’80年代には弟のマイク・ミュアー(スイサイダル・テンデンシーズ)も加わって、ヴェニスからカルチャーを発信していくリーダー的な存在となった。スケートボードを軸に、音楽、アート、さらにはスタイルとアティテュードが加わったのが、DOGTOWNというカルチャーである。このSiiiCKの連載では、DOGTOWNを愛する様々な人たちに登場していただき、スケートボードとカルチャーのつながりとルーツを紐解いていきたいと思う。
第5回目は、バンド「NUMB」からヴォーカルのSENTAとギタリストのNATSUOが登場。NUMBは1995年、SENTAとNATSUOを中心に結成された東京のハードコア・バンド。現在のメンバーは他に、YURI(Gu)、YUSUKE(Ba)、SEKI(Dr)がいる。’90年代の様々な音楽からのインスピレーションを元に、オリジナル・スタイルを追求し続けてきたバンドだが、NY以前にはLAのスタイルからも影響を受けたという。
ライヴ出演前の東高円寺二万電圧にて撮影を行った。
Photography: Jesse Kojima
最初に出会ったLAカルチャーがDOGTOWN
SiiiCK 最初にDOGTOWNを知ったきっかけは?
SENTA 僕は雑誌のFineですね。高校生の時にチーマーのブームがあって、その一環としてファッションの渋カジがあって。その流れの一個にLAのスケートスタイルがあったので、それが最初に知ったきっかけですね。当時の先輩の第1世代の人たちが着てたDOGTOWNをもらってました。DOGTOWNはとにかくレアでしたよね。
NATSUO クロスのバンダナが狩られるような時代でしたね。エアマックスが狩られる前です。希少価値が高かったから。
SENTA DOGTOWNにはエリック・ドレッセン、スコット・オースターという有名なスケーターが所属してましたね。僕はちょっとスケートをかじってたので。
SiiiCK 実はNYよりも先にLAのカルチャーにヤラレたわけですね。
SENTA そうなんですよ。あのファッションはわかりやすい不良の格好ではあったので、興味を持ちますよね。スイサイダル・テンデンシーズもFineで知って、DOGTOWNのジム・ミュアーの弟がやってるっていうのも学びましたね。僕はそもそもNYハードコアがスゴい好きですけど、同時にヴェニスのスケートロックも大好きだったので。何が好きだったのかっていうと、悪そうな格好をして音楽をやってるというのが好きだったんでしょうね。当時はそこに引っかかったんだと思います。
SiiiCK それ以前のパンクロックのカルチャーは通りました?
SENTA パンクも好きでしたよ。
NATSUO クラッシュとか。
SENTA 僕はTHE BLUE HEARTSから入りましたね。そこからUKも聴いたし。掘っていくうちに、西海岸のディセンデンツにもぶち当たって。でも、UKっぽい格好はしなかったですね。
NATSUO それよりもスケーターですね。キャップで短パンみたいな。
SENTA 当時のアメリカの身近な格好でハードコアをやるというのに衝撃を受けたんですよ。あと、スケーターはどこの中学にもいたから、とっつきやすかったんです。街の流れから入ってきたような気がしますね。出会うべきして出会った感じもあります。
NATSUO 先輩からの流れの感じもありましたね。
SENTA 高校の時に、渋カジ派とスケーター派に割れたというか。
NATSUO SENTAは高1の時、ハウス・オブ・ペインのエヴァーラストみたいだったよね。
SENTA スイサイダルも大好きで、バイオハザード、アグノスティック・フロントも好きで。結局、全部Fineの影響ですよ。Fineに出てるものが楽しくて、よく立ち読みしてました(笑)。こんな文化があるんだなというのをそこで知りましたね。
NATSUO 知っていればモテるんじゃないかと思って(笑)。
SiiiCK NUMBが出てきた時、同世代のバンドもそうですが、お洒落だなという印象がありましたよ。
SENTA Fineでバンドのファッションも見れたのはデカかったかもしれないです。他の雑誌で見るバンドは白黒の記事だったけど、Fineはカラーでファッションを見れたんですよ。当時は今みたいにインターネットがなかったから、どういうファッションをしてるのかは、先輩にもらった変なVHSを観るしかないんですよ。でもFineを見ると、「ああ、Dickiesを履いてるんだ」とかがわかって、学べたんです。その中でもスイサイダルはインパクトのあるファッションでしたね。短パン、タンクトップ、ペンドルトンのネルシャツ、キャップを曲げて、クロスのバンダナで。あのスタイルはジェイ・アダムスからの影響もあるんですよね。
SiiiCK 好きだったDOGTOWNのデザインはありますか?
SENTA 僕が持ってたのは、スコット・オースターの龍のデザインのパーカで、エリック・ドレッセンのデザインも持ってました。渋谷に行ったらやっぱり目立ったから、僕も狩られそうになりましたよ。
NATSUO クロス・バンダナはゲットできなかったですね。
SENTA 本物はね。ニセモノもあったから。
SiiiCK 割と今に至る原点はDOGTOWN、スイサイダルにあった感じなんですね。
SENTA NYハードコアの人もそこを意識した人がたくさんいると思うんですよね。
左、SENTA
DT JACQUARD BORDER LS TEE ¥16,500
右:NATSUO
DOGTOWN DT VELOR TRACK JKT ¥21,780

