうのを全部やめて、ふわふわしてた感じだったので。もう一回、何かないかな?と思ってた時に、ちょうどTABEちゃんが、「デザインとかできない?」って言ってきて。スゴいタイミングだったんですよね。ソッコーで2~3日ぐらいでデザインを上げて、送りました。
BUGGYE VACATION
渡部将太 2~3日どころじゃなくて、半日だったよ(笑)。めちゃ早かったから、驚いた。
池上塁 ソッコーで送ったら、すぐに「いい」って言ってくれて。きれいに描き直して、データにして送りました。
アートワークを担当することになった経緯
SiiiCK 最初に依頼があった時、どんなことを考えました?
池上塁 ロゴ的なものが欲しいって言われたんです。TABEちゃん自身、絵を描くんですけど、ロゴとかストリート・テイストのあるデザインは苦手だって言ってて。俺は真逆で、ロゴを作ったり、街に描くような字体を描いたり、そういう方が得意なので。そういうテイストでやりますって言って、パッと送ったら、「こういうの、こういうの」って、求めてたものを一発で射抜けたっぽくて。それで、せっかくだし、この二人でやるのなら、とりあえず最初はローンチ・パーティでもやりますかってなったんです(笑)。遊びの口実を作って、結局は飲むんですけど。
渡部将太 デザインが来た時、「まさに」って思いましたね。タギングとかグラフィティっぽいものは、僕は描けないし、描いてもフェイクになっちゃうから。塁には軽い気持ちでお願いしたんですけど、なかなか人には頼めないんですよ。誰かいないかな?ってなった時に、塁が働いてるOVER the MOONに行って。「何か描けない? 納期もギリギリなんだよね」って、軽い気持ちで言ったら、ソッコーで描いてくれて。その前にもやろうって話はしてたんですけど、お互いに忙しくて。特に俺はブレブレな時期だったので、やろうやろうって言ってやらない詐欺みたいになっちゃって。それがずっと心残りだったんですよ。それで今回、お試しじゃないけど、マジで一回やってみようと思ったんですよ。


SiiiCK CHUULIPはすでに世界観が確立しているから、実際にどういうデザインが出るんだろう?って思いましたよ。
渡部将太 一つの世界だけだと、物事って成り立たないじゃないですか。うちにはいろんなスケーターがいてほしいし、いろんなデザインがあっていいと思うんです。ライダーもここから増やしていきたいし、ファミリーのようなデカいものにしていきたいと考えてるので。その中でグラフィックは俺だけだともの足りないし、塁が描くいてくれたようなデッキは、一つの転換期になるんじゃないかなと思ってますね。
池上塁 タイミングはめちゃ良かったんですよ。俺も一人でやるのがちょっとしんどくなってきてたので。映像を撮って、デザインもやって、全部俺か?ってなってて。ちょっと誰かと共有したいなと思ってたんです。
渡部将太 マジで塁とできるなら心強いというイメージがありますね。やっぱりここまでストリートに浸透してるヤツはなかなかいないと思うので。
SiiiCK じゃあ今回のこの対談もいいタイミングでしたね。
池上塁 ですね。かなり。
渡部将太 今回、変態の俺とぶっ壊すタイプの塁が手を組んだというのが、一番ヤバいんです(笑)。
池上塁 これを継続させたいなという感じですね。しかも今回この板を作るってなって、本国から板が届いて、ライダーたちが限定で乗り始めたぐらいの時期に、たまたま一緒に飲んでるところに天晴がいるタイミングがあって。しっかり映像が撮れて、ウェルカムな体制を作れたら、天晴が正式にCHUULIPに入るようなフェーズでも動けるんです。天晴は俺の相方みたいなところがあるので、あいつの動きをバックアップしたいから、天晴がCHUULIPに入ってくれるなら、TABEちゃんも俺もスゴいやりやすいし、もっといいものが作れるんじゃないかなと思って。
TENSEI OZAWA INSTANT WELCOME PART
渡部将太 たぶんここからの俺の仕事は、俺についてきてくれる人間をどれだけ世の中に出せるかという勝負だと思うので。塁は同じようなことをやってきた仲間だし、一緒にやってみるとお互いやりやすいんですよね。そこで手を組めたら熱いんですよ。
池上塁 それこそCrailtapみたいなのができたらいいよね。そこで俺も、例えばBUGGYE.を本気で服を作るアパレル・ブランドにしたっていいわけだし。
渡部将太 やっとお互いにそこの種も作りやすくなるのかな。俺はやっぱりストリートが一番好きなので、またストリートに行きたいんですよね。東京の最後の砦というキーパーソンが一緒にやろうって言ってくれるなら、俺もそれなりに頑張りたいなって思うんです。そしたらめちゃバカなことができると思うんですよね。お互い、タブーとかないじゃん?
池上塁 (笑)
SiiiCK ちなみにパーティはどんな感じになるんですか?
池上塁 大阪からラッパーのIVOも来ます。あと、虎っていう愛媛出身で、スケボーもラップもやってる、ちょっと下の世代の子も呼んで。DJは、OVER the MOONの系列店のLOOP the LOOPで働いてる子がDJをやってて。その子もスケボーとかBMXとも絡んでて、共通の先輩がいたりして、スゴく面白いので、その子も呼んでます。あと、TABEちゃんもDJをするので。
渡部将太 僕はテクノが中心になります。
池上塁 あとは、僕もTABEちゃんも仲のいい、RYOMA OKABEっていう、最近いろんなところで回してて、精力的に動いてるダンスミュージックを流す子と、SAWAKENっていうメッセンジャーをやってるイケてる子がいて。いつも通りのメンツでその子も召喚して。女の子のDJもいた方がいいっていうので、TABEちゃんの彼女にもお願いしてて。みんなで盛り上がりましょうって感じですね。とりあえずつながりのない人は呼ぶのやめようぜ、みたいなのはあります(笑)。DJはオールジャンルが聴けると思います。PREDATORという名前でやってるリッキーは、元々ヴァイナルがメインで、レゲエ、ブーンバップ、ヒップホップがゴリゴリだし。何でも流すSAWAKENもいれば、しっかりハウス、テクノでかっちり決める子もいるし。そこにライヴも入るので。いろんな音も楽しめて、スケーターもいっぱい来ますね。
渡部将太 パーティは継続したいですね。
池上塁 年1ではやりたいよね。
SiiiCK 今後の予定は?
池上塁 天晴と一緒に映像とか今後の動きを進めていきます。あとはコンスタントにデザインを作って貯めておいて、すぐ投げられるようにしとこうかなと思ってます。CHUULIPのライダーはみんな知ってるんですけど、連絡を取ってとかそういうレベルの関係の深さじゃないから、これを機にもっと関係を深めて、仲良くしていって、同じ輪に入れればいいかなと思ってます。
渡部将太 ここからはブランド作りというよりかは、どう人を巻き込んで、どうカルチャーにしていくかというところだと思うので。そこの方針を固めたいですね。塁が傾いてくれたのも、この6年間があったおかげだと思ってるし。塁に限らず、いろいろ才能を発掘していくのは、絶対俺に必要なことだと思ってるし。CHUULIPをファミリーにしていくのを今は願ってますかね。あと、スケートボードはスポーツ的な部分だけではないと思うので、そこの匂いみたいなものを今から強くしていきたいですね。原点回帰じゃないですけど、一緒に遊べる仲間と一緒に金を稼いでいけたらいいなと思ってるので。そこをしっかり見定めていきたい感じですね。
池上塁 頑張ります(笑)。
渡部将太 でもマジで、塁と手を組むとは思わなかったな(笑)。

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