多様なジャンルのクリエイターが集結するNIGHT HIKEでは、様々なアーティスト、DJ、VJによるパフォーマンス、アートパフォーマンスやトークセッションなどが行われ、毎回、新たな発見や感動が次々と生み出されている。
2023年8月6日のスタート以来、NIGHT HIKEは数多くのアーティストたちを輩出し、その活動の幅を広げてきた。
この連載では、そういうNIGHT HIKEに関わるアーティストたちをいろいろ紹介していきたいと思う。
2回目にクローズアップするアーティストは、椎乃味醂(しいのみりん)。
2003年生まれ。2017年、ニコニコ動画から活動をスタートし、アーティスト、ボカロPとして、独自の表現を切り拓いてきた。
エレクトロやベースミュージックを大胆に呑み込み、ジャンルを自由に横断する音楽性、そこに哲学的な概念を織り込んだ歌詞が重なり、唯一無二の世界観を見せている。楽曲制作にとどまらず、DJやインタラクティヴアートなど、アウトプットの形も更新し続けている。
その領域横断スタイルは、自ら主宰する「StudioGnu(スタジオグヌー)」にも反映されており、普段は交わることのないジャンルの人々をつなぎ、メディア制作の新たなコミュニティの構築を試みている。
音源作品では、2025年に2ndアルバム『解釈系』と2nd EP『ハーモニー』を同時リリース。他にも、初音ミク公式、Ado、万博などを始め、TVアニメやゲームといったメジャーシーンでのワークスも多数手がけている。
音楽のバックグラウンド
SiiiCK 音楽のバックグラウンドについて聞きたいのですが、13歳の時にボカロPとしてニコニコ動画でデビューしたんですよね。
椎乃味醂 そうです。
SiiiCK 最初に音楽を好きになってから、ボカロPをやろうと思ったのは?
椎乃味醂 僕の人生で、音楽的に重要だったなと思う時間が三つあって。一個目が、母が幼少期から流していたジャズやハウスを流れで聴いていた時間です。例えば、NIGHT HIKEにも出演されている、大沢伸一さん(MONDO GROSSO)もここで知りました。ジャズに関しては、曲名はわからないけどスタンダードナンバーは大体聴いたことある、みたいな状態でしたが、ここでそういう音楽をわけわからないなりに聴いていたのが、音楽感覚の基礎になっている自覚もあります。BLUE NOTEやジャズ系のイベントへも時折行きました。小さい子供なんかいない場所なので、演奏者の方にもよくしていただいた記憶があります。名前を出して良いかわからないので伏せますが、著名なジャズベーシストの納浩一さんの方からエレキベースをいただき、今も時折使っています。その次に、小中学生の頃、3DSで音楽を聴いていた時間。3DSでインターネットに接続できるようになったタイミングで、能動的に音楽を聴く習慣ができて、初めてボーカロイドとか、東方とか、ニコニコインディーズのようなインターネット周りの音楽シーンに出会いました。その時聴いたwowakaさんというボカロPの「ローリンガール」という曲が、自分がボカロをやろうと思ったきっかけです。あとは、音楽を始めてからですけど、友人からいろんな音楽を教えてもらっていた時間は、自分にとって大きな転機でした。僕は元々ロックをよく聴いていたんですが、そいつはエレクトロ系にも造詣があって。MEGAREXとか、Snail’s Houseさんとか、yunomiさんとか、特に日本の同人シーンは彼が教えてくれましたね。エレクトロミュージックに触れてからは、そういった音楽を作ることが多くなりました。自分の中で音楽を聴いたり、始めるきっかけになったり、価値観が変わったのは、その三つかなと思います。
SiiiCK 確かに、椎乃味醂さんの曲には、ベースミュージック的なクラブバンガー感がスゴくありますからね。
椎乃味醂 でも、あからさまなベースミュージック的アプローチが増えたのは最近の話で。特に最初の頃はエレクトロすらやってませんでした。そもそも僕がボカロを聴き始めたのは、2012~2014年のどっかのタイミングなんですけど、その頃は今と違って、ロック、いわゆるVOCAROCK全盛期みたいな感じで。というのもあって、先ほども挙げたwowakaさんを始め、バルーンさん、Neruさん、じんさん、こんにちは谷田さん(キタニタツヤ)さんなど、VOCAROCKが主食の状態が長らく続いて。邦楽もwowakaさんがやっていたヒトリエというバンドから入って、ナンバーガールやハヌマーンとオルタナばっか聴いていました。僕が最初に音楽を出したのは2017年の8月なんですけど、それもVOCAROCKでしたね。
SiiiCK 2019年から今の「椎乃味醂」名義になりましたよね。おそらく音楽性に関しては、試行錯誤もあったと思います。現名義になったきっかけはありますか? そこで音楽性とかスタイルはどのように変わりましたか?