NYハードコア、ヒップホップの影響
SiiiCK NYハードコアは一番最初はスキンズの格好だったと思うんですよ。でも、マーフィーズ・ロウがスケーターの格好をし始めたし、Underdogもスケーターのバンドでしたよね。そこからそういうスタイルが増えていった気がします。二人の音楽とファッションのクロスオーバーは、どのような感じでLAからNYの方に移っていったのですか?
SENTA NYハードコアのライヴビデオを観たんですよ。とにかくモッシュとかステージダイブとか、お客さんが激しいビデオが多いじゃないですか。
NATSUO あと、NYは寒いからアウターを着てるのが良かった。
SENTA 簡単に言うと、東の音楽の方がヒップホップの流れもあって、ドープだと思ったんです。’92年あたりは東のヒップホップ文化がとにかく好きで。LAはその後にドクター・ドレーとかも出てくるんですけど、NYの方が東京に近いところがあると思ったんです。ただ、西の良いところ、東の良いところ、僕は両方好きでしたね。ファッション的にもそうで。ある日はスイサイダル、ある日はバイオハザードみたいな。ちゃんと2種類持ってましたよ。
NATSUO ドラム缶で焚き火して、寒そうにしてるPVを撮りたいと思ったのも、東の影響ですね。東と言えば、バイオハザードはとにかく衝撃でした。
SENTA DOGTOWNに関しては、スケートと音楽というのがまずあって。先輩のスケボーのビデオを観ると、音楽はハードコアが入ってたんです。THRASHERを見ても音楽はハードコアで。「これは何だ?」というのをずっと続けていって、勉強してきましたね。
NATSUO 「バッド・ブレインズ、知らないだろ? 聴いとけ」っていう先輩もいましたね。
SENTA D.R.I.もそれで知りましたからね。あと、Fine Nightで一番覚えてるのは、バイオハザードとベオウルフが出演した時です。何故か俺らもそこに入れたので、フライヤーを配りに行きました。ベオウルフを見た時、初めて生で本当にLAな感じのルックスを見れたので、やっぱり本当にいるんだなと思いましたよ。でも、スイサイダルの’93年のツアーは行けなかったんです。ただ、何故かそのTシャツは持ってて。ロバート・トゥルジロが入って、1stアルバムを再録したアルバム『Still Cyco After All These Years』がありますよね。実はあのアルバムが一番好きなんですよ。音が良くなってるけどオリジナルを損ねてなくて、カッコいいんです。スイサイダルは大好きでしたね。
SiiiCK NUMBを結成する頃には、ファッションはどう変わっていきました?
NATSUO ニュースクールのアディダス・ブームみたいなのもいいなと思ってた時ですね。
SENTA ’95年になるといわゆるニュースクールという、現在のメタルコアの祖みたいなシーンが出来て。そこでみんなが私服のファットな格好でメタルをやるというのが出てきて。でもその格好は基本的にはスケーターからの流れなんですよ。スケートの方も、REALとかgirlとか、ニュースクールと言われたブランドが出てきて、そこにはちょっとヒップホップも入ってきたんです。僕らもちょっとそっちの流れに変わっていったというのはあるかもしれないですね。あの時は世の中的にヒップホップがスゴく強かったから。
SiiiCK ドレッドにしていたのは?
SENTA KORNと見せかけておいて、25 ta Lifeなんですよ。アディダスだし、KORNなんじゃないかとみんな思ってたはずですけど。
NATSUO Earth Crisisもあの感じだった。
SENTA あの時の東海岸はスゴくお洒落だったんですよ。当時のハードコアって、「こういう感じ」という決めつけみたいなのがあったじゃないですか。そういうのを出したくないという気持ちはあったかもしれない。それってスゴいパンクの気持ちかもしれないですよね。最初は大きな服を着てるという理由で、スゴい批判されましたよ。でも俺たちはやっぱりあれをやりたかったんですね。完全にあの時代の文化とフィットした感じで。その頃にはWARPも創刊されて、新しいヒップホップ・アーティストの格好も見れるようになったんですよ。
SiiiCK 当時のニューメタルにしても、そういう格好でメタルをやるバンドが出てきたわけだから、影響力もそこまで及んでいたことになりますよね。
SENTA だから、’92~’95年あたりのカルチャーは僕はスゴい好きですね。その頃は、DOGTOWN、スイサイダルも第3世代ぐらいのブームが来てましたね。スイサイダル自体の格好も、靴がVansじゃなくてNIKEのデルタフォースになったりして。’90年代の独特な感じですけど、今はまたあの感じが逆にスゴい好きですね。本当、ヒップホップもレゲエも何でも聴いてたし、その人たちの格好がまたカッコ良かったんですよ。俺たちの世代は何でも聴いてたし、実はダンスホールも大好きでめちゃ聴いてたんです。
SiiiCK 渋谷NUTSのイベント、ラガナッツにもいましたからね。
SENTA いました。とにかく音楽が大好きでしたね。ハードコアをやりつつも、HARLEMとかclubasiaに行って、渋谷に繰り出してました。僕の格好もクラブにフィットするような格好だったので。やっぱり音楽ありきのファッションとカルチャーが好きなんですよね。
NATSUO 僕は東が好きになると東ばっかりだったんですけど、後々になって、西がアメリカのカルチャーだというのもよくわかったんですよ。でもアウターはやっぱり東にしかない(笑)。あの寒そうにしてるのがカッコいいと思ったのは、東京も寒いからで。でも神奈川に引っ越してみると、西の文化が好きな人が多くて、全然東京とは違うんです。それに、すぐに人ともつながれるんですよね。
SENTA 当時、鵠沼のC.C.C.にも行きましたよ。DOGTOWNはあそこにしか売ってなくて。クロス・バンダナもあそこにしかなかったから、高校の帰りに買いに行きましたね。
NATSUO そこの人たちとも後々知り合うんですよ。
SENTA
DOGTOWN M51 ECO LEATHER Short Jk. ¥20,350

