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MOONGA K. アフリカからブラック・ミュージックの歴史に名を連ねるであろう新たなる鬼才が登場

もし、未来が喜びを通して私たちを記憶していたとしたら? ムーンガ・K.のニュー・アルバム『SOULWAVE 2153』は、そんな問いから始まる。

2153年から'70年代へと送られたファンクのメッセージが、現代のアフリカで受信されるというSF的な物語。その時空を超えて届く放送の中には、アメリカとアフリカのブラック・ミュージックが受け継いできた文化、アイデンティティ、抵抗、そして生きるための力が刻み込まれている。

ファンク、ソウル、レゲエ、ディスコ、エレクトロニカ、ザムロック……様々な音楽の記憶を自在に横断しながら、ムーンガ・K.は過去を再現するのではなく、そこからまだ存在しない未来を想像する。『SOULWAVE 2153』の音楽はグルーヴと躍動感に溢れ、リリックはパーソナルなストーリーテリングを超えて、聴き手に覚醒を促していく。プリンス、サン・ラー、ファンカデリック、スティーヴィー・ワンダーらから受け継いだ精神を、現代のアフリカという場所から更新していくかのようだ。

ザンビア生まれ、ボツワナ育ち、現在はヨハネスブルグを拠点に活動。累計1,000万ストリーミングを超え、世界中のメディアからも注目を集める29歳。ソングライター、ヴォーカリスト、プロデューサー、クリエイティヴ・ディレクター、そしてアクティビストとして活動する彼の音楽は、ジャンルという境界線そのものを自由に超えていく。

ファンクは過去の音楽ではない。それは、未来へ何かを伝えるための方法なのかもしれない。

『SOULWAVE 2153』を手がかりに、ムーンガ・K.にとっての音楽、アイデンティティ、そして過去・現在・未来について話を聞いた。



日本とのつながり


SiiiCK ニュー・アルバム『SOULWAVE 2153』はスゴく楽しみにしていましたが、聴いた瞬間に名盤だと思いました。


ムーンガ・K. ありがとう! ちゃんとセンセーションを起こせるものを作ろうと思って、スゴく頑張ったんだ。


SiiiCK Xでは日本語のメッセージで投稿していましたね。


ムーンガ・K. この5年間、僕の音楽に対して、日本からは本当にたくさんの愛をもらってきた。だから、P-VINEと一緒にこのアルバムを日本でリリースできたのは、スゴく良い巡り合わせだと思っている。このアルバムがリリースされてから、ますます日本に行ってみたいという気持ちが強くなったよ。実際に日本に行って文化を体験したいし、ライヴもやってみたい。


SiiiCK P-VINEとはどのように話が進んだのですか?


ムーンガ・K. このアルバムを作り始めたのは今年の3月なんだ。数日間で一気に作って、その後、アメリカにいる共同プロデューサーのライアン・マーシャルと一緒に、作品を形にしていった。4月に完成が見えてきた中で、日本のレーベルについて調べようと思って、「Japanese labels」ってGoogleで検索したんだ。そこで、いくつかのレーベルにメッセージを送ったところ、P-VINEが1時間以内に返信をくれて。「あなたの音楽がスゴく好きだから、アナログ盤で出したい」って、興味を持ってくれたんだ。自分にとって初めてのヴァイナルだったから、スゴくうれしかったよ。しかも日本ならではの帯も付いているのが、最高にクールなんだ。僕にとっては3枚目のアルバムだし、ちょうど30歳になる前にリリースされることになったんだ。


SiiiCK 今の日本は、あなたにはどのような国に見えていますか?


ムーンガ・K. 僕はアニメを見て育ったんだよね。双子の姉妹がいて、二人ともアニメが大好きだ。子供の頃はデジモンが一番好きで、『エウレカセブン』も好きだった。でも、それ以上にずっと好きだったのが、日本のファンクなんだ。'70年代から今に至るまでの日本のファンクが好きで、日本で一番好きなアーティストはNao Yoshiokaだ。あと、日本のフィジカル・メディアに対するこだわりも大好きだね。父もミュージシャンで、カセットやCD、ヴァイナルがちゃんと家にはあったから、自分もフィジカル・メディアを聴いて育った。だから、できるだけ早く日本に行けたらいいなと思って、本当に、本当に、楽しみにしている。