椎乃味醂 先ほど話した、一番最初に投稿したVOCAROCKなんですけど、これがあまりにもwowakaフォロワーすぎるというか、コメントでも「これはwowakaだ」と書かれるような曲だったんですよ。それはwowakaさんが好きすぎるあまりに、自分の引き出しにそれ以外が入っていなくて、必然的にそうなってしまったという感じで。当のwowakaさんは、2011年に最後のボカロ曲を出してから、ヒトリエの方に行って、しばらくボカロ曲を出してなかったんです。しかし、偶然にも僕が曲を出した直後、2017年の初音ミク10周年のタイミングで、「アンノウン・マザーグース」という曲で戻ってきて。それはとてもうれしかったんですけど、歌詞をよく見ると、「ドッペルもどきが 其処いらに溢れた」というフレーズがあって。同時に出たインタビューとかも合わせて読むと、あまりにもこの「ドッペルもどき」というのが自分のことに感じて、当時ガン刺さりしてしまったんです。その頃のVOCALOIDは、wowakaのやり方が一種の売れるフォーマットになっていて、wowakaっぽさがボカロっぽさになっている節もあった。ドッペルもどきというのは、どうもそれを形容した言葉らしいと、読み進めていくうちに思い至りました。身体を削って生み出したやり方がフォーマット化され、単に使われ、何よりそこに愛が見えない。それが市場原理というものだろう、などと外側から言ってしまうのは簡単です。しかし、一個人としての視点に立った時に、アイデンティティだと思っていたものが、決してポジティヴではない形でパブリックなものに吸い込まれていくどうしようもなさには、当然割り切れない部分があると思うし、その感覚は今だからこそより強くわかります。そして、端から見て自分もその一部になっていたんじゃないかと思ったんです。それで、このままじゃダメだと。引き出しの中身を増やすために、インプットとアウトプットを死ぬほど繰り返して、自分の色のついた曲をやるんだとひたすら手を動かしました。そこには少なからず「自分の色のついた音楽でwowakaに認知されたい」という欲望みたいなものもありましたが、時が経つにつれて純粋に新しい色を追求していくことにも楽しさを見出していきました。それから1、2年後ぐらいに、初めてヒトリエのライヴを観に行って、生でwowakaさんを見て、絶対あそこに並んでやるぞ、と思った矢先に突如、氏の訃報が出たんです。数日前に目の前に立っていた、自分の追いかけていた人が、突然亡くなったことに、何が何だかわからなくなって、しばらくは食事も喉に通りませんでした。ですが、東京でwowakaさんの追悼会があって、初めて一人で上京して。さっき話した友人ともそこで初めて顔を合わせて、俺らは俺らでこれからもやっていこうという話をして。ここでくよくよしていたらいよいよ顔向けできねえし、俺は俺の音楽をこれからもやっていくだけだ、と。それで心機一転して名前を変え、今に至るという感じです。
SiiiCK 中学生には衝撃だったけれど、でもそれがきっかけで、ある意味、自分のオリジナリティを追求しようというところに目覚めたわけですよね。
