1991年、彼がNYにオープンした伝説的なクラブ「The Shelter」は、世界的な評価を受け、ハウスミュージックの礎となるソウルフルなNYサウンドの確立に大きく貢献してきた。DJ活動の傍ら、レーベルのA&R仕事の方でも、MCA、Atlanticでディレクター、Motown、DreamWorksで副社長を務めるなど、メインストリームとアンダーグラウンドをつなげる存在としても活動。今回の来日は、昨年2024年12月27日に初登場を果たした、DJ BAR Bridge SHINJUKUでの2回目のDJとなり、前回と同様にOPEN TO CLOSE SETで得意のロングセットを聴かせてくれる。来日前のティミー・レジスフォードにインタビューを行った。
来日の思い出とロングセット
SiiiCK 初来日のことから聞きたいのですが、最初は1992年のGOLDになりますか?
ティミー そうだよ。スゴいエネルギーに満ち溢れてたのを今でも覚えてる。
SiiiCK 2000年代からほぼ毎年のように来日していますよね。日本のオーディエンスについてはどのように思いますか?
ティミー 正直な話、日本のオーディエンスは世界中のどこよりも、ダンスミュージック、ハウスミュージックを理解してくれてると思う。音楽を理解してるだけじゃなく、リサーチもしてディテールまで感じてくれてる。音楽をちゃんとリスペクトを持って称えてくれてるんだ。
SiiiCK これまでの来日で特に思い出深いものはありますか?
ティミー SPACE LAB YELLOWで長時間プレイした時だね(注:18時間)。僕はロングセットを得意とするから、3時間のDJセットとかはやりたくない。日本でプレイすると、サウンドシステムもヴァイブスも、’90年代のNYを彷彿とさせるものがあるから好きなんだ。
SiiiCK 前回の来日ですが、昨年2024年12月27日にDJ BAR Bridge SHINJUKUでやった、OPEN TO CLOSE SETになりますよね。
ティミー そうだね。小さな箱だけど、サウンドも良く、オーディエンスとの距離も近く、親密感もあって、とても良い雰囲気でやれたよ。僕も心の奥底から感じたことをプレイできたから、目の前にいる人たちに直接エネルギーを伝えられたと思う。
SiiiCK ロングセットでのプレイは音楽の旅のようなものだと思いますが、どのようにテイクオフして、どのような旅になるのでしょうか?
ティミー その時によって変わってくるね。でもそこには常に音楽に対する愛がある。最初にどういうプレイにしようとか考えたことはないね。考えたとしてもその通りにはならないから。それよりも、オーディエンスがどう感じるかが大切なんだ。その場で生まれるものが重要なんだよ。DJは曲をかけるだけじゃなく、みんなを旅に連れていくものだ。そこでエネルギーが生まれると、音が呼吸をするようになる。僕としても、気づいたら長時間が経っている、そんな感じなんだ。今度の来日もDJ BAR Bridge Shinjukuでやるんだけど、どんなプレイになるのかはまだわからない(笑)。
SiiiCK 長年日本に来ていますが、オーディエンスの変化みたいなものは感じますか?
ティミー この数十年で大きな変化はあったと思う。どんどん新しい音楽が生まれて、誰もが音楽を作るようになって、今の人たちは昔ほど音楽に注意を向けなくなった。昔は音楽のためだけにパーティに出かけてたんだよ。でも、日本には僕の音楽を聴いて、僕とともに成長してきたような人たちがたくさんいる。他のどんなところよりも、何故このパーティに来てるのかわかってるんだ。
The Shelterの始まり、ジャンルを超えた音楽愛
SiiiCK あなたの音楽に対する愛はどこから始まったのですか?
ティミー 楽曲を聴くところから始まった。家でママがいつもアル・グリーン、テディ・ペンダーグラス、アース・ウィンド&ファイアー、アンジェラ・ボンフィル、フィリス・ハイマンなどなど、いろいろな曲をかけてたんだ。パーティで言うと、パラダイス・ガラージが大きなきっかけになったね。それが僕を音楽の世界に引き込んだんだ。
SiiiCK パラダイス・ガラージは1987年にクローズしましたが、あなたは4年後の1991年にThe Shelterをオープンしました。多くの人がパラダイス・ガラージを惜しむ中、The Shelterはどういうクラブにしようと考えました? あなたはパラダイス・ガラージを再現するのでなく、違うアプローチを取りましたよね。
ティミー その通りで、パラダイス・ガラージをもう一回やるつもりはなく、自分のホームを作りたかった。当時のNYには本物のハウスミュージックをかけるところがなかったから、自分の愛する音楽をかけるホームを作りたかったんだ。音楽の方も、いろいろなジャンルの曲をプレイしたかった。それで、ジャズ、サルサ、アフロといった音楽をかけるようになった。ロングセットで時間はたっぷりあったから、かけたい曲はたくさんあった。ジャンルはいろいろあるけれど、そのどれもが音楽なんだ。それに、The Shelterは単にクラブというよりも、コミュニティにしたかったんだ。
SiiiCK アフロと言えば、それこそあなたは南アフリカの人たちがハウスミュージックをやる以前から、ハウスミュージックとアフロミュージックの融合を形にしていましたよね。
ティミー The Shelterではフェラ・クティのようなアフリカの音楽をかけて盛り上げてた。アフリカの音楽を好きで聴いてたし、融合してみたら上手くハマったんだ。ハウスミュージックにトライバルビートやチャントを入れて、グルーヴを生み出すんだ。そもそもアフリカは音楽が生まれた場所なんだよ。ほとんどの音楽のルーツはアフリカにある。そのDNAは僕たちの中にも流れてるからね。
SiiiCK 2007年に出した1stアルバムは、タイトルからして『Africa Calling』でした。長いキャリアの中で初のアルバムでしたが、アフリカについて伝えたいものがあったからリリースしたのですか?