NUMBが大切にするカルチャー
SiiiCK そう言えば、NUMBはスイサイダルと一度共演していますよね。
NATSUO VOLCOMのイベント(2017年、新木場studio coastでの「VOLCOM Entertainment LIVE vol.9」)ですね。
SENTA 最高でしたよ。ドラムがデイヴ・ロンバードだったので。スゴかったですよ。
NATSUO 「ドラムのオカズをもっと入れた方がいいのか」ぐらいに暇そうでした(笑)。
SENTA 余裕で楽しそうに叩いてましたよ。スイサイダルは偉大ですよ。ハードコアの歴史の中で一つの流れを確立しましたからね。
SiiiCK NUMBがDOGTOWNと共通しているなと思う部分があって。地元をレペゼンしているところと、マーチャンダイズが凝っているところなんです。
SENTA NUMBは落合シティハードコアですからね。OCHCだから、オレンジ・カウティ・ハードコアと同じなんですけど(笑)。西のストレート・エッジ・バンドも、Uniform Choiceとか好きでしたね。あと、スイサイダルの流れで、ベオウルフ、No Mercy、Excelも好きになって。Excelも一緒にライヴをやりましたね。Excelのアートショーも行って、マイケル・シーフの原画も見ました。でも、映画『DOGTOWN & Z-BOYS』を観ると、やっぱりジェイ・アダムスがカッコいいんですよね。「俺はストリートにとどまる。おまえらはロックスターだろ」みたいに言ってて。あの人はハードコアな感じがありますよね。あと、クリスチャン・ホソイも人気ありましたよね。日系人がやってるのが衝撃で、ホソイの日章旗のデザインも流行りましたよね。ショーゴ・クボにしても日系人ですよね。
SiiiCK 今、DOGTOWNとコラボをするとしたら、どういうものを作りたいですか?
NATSUO ベーシックなものですね。胸元には文字だけのロゴがいいですね。
SENTA NUMBでも一回だけ、DOGTOWNのオマージュで作ったものがありますよ。
SiiiCK NUMBの今後の予定を聞かせてください。
SENTA ニュー・アルバムが出ます。アメリカ盤はアナログの12インチで、Triple-B Recordsというアメリカのレーベルから12月の発売を予定してます。国内盤に関しては、CDを来年1月あたりにリリースする予定です。レーベルなどは追って発表します。またアルバムのジャケットはスゴい方にデザインしてもらってますので、発表を楽しみにしていてください。
SiiiCK そう言えば、NATSUOは日本のDOGTOWNの企画も担当しているんですよね。
NATSUO 自分が見てきた西と東の文化が上手く混ざればいいなと思ってて。あと、僕らの先輩たちでDOGTOWNを愛してた人たちが多いので。今までの日本のDOGTOWNだと届かないところがあったと思うんですけど、その人たちと一緒に何かを作れたらいいなと思ってて。そこでカルチャーをつなぐことができたらいいなと思ってます。
NATSUO
DT WOOL CHECK SHIRTS ¥20,350, ROCKY GEORGE CAP ¥10,780