椎乃味醂 それは間違いなくそうで。そもそも時期的にwowakaさんは恐らく僕の曲は聴いていないと思うし、氏と関係の深かった人と話していても「君は考えすぎてる、大丈夫だよ」と言ってもらうことが多々あったり、何より自分の音楽に自信もついたというのもあって、今でこそしっかりと前を向けていますが、でも当時の僕にとってはとても大きな問題だった。あの衝撃がなかったら、少なからず今の形の音楽はやっていなかっただろうと思います。自分の頭の引き出しに今たくさん手札があるのは、一連の流れで手を動かしたり、様々な音楽を聴く習慣ができたからで、そういう意味でも大きな転機でした。一方で、そういった経緯もあって、自分の色を確立していこうとする中で、wowaka感を消すということに固執しすぎていたきらいもあります。音楽的選択肢を増やしていく一方で、wowaka的なアプローチだけは怖くて、ずっと排除し続けていたんです。しかし、やはり創作というのは巨人の肩の上に成り立っていて、誰かから影響を受けて進んでいくしかない。いろんなものから多角的に受け取って、それが自分を通しフィルターされた結果が、やがてまた新しく個性と形容されるようになっていくと思うんです。であるならば、今まで得たものからwowakaだけを意図的に切り離して消すというのは、音楽に対して、創作という現象に対して、何よりもwowakaさんが音楽に遺したものに対して、誠実な態度とは言えないのではないか。考えた末、近年は自分の中から意図的に削り取っていたwowakaの成分を戻す作業をやっています。それらを含め、椎乃味醂なのであると。
NIGHT HIKEでのライヴ

楽曲制作のアプローチ
SiiiCK 音楽的には、ベースミュージックのドラムンベースやダブステップだけでなく、バイレファンキの要素も感じるし、クラブミュージックの中でもいろいろな要素が入っていますよね。そこにボカロPならではのメロディやコードワークがあって、歌の方もポップミュージックからヒップホップまで入っていると思うんです。いろいろな音楽性やアイデアがある中で、曲作りをする時は、どのようにアプローチしているのですか?
椎乃味醂 その時やりたいことをやってるだけなので(笑)。ドラムパターンとか、各ジャンルごとの要素ってあるじゃないですか。そういういろんな要素が自分の引き出しの中に入っていて、必要に応じて取っていくみたいなやり方をしています。少なくとも、このジャンルをやろうというのは、特に決めてないです。と言うか、自分が何か特定のジャンルをやっているとも思ってなくて。本当にそのジャンルを真面目にやっている人からすると、文脈もなく乗っかってきてこのジャンルをやってます!と宣言してしまうのは、かなり嫌なことなんじゃないかなとも思っていて。ある一つのジャンルをやっていると名乗るには、自分はあまりにもそこへの教養が足らないし、作るものもごちゃごちゃしすぎている。だから、影響を受けたジャンルや曲については話しつつ、曲自体の明確なジャンルは定義しないというのが、自分のやり方において最大限の敬意だと思っています。
SiiiCK トラックが出来てから歌を作るタイプですか? それとも同時に考えますか?
椎乃味醂 トラックを先に作って、歌詞とメロディは後から同時にハメていくという作り方をしています。
SiiiCK 歌詞には人文・哲学的な引用とかもあるので、スゴい読書家なのかなとも思ったんですよね。
椎乃味醂 そもそも僕、歌詞を書くのがめっちゃ苦手で。
SiiiCK そうなんですか?!