ティミー その通りだ。アフリカの音楽はクラブでかかるべきだと思ってた。『Africa Calling』では、アフリカのリズムを入れつつも、モダンでソウルフルな音楽をやりたかった。アフリカのカルチャーを紹介したかったんだ。
SiiiCK 南アフリカの女性シンガー、Toshiと一緒にやった曲は素晴らしいです。
ティミー 彼女の曲を聴いて衝撃を受けたんだ。それで南アフリカに行って、彼女を探した。そこから一緒に曲を作るようになったんだ。
レーベル仕事、ダンサー、来年35周年を迎えるThe Shelter
SiiiCK あなたはDJ活動だけでなく、いくつかのレーベルでA&Rや副社長を務めてきましたが、これはアプローチさえ違えど、良い音楽を世に紹介したかったからですか?
ティミー これも音楽に対する愛だね。僕が探したアーティストは、ヒットを飛ばすアーティストというよりも、人を感動させるアーティストなんだ。
SiiiCK Restricted Accessを設立して、R&Bのヒット曲をハウス・ミックスして出したり、2012年の『Covers』のように、シャーデー、スティング、フィル・コリンズ、コリーヌ・ベイリー・レイといったアーティストの曲をハウス・ミックスしたりしてきましたよね。
ティミー 良い曲を聴くとダンスしたくなるよね。名曲をダンストラックにすれば、オーディエンスも知ってる曲だし、ダンスしたくなる。それに当時、アンダーグラウンドでかかる曲には歌がなくなってきてたんだ。クラブでみんなが知ってて大好きな曲を聴けるようにしたかったというのもあるね。
SiiiCK A&Rとしては、エリック・B&ラキムやボーイズIIメンのような、ヒップホップ、R&Bも手がけているんですね。
ティミー 彼らの曲を聴いたら良かったから、契約したんだ。ボーイズIIメンは最大の契約になったよ。ダンスミュージックの方は、Colonel Abramsの「Trapped」に思い入れがあるね。
SiiiCK Shelter Recordsを始め、多くのレーベル運営に携わりながら、自身のレーベル以外からも数多くリリースをしてきましたよね。最近ではAccess Recordsからのリリースが多いですが、これはRestricted Accessの後継レーベルのようなものでしょうか?
ティミー その通りだ。Access Recordsには関わってもいる。
SiiiCK 最近ではCoflo、Conway Kasey、Deep House Gooなど、ダンサー出身のプロデューサー、DJの活躍が増えてきたように思います。あなたにとってダンサーとはどういう存在ですか?
ティミー ダンサーは非常に重要な存在だ。ダンサーがいなければパーティは成り立たないからね。ダンサーの発するエネルギーがパーティを盛り上げるんだ。それに僕は元々ダンサーだから、ダンスフロアの出身ということになる。だからダンスフロアで踊りたくなる曲を聴きたい。それで、自分でもそういう曲を出してるつもりだ。歌のリリックを気にせずに音楽を聴きたい時は、インストトラックを作ってる。
SiiiCK 楽曲制作において最も意識していることは?
ティミー 音楽の持つ要素すべてだね。
SiiiCK 2013年の「Sometimes」のMVには、Dance FusionのSHAN'Sたちとともに、あなたがルーティンを踊っているシーンが収められています。MVのコンセプトはあなたが決めたとのことですが、どういうコンセプトだったのでしょうか?
ティミー あれは音楽の力だね。あのMVはみんなで楽しんでいただけなんだ。僕もダンサーもDJもプロデューサーも一緒にいるよね。ダンスフロアってそういうものじゃないかな。それが本当のカルチャーだと思うんだ。
SiiiCK 来年のThe Shelterの35周年に向けて、何か考えている企画はありますか?
ティミー NYでパーティもやるし、リリースも予定してる。今やThe Shelterのファミリーはグローバルだからね。長い年月やってきた歴史もあるけれど、今なお人を動かすエネルギーがあるということが重要なんだ。
SiiiCK The Shelterは世界で最も長く続いているハウスミュージックのパーティだと思いますが、あなたの情熱の源は何でしょうか?
ティミー 音楽に対する愛しかないね。音楽をプレイするのが大好きなんだ。
SiiiCK 最後に、日本の人たちにメッセージをお願いします。
ティミー みんなに楽しんでほしい。是非みんなで来てほしいね。
wOrld connection - TIMMY REGISFORD -
8月1日(金)DJ BAR Bridge SHINJUKU

昨年末初登場を果たしたTIMMY REGISFORDが今年もOPEN TO CLOSE SETで登場
Line-up:
TIMMY REGISFORD - OPEN TO CLOSE SET -
Open 21:00
¥3000 Door
*Before 22:00 with 1 Drink
DJ BAR Bridge SHINJUKU
https://djbar-bridge.com/shinjuku/
Instagram: @dj_bar_bridge_shinjuku
X: @djbarbridge
SiiiCK Official
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