SiiiCK 昨年リリースしたEP『OUTLAW』は、カントリーのレコードでしたが、ストーリーテリングが素晴らしい作品でした。でも、今回の新作を聴くと、さらに新しい次元に行っているんですよね。それは音楽性だけではなくて、ストーリーテリングも含めてのことなんですけど。


ムーンガ・K. ありがとう。『Outlaw』では、自分がカントリー・ミュージックが大好きだから、その世界に入っていった。それに、数年前に祖母を亡くしたんだけど、祖母は若い頃からカントリー・ミュージックが大好きだった。だから、あの作品を通して祖母に敬意を表したかったんだ。それで今回は、もっと未来的なものを語りたいと思った。昔からSFとアフロフューチャリズムにはずっと夢中だったんだ。ファンカデリック、アース・ウィンド&ファイア、ジャネール・モネイ、スティーヴィー・ワンダーといったアーティストからインスピレーションを受けてきたし、音楽の中に一つのSFストーリーを作りたかった。そこにあるのは、喜びや反抗、愛、コミュニティで。最初から最後まで、聴いている人に、「今、冒険に連れていってもらっている」というのを感じてほしかった。しかも、その冒険はとにかく幸福で楽しいものなんだ。それと、今回は生楽器をたくさん取り入れている。ストリングスは本物だし、ホーンも入っている。バックヴォーカルもギターもいる。このアルバムを聴いた時に感じる楽しさ、喜びと同じものを、ライヴでも体験してほしいと思っているんだ。


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2153年から’70年代へ向けて送信されたタイムトラベル型のファンク・ブロードキャスト


SiiiCK アルバム全体のコンセプトとして、未来の2153年から過去の’70年代へ向けて送信された、タイムトラベル型の放送になっていますよね。何故2153年で、何故'70年代なのですか?


ムーンガ・K. これまで、人から「自分のことをどう説明する?」って聞かれた時に、「自分はムーンガ・K.で、21歳で既存の秩序を壊して、パラダイムを変えるために生まれた」って話してきたんだ。だから、それにちなんだプロジェクトの名前を付けたかった。それと、ずっと'70年代に夢中だったんだ。モータウン、スティーヴィー・ワンダー、アース・ウィンド&ファイア、スライ・ストーン……。'70年代って本当にカラフルで、エネルギーに満ちていたと思うんだ。パンクのシーンだってあったし、日本のファンクも開花していた。だから、自分が今こうしてアーティストとして活動できているのを支えてくれた、偉大なアーティストたちに敬意を表したかった。同時に、それを2153年という未来へ持っていきたかったんだ。このジャンルをどこまで進化させられるのか、どこまで持っていけるのかを見てみたかったんだ。


SiiiCK 今回スゴく感じたのは、'70年代のファンクも含めたアメリカのブラック・ミュージックからの影響なんですよね。以前、ザンビアで生まれたザムロックを掘ったことがあるのですが、'70年代のファンクやソウル・ミュージックに、サイケデリック・ロックやハードロックが組み合わさっていて、スゴく面白かったんです。あなた自身の音楽的なバックグラウンドとして、子供の頃からアメリカのブラック・ミュージックとかザムロックにはかなり馴染みがあったのでしょうか?


ムーンガ・K. もちろん。僕はアメリカに親戚がいるし、アメリカの教育システムの中で育ったというのがある。だから、生まれた時から身の周りにあったものは、基本的には西洋の文化だった。一方で、ザムロックの歴史に触れ始めたのはここ数年のことで、そこにも敬意を表したいと思っている。自分の音楽の多くはアメリカ的だったり、西洋化されたものだったりするんだけど、同時にアフリカからの影響も取り入れたい。アフリカの楽器、音、歌に敬意を表したいんだ。僕の音楽自体は、かなり深いところでブラック・アメリカン・ファンクに根ざしていると思う。


SiiiCK それでも、一つの音楽スタイルにこだわっているわけじゃないですよね。むしろジャンルの境界を超えている感覚がありました。


ムーンガ・K. 間違いなくそうだね。正直に言うと、僕はスゴく飽きっぽいんだ(笑)。もしかしたらADHDなのかもしれない。昔から一つの音楽の道だけを歩いてきたタイプじゃないんだ。それに、1曲の中でもテンポを変えたり、メロディを変えたり、突然別のものに展開したくもなる。とにかく音楽を面白くしておきたいからだし、自分自身もワクワクしていたいんだ。いろんなものを組み合わせて、「これってちゃんと意味が通るかな?」って試してみるのが楽しいんだ。


SiiiCK ジャンルの境界を超えるという意味では、あなたの音楽を聴いていると、スティーヴィー・ワンダーやプリンスの名前がまず頭に浮かびます。実際に尊敬していたり、影響を受けていたりする、同じような精神を持ったアーティストはいますか?


