FRONTERAとは、アーティストと消費の向こう側にコミュニティを生み出し、カルチャーを作り発信する集団。パーティ「FRONTERA FIESTA」、ブランド「FRONTERA GALERÍA」、フィールド「FRONTERA CRUCE」といった多角的な活動を展開していくという。
そのFRONTERAのローンチ・パーティが、1月30日から2月13日まで、札幌・新十津川町・大阪・神戸・東京の5ヶ所で開催された。メキシコからはイニゴ・ヴォンティエルが来日し、各地のパーティでは、様々なエリアを基盤に活動するアーティストたちが出演。その誰もがFRONTERAと特別なつながりがある人たちばかりだ。
SiiICKでは、FRONTERAに関わるアーティスト、クリエイターたちを、連載という形で紹介していきたいと思う。
第1回目の今回は、FRONTERAの主宰者が登場。バックグラウンドからFRONTERAで目指すところまで、いろいろ話を聞かせてもらった。
Photography: Kaoru Goto, FRONTERA

FRONTERAとは?
SiiiCK FRONTERAを立ち上げた背景とアイデアは?
FRONTERA 私たちは、それぞれ全く違う場所からここに辿り着きました。一方では、不動産と地域の課題に向き合い続けてきた視点。もう一方では、ブランドやパーティを通じて人とカルチャーをつないできた経験。その二つが重なったことが、すべての始まりです。元々私たちの一人は、不動産の仕事を通して、「地域をどう活性化させるか」をずっと考えていました。出身である北海道の地方が衰退していく現実を目の当たりにして、何かできないかと考え続けてきたんです。そこで気づいたのが、空き家の多さと、それを活かせる可能性でした。同時に、これまで出会ってきたアーティストたちが、表現とは別である仕事に追われて、余白を失っている状況も見てきました。だからこそ、空き家を使ってアートの場を作り、そこに滞在や収益の仕組みを組み合わせることで、少しでも持続可能な形にできないかと考えたんです。これは5~6年温めてきた構想でしたが、もう一つの視点と出会ったことで、一気に現実になりました。
SiiiCK もう一つの視点というのは?
FRONTERA もう一つの視点とは、これまで約10年間ストリートブランドをやってきた経験になります。その中で強く感じていたのは、「人との出会いがすべてを作る」ということです。ブランドは、展示会や計画で始まったわけではなく、実際に足を運び、人と出会い、その場で受け入れられたことから始まりました。そこから全国を回り、パーティもオーガナイズしてきましたが、次第に「ブランド」と「場」が分断されていったんです。最終的には、モノ作りそのものや、消費される構造に違和感を感じるようになりました。やれることはやった、でもその先がない。そう感じていたタイミングで、この構想と出会いました。
SiiiCK つまりその二つが重なったわけですね。
FRONTERA そうです。アーティストの場を作る構想と、人をつなぎ続けてきた経験。空間を回すノウハウと、カルチャーのネットワーク。それらを掛け合わせた時に、「これなら今までにない形ができる」と思えたんです。
SiiiCK “FRONTERA” という名前とコンセプトは、どこから生まれたんですか?
FRONTERA 転機となったのは、メキシコへの旅でした。そこで、自分たちが信じてきたカルチャーや音楽が、間違っていなかったと実感したんです。同時に、「誰かのために時間を使うこと」や、「人と人が重なり合う瞬間」こそが価値だと再認識しました。“FRONTERA” はスペイン語で「境界」や「未開拓地域」という意味ですが、私たちにとっては、ジャンルや役割、消費と体験の境界を越えていくための名前です。
イニゴ・ヴォンティエル。DJ、プロデューサーとして、Multi Cultiとのコラボレーションを行い、今や世界中のダンスフロアをジャックしているレーベル「CALYPSO CULT」の創設者として、ラテン・アンダーグラウンド・エレクトロニック・ミュージックにおいて、最も影響力を持つアーティストの一人

