
「REDLINE」の主宰であるKTRが始動させた新イベント「GOAT」が、2026年9月1日にSpotify O-WESTにて行われた。日本のロックシーンを担うであろう次世代ロックバンドを招致し、間口を広げるべく無料イベントとして開催している当イベントの第4回目は、JUBEE&DA RAP ROCKERS、SATOH、AFTERVOID(BAND SET)、そして今回もシークレットゲストが出演。さらに新しい試みとして、オープニングアクトとしてDJ TERU from Crossfaithも出演するという、無料イベントとは到底思えない豪華なメンツでのイベントとなった。KTR曰く「スピンオフ回」と謳う、これまでの趣旨とは一線を画す、歴戦の猛者たちによる珠玉の夜をレポートする。

DJ TERU from CrossfaithのDJアクトで熱くなった会場に登場したのは、サポートメンバーに、DAIKII (Gt. / AWSM.) 、TAKUMA (Gt. / SPARK!!SOUND!!SHOW!!) 、KOSUKE (Ba. / Knosis) 、Katsuma (Dr. / coldrain) 、DJ BAKU (KAIKOO)を招いた、JUBEE&DA RAP ROCKERS!「本日一発目、ブチかます」「SATOH、AFTERVOID、そしてシークレットゲストに最高のバトンを渡せるようにこれからお前らを殺しにいくから、遠慮なくかかってこい」とのMCから、DJ BAKUが渾身のルーティンをドロップし、流れるようにJUBEEとバンドメンバーが登場し「Mess」を披露!フロントに乗り出して自由にフロウしていく様に、オーディエンスも手を挙げて踊り、速攻で灼熱のフロアを作り上げる。JUBEEの強烈な煽りも相まってオーディエンスの闘争心にも火がつき、パンクチューン「FENCE」では、重厚感と疾走感を携えたグッドメロディが爆風を巻き起こす。「バンドにはできないような踊れる曲持ってきてるから、みんなで一緒に遊んでいこうぜ」と声を掛けて、スカ要素が爽快な「Impala」でギアをどんどん上げつつ、「俺はHIPHOPもロックも全部好きで、その中でもかっこいいものを選んでやっています。周りが何言おうが、何が正解だとかは全部ムカつくから、RAP ROCKを自分で表現しています」との意思表明を経て、開放感溢れる「Vision」をプレイ。ライブという表現の場で、オーディエンスと共にバイブスを高め、垣根のない世界を繋げていく彼の信念と自由への渇望に感化され、フロアの親和性がグッと密度の高いものとなっていくのを感じた。音楽に対する初期衝動を詰め込んだメロウな「手紙」を経て、ラストの「Re-create」「UNDERDOG」で渾身のパワーをぶつけるその熱量は圧巻の一言だった。




続いてステージに登場したのは、SATOH!満員のフロアを前にLinna Figg(Vo.)、Kyazm(Gt. / Manipulator)は「いけんのか!」と煽りつつ、「新時代」をプレイ。<新時代/また頭ん中で/繰り返した夢が現実的な絵になる>と熱唱すると、オーディエンスは手を挙げ身体を揺らし全身で呼応する。哀愁と迸る熱の双方を内包する「モナリザ」ではシンガロングを巻き起こし、早々にクライマックスかのような盛り上がりを見せ、「21 century boys」では明瞭度の高い開放感のあるアッパーなメロディに乗ってオーディエンスがジャンプするその光景は、眩しいくらいだった。鮮烈なギターが牽引する「RAINBOW」、そしてコールアンドレスポンスをきっかけに飛躍していく「TOKYO FOREVER」をプレイすると更なる熱波を巻き起こす。コールアンドレスポンスだけでなく、曲中にオーディエンスをしゃがませてサビ入りで一気にジャンプさせるなど、共にアクションすることで、心だけでなく心身共に最高のライブを作り上げていこうとする彼らの気持ちがグッと伝わってくるし、そんな彼らの高揚感が伝播して、自由で明るい雰囲気がみるみるうちに構築されていくのが肌感で分かった。そんな多幸感すらも感じられるフロアの雰囲気を一変させたのは、超絶ギターとアグレッシヴなボーカルが織りなす刺激的な「OK」と、心のうちを吐露するようなバラードチューン「愛し合うとして」だ。ジャンルの枠に固執せず、様々な音楽性を取り入れる──それらを実験的に行っているのではなく、あくまで自分たちにどれだけフィットするかに重きを置いているからこそ、こちらも一曲一曲に存分にめり込める。ラストの「WORLD END LOVESONG」に至るまで、そんな彼らの魅力と多面性をたっぷりと堪能できたライブだった。