ムーンガ・K. そう言ってもらえると、本当に光栄だよ。スティーヴィー・ワンダーは、自分にとってオールタイムで一番好きなソングライターだからね。彼のストーリーテリングや人に何かを感じさせる力は、それこそが自分がずっとやりたいと思ってきたことだ。もちろんプリンスもそうだし、エリカ・バドゥ、ジャネール・モネイもいるし、ディアンジェロも忘れちゃいけない。彼らはみんな、僕が今の自分になるためのインスピレーションを与えてくれた人たちだ。そして、常に進化し続けること。この世界で自分たちは何者なのか、ブラック・アーティストとして、ブラック・ピープルとして、そして一人の人間として、常に問い続けること。そういったことを僕は音楽に込めたいんだ。楽しい音楽でありながら、社会的な意識も持っていて、ちゃんと人を楽しませることができるもの。彼らは自分の道を切り開いてくれたアーティストだから、心からリスペクトをしている。


SiiiCK 先ほどあなたが新しい次元に行ったと話しましたが、以前の曲は自分自身のストーリーを歌ったもので、よりパーソナルなものだったと思うんです。でも今回のアルバムでは、自分自身についても語っているけれど、それと同時に、リスナーに向かって語りかけていて、そこは今回は大きな違いだと思いました。


ムーンガ・K. 本当にそうだと思う。これまでのプロジェクトにも、友人やコラボレーターは参加してくれたけれど、今回のプロジェクトは、完全に「コミュニティ」だったというのもある。ストリングスやホーンのプレイヤーもいて、自分が一緒に仕事をしてきた中でも、一番大きなグループになっていた。最初の段階から、このプロジェクトは自分よりも大きなものだった。それは、今のような厳しい時代の中で、希望を必要としているすべての人に語りかけるという意味でね。僕が強く感じたのは、つながりを感じてほしいということだった。というのも、みんなそれぞれが違う感情を抱えているし、それぞれが違うことを経験している。でも、それがたとえ暗い瞬間であったとしても、僕たちは一緒にならないといけない。だから、僕はこのアルバムを通して、僕たちが一緒になった時に、どれだけ強くなれるのかを伝えたかったんだ。抵抗する時も、愛する時も、喜びを感じる時も、僕たちは一つの集団として、ものスゴく強い力を持てるんだ。人間は一人きりでは生きられないからね。それに、自分自身も一人ではいたくない。音楽って、たくさんの人が関わった時にこそ、最も特別な体験になると思うんだ。だから今回のアルバムでは、自分自身を解放して、たくさんの意見やコラボレーション、そしていろんな人からの貢献を受け入れるようにしたんだ。


MOONGA K. - BIG EGO


SiiiCK 表面的に聴けば、愛や希望について語っていたり、スワッグやセルフ・ボースティング、パーティの雰囲気があったりもしますが、その奥にはさらに何かがありますよね。それは、そこにたどり着くまでに、あなた自身がいろんな葛藤を経験して、それを乗り越えてきたからだと思うんです。だからこそ、自分への自信を持てるようになれたし、それを今度は聴き手と分かち合い、彼らをもっと高いところへと連れていきたいのではないでしょうか。


ムーンガ・K. まさにその通りだね。今の話を聞いて、改めて自分でも考えさせられるよ。実は、そこまで深く考えたことはなかったんだ。最終的に、僕が自分の音楽を聴いた人に感じてほしいのは、「癒やし」なんだと思う。自分はいろんな形で、いろんな苦しみを経験してきた。それについて書いて、書いて、そして歌い、歌うことでそれを乗り越えていく。そして、それが聴いている人にも伝わって、深いつながりを感じてもらえたら、自分としてはちゃんと仕事ができていることになるんだと思う。


SiiiCK 今回はアルバムのジャケットもいいですよね。あなたはファッションのスタイルも大胆で、他の誰とも似ていませんよね。でも、今回は何も着ていない、生身のムーンガ・K.という人間がいるだけです。それに、髪型もハートの形になっているんですよね。