椎乃味醂 作業の面だけで言ったら、インスト曲だけをずっと作ってたいという気持ちがあって。でも、歌ものをやりたいし、歌ものは好きだし、自分のいるコミュニティがボカロというのもあるし。そういうところで歌詞が必要なので、まず書いてるというのがあって。じゃあ、どういう歌詞を書こうってなった時に、ずっと昔から考えることが好きなタイプで、普段から、社会とか、生活とか、私と他者とか、正しさとか、そういうことについて考えるタイミングがあって。ただ、一人で考えていても、収拾がつかないし、一人だけではどういう方向に向かっているのかわからないことも多い。でも、歌詞にすれば、聴いてくれてる人からコメントが付くじゃないですか。それを照らし合わせることで、ある程度の立ち位置が知れる。歌詞を書いてる時に頭の中を整理できるのもデカい。じゃあ自分の思考を整理して、その方向を見るのに歌詞を利用しようと思って、哲学的な話を書いたのが始まりです。読書家という話で言えば、人文系の書籍や論文を読むのが昔から好きで。おっしゃるように、昔の曲では哲学の理論や概念を援用するみたいなことをよくやっていたんですけど、最近は割と自分の言葉で、自分の体験に基づくものを書く方にシフトしてますね。活動での実践を通して得られた、本に書いてあるような体系立った知識じゃない経験知がたくさんあって、それは内に閉じたもので自分にしか向き合えないものなのだから、価値があるし、ちゃんとそこを広げていこうと。
SiiiCK 歌の展開がヒップホップ的だなと感じる部分もありますね。例えば、ヴァースごとに使うボカロを変えて、フックで一緒に歌っていたりとか、それって、スゴくヒップホップっぽいなと思ったんですね。
椎乃味醂 「OSINT」という曲を作ってた頃は、その辺りの音楽にハマっていた時期で。バトルとかサイファーとか、対話的なアプローチをボカロでやってみたいなと。なんか、同じ曲の中で複数の人がいるように見せられるのって、スゴいことだなと思って。それって、普通はフィーチャリングとかしてやることじゃないですか。そういう表現によって生まれる解釈とか質感もあるなと思って、やってみた感じです。
SiiiCK 「ピリオド」という曲の、初音ミクに続く彼方のヴァースでは、フロウを溜めて歌う、ザ・日本語ラッパーみたいな感じもありましたね。
椎乃味醂 「ピリオド」に関しては、たなかさんという方と一緒に作っていて。たなかさんはかつて、ぼくのりりっくのぼうよみという名前で活動していた頃から尊敬していたアーティストで、昔からそういうフロウが得意な人なんです。あの曲には男性が歌っているところと、初音ミクが歌っているところがあって。男性の歌は彼方っていう、僕とたなかさんで作った合成音声キャラクターで、彼方が歌っているところは、たなかさんが書いています。「OSINT」は3人のキャラクターを全部一人でやっているけど、「ピリオド」ではちゃんと人を分けてやってみたという感じです。
椎乃味醂 - ピリオド feat. 初音ミク, 彼方 with たなか
2nd Album『解釈系』と2nd EP『ハーモニー』
SiiiCK 昨年2025年11月29日には、2nd Album『解釈系』と、2nd EP『ハーモニー』を同時リリースしましたよね。2枚を同時に出した意味合いと、それぞれの作品でやりたかったことを教えてください。
椎乃味醂 『解釈系』は、今までのボカロ曲を集めたアルバムなので、あまり新しい曲はなくて。逆に、『ハーモニー』は、ほぼ新しい曲なんですよ。『解釈系』は、今までの思考や実践の軌跡をまとめたパッケージになってます。それとは別に、ボカロだけをやっていても超えられないものがあるなとずっと考えていて。どうしても、ボカロって身体性みたいなのが中和されるというか、それがいいところでもあるんですが、もっと生々しくやっていくことも重要だろうと。あとは、人と大々的に何かをやるということの重要性みたいなものも、ずっと思っていたところがあって。じゃあ人と共作して、生の声を乗せようと。そうやって出来たのが『ハーモニー』です。自分一人で机に向かって考えてきたことが『解釈系』だとするなら、それを経てきた椎乃味醂という考え方を持って、人とさらに対話して生み出されたものが『ハーモニー』みたいな感じですかね。詳しくはアルバム特設サイトのリリースコメントに載っているんで、そちらを是非。