DOGTOWN DT VELOR TRACK JKT ¥21,780
カラー:Brown、Navy
サイズ:M L XL
素材:Polyester100%
https://www.dogtownskateboards.co.jp/ja/products/dogtown-dt-velor-track-jkt?variant=44717602832524

DT WOOL CHECK SHIRTS ¥20,350
カラー:Blue、Purple、Green
サイズ:M L XL
素材:Polyester83%、Rayon15%、Polyurethane2%
https://www.dogtownskateboards.co.jp/ja/products/dt-wool-check-shirts?variant=44546900820108

DT JACQUARD BORDER LS TEE ¥16,500
カラー:Cream、Navy、Black
サイズ:M L XL
素材:Cotton100%
https://www.dogtownskateboards.co.jp/ja/products/dt-jacquard-border-ls-tee?variant=44546759524492

DOGTOWN M51 ECO LEATHER Short Jk. ¥20,350
カラー:Burgundy、Black、Brown
サイズ:M L XL
素材:Polyester88%、Polyurethane12%
https://www.dogtownskateboards.co.jp/ja/products/dogtown-dt-velor-hz?variant=44717600309388

DOGTOWN
https://www.dogtownskateboards.co.jp/ja
Instagram: @dogtownskate_jp
Facebook: @dogtown.jp
NUMB
Instagram: @numb_thc
YouTube: @NUMBthc
SENTA
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