ムーンガ・K. そこに気づいてくれてありがとう。ヴァイナルにしてもらえるってわかった瞬間に、スゴく特別なものにしたいと思ったんだ。自分にとって初めてのヴァイナルだからね。カメラをまっすぐ見つめて、上半身裸で写ることで、生まれたばかりのような感じにしたかった。それから、髪を分けてハートの形にしてみたんだ。ジャケットを見た瞬間に「愛」というメッセージが伝わってほしかったから。これはいろんなことについてのアルバムだけど、そのすべての根っこには愛がある。愛は僕たちの中にあるし、頭の中にもあるし、身体の至るところにあるから、それを表現したかったんだ。それと同時に、未来的な雰囲気も出したかった。あの写真を撮ってくれたのは、子供の頃からの大親友のマリオンで、CDもヴァイナルも、全部彼女が撮影してくれたんだ。子供の頃から知っている彼女に初めて撮ってもらって、今こうして大人になって、一緒にヴァイナルのジャケットを作っている。それ自体が、また「愛」から生まれたものだと思うんだ。


SiiiCK それに、素肌に着けているジュエリーもクールですね。その中にはアフリカ大陸の形のものもありますね。


ムーンガ・K. 友人でクリエイティヴ・ディレクターのアニータが全部作ったんだ。それを身体に垂らしたら、かなり重かったけどね(笑)。アフリカのシンボルを入れたのは、古代アフリカの王族のような雰囲気を出したかったからだ。それも今回やりたかったことの一つなんだ。


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アルバムのコンセプトと楽曲に込めた思い


SiiiCK このアルバムは非常にコンセプチュアルな作品ですが、アルバム全体の大きな構想は最初からありました? それとも、1曲ずつ作っていって、徐々に形になっていった感じですか?


ムーンガ・K. アイデア自体はあったよ。ただ、曲を作っていく中で、「TRANSMISSION」を入れることで、すべてをつなげようと思いついたんだ。最初に曲を作った時は、いろんなジャンルを行き来していた。ファンクもあるし、レゲエもあるし、サイケデリックなものもあった。これを全部そのまま並べたら、あまり意味が通らないかもしれないと思ったんだ。そこで、「TRANSMISSION」を入れて、次の世界に移るためのちょっとした説明と、聴き手がひと息つけるような時間を作ってみた。20秒から1分くらいで、「ここから先はこの次元に移ります」っていう感じで。それをラジオ局の視点から語るというのが、スゴく面白いと思ったんだ。自分は今でもラジオが好きだし、特に'70年代のラジオが大好きなんだ。昔のブラック・アメリカンの映画を観ると、当時のラジオがどう使われていたかがわかるよ。スゴく楽しくて、エキサイティングで、グルーヴィなんだ。そういうのもあって、「自分の声の演技力を試してみよう」って思ったんだ。アニメの話に戻るけど、僕は子供の頃からずっと日本のアニメの声優になりたいと思っていた。だから、今回はそれをちょっと実現できたような気がするんだ。


SiiiCK 特に「TRANSMISSION 002」の後の流れがいいですよね。「HERE IT GOES」から「TO THE SUN」につながっていくのですが、スゴく美しいレゲエの曲で。そう言えば、あなたのお父さんはレゲエが好きなんですよね。だから、そこの影響もあったのかなと思って。


ムーンガ・K. 父親は今もレゲエ・ミュージシャンなんだ。だから、僕はジャマイカ人の叔父さんたちやジャマイカ音楽に囲まれて育った。でも、自分でレゲエの曲を作ったのは今回のアルバムが初めてなんだ。だから、これは父親に対するリスペクトということにもなるよね。それと、レゲエの中では、ロンドンの'70年代のラヴァーズ・ロックが一番好きなサブジャンルで。ここでもまた'70年代への執着が出てくるんだけど(笑)。ラヴァーズ・ロックはスゴく親密で、官能的で、美しくて。だから、このアルバムではそれをやってみたかった。「もしラヴァーズ・ロックが未来に存在したら、どんな音になるんだろう?」って。自分の中では、「2153年のラヴァーズ・ロックってこんな音なんじゃないか」というイメージがあった。