椎乃味醂 - まだ知らない君がいる! feat. 初音ミク, 重音テト
SiiiCK 人と対話して何かを生み出すという意味では、StudioGnuにもつながりますよね。
椎乃味醂 そうですね。
SiiiCK 「StudioGnu is not Studio!」と謳っているので、通常のクリエイティヴ系スタジオとは違う、コミュニティみたいなイメージなのかなと思いました。
椎乃味醂 コミュニティと言った方が近いですね。でも実態はスゴく概念的というか、ガッチリ組織されているわけでもなく、説明が難しいのですが…。活動を取りまとめているハブのサーバーがあり、そこにもうすぐ100行くか行かないかぐらいの人が集まっていて。その場所を使って作品を作り世に出した時に、そのプロセスや人を喧伝するために、StudioGnuという名前を使っているイメージです。StudioGnuをやろうと思ったのは、最初の方にお話しした自分の色の話から始まり、私の中にずっとジャンルや領域を横断・接続することへの意識があったからでした。でも、それは最初は音楽だけの話だったんですよ。ロックだけじゃなくて、エレクトロとか他の音楽を混ぜるみたいな。ただ、それでは今ある音楽以上の音楽は作れないなというところに行き着いてしまって。だったら、音楽以外のところとも接続していかなきゃいけないなというのを考えて。それで2022年に作ったのが、StudioGnuでした。音楽、映像、イラストのような典型的なクリエイティヴに関わる人はもちろん、そういうところと全く関係ない人も来てくださいという場所にしていて。例えば、建築事務所だったら建築物を建てたいから組織して、そのために建築系の技師を雇うわけじゃないですか。僕はその逆をしたくて。つまり、人だけを先に集めて、その人たちをどうつなげていくかは後から考えるんです。まず最初に可能性だけを作る。どういう風につながるか、あるいはつなげられるか、無限の可能性を作っておく。だから、メンバーの中には、プログラマーやエンジニアもいるし、在野やアカデミアで研究をやってる人、土木をやってる人、化学系の人もいれば、ゲーマーも、何かをやっているわけではないけど妙に話が面白い人も、とにかくいろいろいるんです。そんな感じで集まった、音楽のコミュニティだけにいたら出会わないような人ともけっこう話したりしていて。話すと、いろんな発見があるんですよ。その人たちの仕事ではこういうことがされていて、あるいはこういう概念があって、おっ、それは作品にも使えそうだな、と。
SiiiCK 今までにStudioGnuとして取り組んだことで、一番印象に残っている活動は?
椎乃味醂 表に出ている仕事で言えば、初音ミクの公式に提供した「デュレエ」という曲でしょうか。初音ミクの生み元であるクリプトン・フューチャー・メディアが札幌なので、札幌を舞台にしたMVを作ろうという話をして。ミクを語る上で、パブリックな場所として鉄道をメタファーに使おうと思って、札幌駅のCGを作って、そこをミクが動き回るというMVにしたんです。そこで、時刻表に詳しい人に実際の時刻表を作ってもらって、それをMVに反映させたりとか。土木の人には、札幌駅の図面を用意してもらって、それを元に実際の構造でCGを作ったりとか。「デュレエ」は、ミクが2007年に生まれてから現在に至るまで、どういう歴史を辿ってきたかのをまとめたMVになっていて、そのデータを視覚化するために、プログラマーの人にデータを集めてもらうこともしました。ニコニコ動画に上がっている、ボーカロイドのタグが付いてるボカロ曲のサムネイルを、70万曲分集めてもらって、それを並べるみたいなことをやったりとか。2007年から2023年までに、初音ミクのタグに付随して付いてるタグがどういう風に変わってきたかとか。チームでそういうデータを集めて、MVの中に仕込んで作りましたね。
椎乃味醂 feat.初音ミク - デュレエ
ボーカロイド・カルチャー
SiiiCK 今はボカロのイベントがいろいろありますが、初めてDJ出演したのはいつですか?