シークレットゲストへの様々な憶測と期待が行き交うフロアとステージを別つ白幕が降りた先に登場したのは、NOISEMAKER!AG(Vo.)の「東京!吹き飛ばしにきたぜ!ぶっ飛べ!」との威勢の良い掛け声と「LAST FOREVER」に会場のボルテージは初っ端から最高潮。雪崩れ込むように衝動的に掻き乱れるオーディエンスの様子がその高揚感を物語っており、ビリビリと体が痺れる攻撃的な「Something New」では、HIDE(Gt.)、YU-KI(Ba.)、UTA(Dr.)が織りなす重厚感のある強烈なサウンドがそのテンションをさらに押し上げていく。こちらに息つく間を与える気は一切ないのだろう──そのまま「THIS IS ME」をドロップする猪突猛進セットリストで挑む彼らは、「気持ちいいな、東京!」と言葉を放つ。貫禄すら感じられるずっしりと重く、それでいてどこまでも飛べそうな跳躍力を持つ彼らのライブは、衝撃と共に清々しい気持ちにさせてくれる。「朝イチ、絶対にバレんなよってことで、機材車の中で丸まって(会場に)入ったの初めてです」とシークレットアクトらしい秘話を話しつつ、「チケット代がフリーで、若い世代が本物に触れ合えるこういう機会はめちゃくちゃ貴重だと思います」と語った上で「みんなに音楽をやってほしいと思って、俺らは音楽やってません。だけど、俺たちのライブを観て、確実に、勝手に音楽を始めるくらいやべえライブをするんで、食らった奴は音楽の世界に飛び込んでこいよ!連れていってやるぜ」と鼓舞して渾身の「Supernatural」、「SADVENTURES」を投げかける。挑戦することへの怖さより、その先にあるワクワク感を提示する。結成23周年を迎える彼らだからこその貫禄と説得力が、オーディエンスの心を芯から激らせる。スリリングでハード、だけれどメロディアスでフリーダム。彼らの心的柔軟性と飽くなき向上心が私たちに灯した豪炎は、ラストの「NAME」を終えても消えることはなかった。




4回目のGOATのラストを飾るのは、Crossfaithの Kenta Koie(Vo.)によるソロ・プロジェクト、AFTERVOID!バンドセットで迎えられたこの日、彼らに向けられた期待と高揚感は尋常なものではなかった。それは熱気として会場を丸呑みし、登場と共に「Iʼm Not Okay」で爆発。熾烈なビートと獰猛的なボーカルがオーディエンスを一気に掻き乱す。ステージの前方で前のめりで「全然足りないんですけど」と煽る彼の姿には神々しさすら覚えた。そのまま畳み掛けるように「Exitrance」「Last Draw」を投下し、燃料を投下していく。アグレッシヴでハードながら、サビでは荘厳さを感じさせるメロディを落とし込む。その柔軟性と多面性が、彼のソングライティング力の高さを物語っていた。タイトで重いダンスビートが会場を揺らす「Nothing on my back」では、ステージを縦横無尽に歩き回りながら「どうやって遊びたい?サークル?」とオーディエンスに声を掛け、共にフロアをメイクしていく。葛藤やしがらみといった、普段は押さえ込んでいる感情を全開放した状態で全員で楽しんでいこうとする彼の遊び心に共鳴して、曲を追うごとに熱狂が渦巻いていく。その光景を前に「お前らも俺らと同じくらいのテンションで来てください」とテキーラを食らいながら煽り、「Running Away」でさらにギアを上げていく。Crossfaithが活動を休止している中で立ち上げた新プロジェクトということもあり、当初は葛藤や苦悩もあったのだろうと想像できる。それでも彼が音楽表現を諦めず、信念を持ってステージに帰ってきたことを誇りに思うと共に、変わらぬ強固なマインドの存在は「Weaponize」で咆哮する彼の姿で確信したし、「Summer ride」の爽快なメロディを聴いて彼らしくどこまでも進んでいく威風を確かに感じた。そんな躍進的なライブのラストの「Rave Riot」が湧き起こした風は、彼のみならずオーディエンスの追い風となり、前へと進む力となってくれるようだった。




Text = 峯岸利恵
Photo = Taka "nekoze" photo
JMS
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