MOONGA K. - HERE IT GOES WITH I AM ROZE


SiiiCK 「TIME TRAVELLIN' LOVER」は名曲ですよね。最初は普通のラブソングかと思いましたが、実はいろいろな意味が込められていますよね。


ムーンガ・K. もちろんラブソングとして受け取ってもらってもいいよ。そこは人それぞれの受け取り方でいいんだ。でも、実際にはもっと「抵抗」についての曲になっている。実は、このアルバムを映画にしたいと思っていてね。アフロフューチャリスティックな映画にしたいんだ。2153年のサイバーパンクたちが、希望と抵抗、反逆のメッセージを過去、あるいは現在に送り返そうとして、タイムトラベルするような物語。「TIME TRAVELLIN' LOVER」は、その反逆のアンセムみたいなものだと思っている。人類を救うために、愛を持って行動するための歌であり、怒りに支配されないための歌でもある。今、自分たちが生きている時代って、政治や経済、世界情勢によって、すぐに怒りを感じてしまうよね。もちろん怒るのはかまわないんだけど、その怒りを上手く使うというのが大切なんだ。それは愛のある場所から怒りと向き合うということなんだ。


MOONGA K. - TIME TRAVELLIN' LOVER


SiiiCK 「TRANSMISSION 003」の後に続く最後の3曲では、さらに聴き手を導いて、スゴい高みにまで連れていってくれるような感覚がありますよね。ラスト曲の「HOPE!」は最後を飾るにふさわしい曲で、そのメッセージはやはり希望なんですよね。でも、その前の曲「BIRTHRIGHT」は、今この世界で起きている現実について歌うレベル・ミュージックで、他の曲とは違ってダイレクトなメッセージなんですよね。


ムーンガ・K. そうそう。あの曲は自分の中では、スティーヴィー・ワンダーとニーナ・シモンを掛け合わせたようなソングライティングになっている。ニーナ・シモンが、「アーティストは時代を映し出すべきだ。時代を映し出すことが自分たちの義務なんだ」と語っていたのがずっと好きで。自分は大学でも社会正義(ソーシャル・ジャスティス)を学んでいたし、社会から疎外されたコミュニティのために声を上げるということをずっとやってきた。だから、それを音楽に込めているだけのことなんだ。ただ、「BIRTHRIGHT」では、もっと直接的に、何が起こっているのか、ありのままを語りたかったんだ。2026年、そしてこれからの先の時代には、プロテスト・ミュージックがより必要になってくると思う。今の時代、投稿することもできるし、シェアすることも、署名することだってできる。それなのに、実際に自分の声で言わなかったら、自分の歌で歌わなかったら、先人たちがコミュニティのために正義を求めて歌ってきたように歌わなかったら、一体何をしているんだ?って思ってしまう。「BIRTHRIGHT」は、コミュニティによっては議論を呼ぶかもしれない。特に白人の人たちにとってはね。でも、そんなことは気にしていられない。自分はアーティストであり、アクティビストとしてここにいるわけだし。それが自分の義務だから。


MOONGA K. - BIRTHRIGHT



音楽アーティストとして果たすべき役割


SiiiCK では、2026年に音楽アーティストであることは、どういうことだと思いますか? アーティストとして果たすべき役割についてはどう思いますか?


ムーンガ・K. 自分の父親はずっとパン・アフリカニストだった。父はいつも自分と姉妹に、自分たちのブラックネスを愛すること、人を尊重すること、優しくあることを教えてくれた。でも同時に、この世界で起きている不正についても学ぶように教えてくれた。だから、子供の頃からずっと、人のために声を上げることは、自分の中に埋め込まれてきたものなんだ。スティーヴィー・ワンダーやマーヴィン・ゲイ、ジェイムズ・ボールドウィンのような、社会の不正に対して声を上げてきた偉人たちから影響を受けて育ったから、それをするのはごく自然なことなんだ。だから、アーティストでありながら、「自分は政治的なことには関わらない」なんて言うのは、スゴく馬鹿げていることだと思うんだ。どれだけそこから逃げようとしても、すべてのことは政治とつながっているからね。有色人種であること、移民であること、クィアであること、ニューロダイバージェントであること。そういうことが全部、他人が自分たちをどう扱うか、経済が自分たちをどう扱うか、政治家が自分たちをどう扱うかというのに関わってくる。そこで自分たちが一緒になって声を上げなかったら、どうなるんだ? 音楽には、人々を一つにつなげる強い力がある。だからこそ、僕たちが自分たちの声を使って、このことについて語り、人々に知ってもらって、そして権力を持つ側に立ち向かっていくことが重要なんだ。繰り返しになるけど、アーティストとして、自分たちが持っている才能を使って人々を支え、声を上げることは、僕たちの義務であり、仕事なんだと思う。汚い言葉を使って申し訳ないけど、「bullshitはbullshitだ!」ってはっきり言うことが重要なんだ。