椎乃味醂 人前でやった初DJは、2024年4月の超音楽祭(「超音楽祭 in ニコニコ超会議2024」)ですね。ガチガチにセトリを組んで行きました。その時はもう右も左もわからず、機材もあまり触ったことがないみたいな状態で。でも、DJを人前でやりたいとは前から思っていたんですよ。それで、この機会にやるかと思ってやりましたけど、けっこうミスりましたね。
SiiiCK やっていくうちに、どこかで楽しいってなりました?
椎乃味醂 最初の頃はずっとセトリを組んで行くというのが多かったんですけど、NIGHT HIKEの時に一回、忙しすぎてセトリが組めなかった時があって。その場でプレイするというのをやってみたら、意外といけるし、楽しいなと。あとは、DJがいつもつるんでるグループの中で異常に流行っていた時があったんですよ。その時に、B2Bをたくさんやって、面白いってなってたんです。そういうのもあって、だんだん即興のDJができるようになりましたね。
SiiiCK 昨年2025年のNIGHT HIKEの時の映像が、YouTubeに上がっているのですが、サイレンから始まって、会場全体がいきなり盛り上がって、かなり強力なベースミュージック感がある中、ドロップで大歓声が沸いてましたよね。初披露となった新曲「まだ知らない君がいる!」でも、みんなが大声で叫んで、手を挙げてシンガロングしていました。
椎乃味醂 あれはYouTube Music Weekendに撮影しますって宣言した上で、マジで全員声出して踊ってくれと、かなり保険を掛けながらやったんですけど(笑)。セトリも決めてなくて、自分の曲だけでプレイしなきゃいけなかったんで、どうなるかなと思ってましたが、意外といけましたね。
SiiiCK クラブミュージックとしての最強感もありましたね。
椎乃味醂 今まで作ってきたものをフル動員して臨みました。出演のたびに一個ぐらいは音源を作って持っていくというのをしてるんですけど、今までの出演で貯めてた分があったから、それを一気にあの時に出せた感じですね。最近よく一緒にやっているVOLTAやDairou Tanakaとかの、ベースミュージック・シーンの仲間がRemixしてくれた音源にかなり助けられてます(笑)。
LIVE Set (:10.0)
SiiiCK DJプレイを経験したことによって、自身の音楽に変化はありました? よりクラブミュージック的なアプローチが入っているように思いますが。
椎乃味醂 それは間違いなくそうですね。ベースミュージック的なアプローチは増えました。クラブでいい音が鳴ることがうれしくて、ローの処理を今まで以上に意識するようになったり。DJをやるようになってから、ベースミュージックを死ぬほど聴くようになって。元々好きだったSkrillexとかVirtual Riotの他、ISOxo、PEEKABOO、borne、Viperactive、Skybreak……挙げるとキリがないですが、ダブステップ周りのアーティストをよく聴くようになりました。やっぱ大御所のアーティストは、箱での鳴りが段違いに良くて、どうやったらこうなるんだろうという興味は絶えません。音楽を聴くプラットフォームの選択肢にSoundCloudが再び入るようになったのも大きいです。海外の変なFlipを漁ったり、それをさらにイジったりして、学びを得たり。そっち側の知り合いも増えましたね。元々エレクトロっぽいことをやってる知り合いって、雄之助やr-906、higmaぐらいしかいなかったんですが、さっきも名前を挙げたVOLTAやDairou Tanaka、Mylta、Hylen、muyu、あとは海外のトラックメーカーで、zerothやariiol、Inverted Silenceを始め、様々な交流が増えました。みんなから非常に刺激を受けています。
SiiiCK 改めて、ボーカロイド・カルチャーの一番面白いところって何でしょうか?