SiiiCK あなたは聴き手をただ希望の場所に連れていくだけじゃなくて、目を覚まさせようともしているんですね。


ムーンガ・K. 「目を覚まさせる」ということについて言うと、自分がアーティストとして持っている力は、ファンクを通して発揮できるものだって気づいたんだ。ファンクって、人を踊らせるし、グルーヴさせるし、幸せにする。’70年代のファンクの歌詞をいろいろ見てみると、実は政治について語っているものがスゴく多いんだよね。でも、人々はカラフルな服を着て、ダンスフロアで踊っていた。ミュージシャンたちは、それを一つのツールとして使っていたんだよ。だから、このアルバムではファンクを「テクノロジー」と呼んでいる。テクノロジーって、本来はコミュニティや人々を前に進めるために役立つものだよね。自分は、ファンクにも世界を変えるためのツールになれる力があると思っている。だから、この音楽を通して人々を動かしたいんだ。そして、楽しんでほしい。


SiiiCK 今回のアルバムの曲をライヴでプレイするとしたら、どのようなライヴを考えていますか?


ムーンガ・K. 自分のビジョンはかなり大きいよ。「ちょっと落ち着け」って言われそうだけど(笑)。自分が考えているのは、フルのリズム・セクション。ギター、キーボード、ベース、ドラム。それに3人編成のホーン・セクション。サックス、トランペット、それにバックヴォーカルを3人、いや、10人でもいい。自分はクワイアが好きなんだ。それから、ストリングス・カルテットも一緒に連れていきたい。そうなると、15~16人の編成になるかな。もちろんお金がかかるのはわかっているよ。でも、それが自分の一番大きな夢なんだ。実は、日本の何人かのミュージシャンにはすでに連絡を取っていて、一緒に実現できそうな人たちもいるんだ。


MOONGA K. - UP (LIVE)



今後のビジョン


SiiiCK 今年後半と来年に向けては、どのようなビジョンを持っていますか?


ムーンガ・K. 年末までには日本に行きたいね。ライヴをやるのでもいいし、ソングライティングのセッションをするのでもいい。とにかく、日本の音楽コミュニティを実際に体験してみたいんだ。これまでたくさんの愛やサポートをもらったことに、本当に感謝しているから。それに、何というか、自分の魂が日本に呼ばれているような感じがするんだよね。


SiiiCK 最後に、日本の人たちに何かメッセージをお願いします。


ムーンガ・K. 日本のみんなに伝えたいのは、とにかく「ありがとう、ありがとう、ありがとう」だね。自分の音楽を聴いてくれて、シェアしてくれて、そしてフィジカル・メディアを買ってくれて、本当に感謝している。個人的には、日本に行ったら自然の美しいところを訪れてみたい。ワークショップやソングライティング、ヴォーカル・シンギングのような、自分がここでやっていることを通して、コミュニティに何かを還元するような活動を日本でもできたらなと思っている。


SiiiCK ところで、あなたの名前はどう発音するのが正しいのですか? 「ムーンガ・K.」で合っていますか?


ムーンガ・K. 「MOONGA」は「O」が2つあるんだけど、発音する時は1つの「O」なんだ。「マンガ・K」みたいな感じ(注:「マ」はマとモの間のような発音)。「マンガ」じゃないよ(笑)。子供の頃は、漫画が好きな子たちが「マンガ、マンガ」って言ってきて、よくからかわれてたんだ。「それ、僕の名前じゃないから!」って。まあでも、みんなそれぞれのやり方で覚えてくれればいいよ(笑)。


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『SOULWAVE 2153』

(P-VINE)

CD:2026年8月7日リリース

品番:PCD-25547

定価:¥2,750


LP:2026年9月23日リリース

品番:PLP-8400

定価:¥4,950

https://p-vine.lnk.to/2tyfJD

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Tracklist:

1. TRANSMISSION 001

2. BIG EGO

3. FLY

4. SOMETHING NEW

5. STRUT

6. TIME TRAVELLIN' LOVER

7. SATISFIED

8. TRANSMISSION 002

9. HERE IT GOES

10. TO THE SUN

11. STAR SURFIN'

12. TRANSMISSION 003

13. LET'S GET LOUD!

14. BIRTHRIGHT

15. HOPE!


LP

SIDE A: 1~7 SIDE B: 8~15



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