椎乃味醂 ボカロが歌っていれば、ある程度は何をしてもOKというところでしょうか。ボーカロイドのシーンって、いろんなバックグラウンドの人が集まってきて、ロックの人もいれば、ジャズの人もいて、エレクトロをやる人もいて。ボーカロイドを聴きに行くというだけで、その中にいろんなジャンルが内包されているんです。そこの雑多な感覚みたいなものは、けっこう僕の中でも影響を受けているし、面白いところの一つだなと思いますね。お話ししているように、僕はいろんなスタイルを意識的に渡り歩いてきましたが、それが受け入れられているのも、この特殊性によるところがかなり大きいと思いますし。なかなかないカルチャーだと思います。
NIGHT HIKEでのライヴ

今後と野望
SiiiCK 今後考えていることがあれば教えてください。
椎乃味醂 今年1月に初めて主催のイベントをやったんですね。今までは元々あるイベントに出してもらうことが多かったんですけど、自分の主催のイベントをやってみて、もっと面白いことができそうだなという、気づきがたくさんあったんです。なので、今年になるのか、来年になるのかはわからないですけど、反省を活かしてもう一回ぐらいイベントをやりたいなっていうのはありますね。
SiiiCK 2026年1月18日にWOMBで行われた主催イベントですね。
椎乃味醂 それこそ、EPと同じタイトルの『ハーモニー』というイベントにしたんです。盤としての『ハーモニー』が持っていた共創というコンセプトを、現実の空間にリアルタイムな形で拡張したくて、F2Fというのをやったんですよ。Face to Face……DJ同士がラップバトルのように向かい合ってプレイするスタイルです。あとは、事前に決めた組み合わせ以外に、あみだくじで2対2のペアを選ぶみたいなこともやりました。かなり面白かったし、いいイベントになったなと思ってるんですけど、もうちょっと観客がイベントに入り込めるような余地があっても良かったなとも思っていて。次やるとしたら、そこをもう少し考えたいです。
SiiiCK 野望みたいなものはあります?
椎乃味醂 自分の思考の未熟さや、物事への力のなさを痛感することが多くて。今日もまだいろんなものが足りていないなと、しゃべりながらもどかしさを感じていました。もっとたくさんの知をいろんな場所から集めて、その上で多くの人に自分の作品を届けられるように、強度や説得力のある実践的な活動をしていきたいです。
2nd Album『解釈系』

Tracklist
1. Interpretation System
2. Are you realy seeling me?(VIP)
3. 知っちゃった
4. OSINT
5. ピリオド
6. 1ピース
7. あなたにはなれない
8. limbo
9. まだ知らない君がいる!
CD限定 特典QRコード付
・全音源ハイレゾWAVデータ
・全音源inst音源データ
・楽曲制作資料 他
仕様
CD1枚、ブックレット(16P)、ジュエルケース、帯
2nd EP『ハーモニー』

Tracklist
1. モザイク feat. Reol
2. デブリーフィング feat. 春猿火
3. 喧騒 feat. Aile The Shota
4. 不協する和音 feat. たなか
5. ハーモニー feat. 原口沙輔, 初音ミク
CD限定 特典QRコード付
・全音源ハイレゾWAVデータ
・全音源inst音源データ
・楽曲制作資料 他
仕様
CD1枚、ブックレット(12P)、ジュエルケース、帯
アルバム特設サイト
https://www.studiognu.org/2ndAL&EP
NIGHT HIKE
オフィシャルサイト: https://nighthike.net/
Instagram: @night_hike_info
YouTube: @night_hike_info
椎乃味醂
Instagram: @sheeno3rin
SoundCloud: @sheeno3rin
ニコニコ:https://www.nicovideo.jp/user/66296951/mylist/59627983
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StudioGnu

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NIGHT HIKE
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