ViKTによる、レーザーを増幅させたライティング

全国5ヶ所で開催されたローンチ・パーティ
SiiiCK 1月30日から2月13日まで、札幌・新十津川町・大阪・神戸・東京の5ヶ所でローンチ・パーティが行われましたが、これはどのような主旨で行われたのですか?
FRONTERA 今回は、「FRONTERA FIESTA」、「FRONTERA GALERÍA」、「FRONTERA CRUCE」の三つを軸とするクリエイティヴの母体、FIESTAのローンチを兼ねて、FRONTERAが始まるきっかけとなった国であるメキシコからアーティストを呼んで、FRONTERAの幕開けを祝いました。体験が消費されずに残ることを目的に、その日、その場所でしか感じることができない瞬間を共感するパーティになったと思います。
SiiiCK 出演したアーティストとはどのようなつながりがあるのですか?
FRONTERA 今のすべてのきっかけとなった、これまでにWOMBで開催してきたパーティで、最高の体験を一緒に作るために協力していただいたアーティストがたくさんいます。イニゴ・ヴォンティエルに関しては、彼が2年前に来日した際にフィーリングがあったのがきっかけです。友達のジョニーが主催している、QUERICOというパーティで紹介してもらいました。いきなり出会って、連日連夜遊びまくった記憶しかないですね。次は一緒にパーティをやろうと、挨拶を交わしたことが今回につながりました。OCCAは、何でこんなところで会うの?っていうくらい、地方のクラブとかでばったり会って、遊ぶようなことがよくありました。彼は以前からいろいろなパーティに出演していたし、WOMBで自身のパーティを始めたこともあって、逆になかなか誘うタイミングが難しかったんです。それが今回、北海道のパーティで一緒にやらせてもらうことができました。FANTAさんは、地元、北海道・北見の葉隠というクラブのオーナーで、遊びに行くたびに暖かく迎えてくれる方です。私が地元に帰ろうと思えた理由の一つに、FANTAさんがクラブを続けてくれていたお陰があります。
SiiiCK パーティは北海道の新十津川町でも行われましたが、FRONTERAはこの町でプロジェクトも進めているんですよね。
FRONTERA 新十津川町に物件を取得しました。フィールドとしてのFRONTERA CRUCEで、アートと地域活性化、アーティスト・サポート、コミュニティの創造など行なっていきたいと思っています。
SiiiCK 今回のローンチパーティで、思い出深いエピソードがあれば教えてください。
FRONTERA どのパーティも、DJが自分のプレイ前にとても緊張してくれていたことが思い出深いですね。海外でプレイしたり、何度も同じ箱でプレイしたりしているのにも関わらず、いい意味でプレッシャーを感じてくれていたことがうれしかったです。あと今回、イニゴとは20日間くらいずっと一緒にいたんですよ。FRONTERA FIESTAのパーティだけでなく、パーティの時間以外にもいろいろなことがあって。そのすべてを一緒に過ごしたのが、思い出深いものになりましたね。
吉岡賢人

左から、OCCA、Ground


SiiiCK 5月以降に予定していることがあれば教えてください。
FRONTERA 5月30日に、新たにオンラインストア「FRONTERA GARELÍA」がオープンする予定です。そのローンチパーティとして、5月30~31日に韓国でFRONTERA FIESTAのパーティを開催して、6月5日には東京でも開催します。この開催に合わせて、今回はB2Bではなく、誰も想像もしていなかったような新ユニットが誕生します。FRONTERA GALERÍAのローンチと音楽の体験……そういう手にとって残るモノを、僕たちなりに伝えていきたいと考えています。
SiiiCK 最終的に、FRONTERAでやりたいことは何でしょうか?
FRONTERA 共通しているのは、「消費の先にある場所」を作ることです。スクロールされて終わるものではなく、実際に足を運び、体験し、人とつながる場所。空き家をアートとして再生し、そこに滞在できる仕組みを作ることもその一つですし、「パーティ=FIESTA」で人をつなぎ、その流れを次の場所へとつないでいくことも同じです。私たちは表に立つ存在ではなく、あくまで黒子です。来た人が何かを感じ、次につながっていく。その “重なり” を編集し続けることが、FRONTERAの役割だと思っています。
SiiiCK すべては「人」から始まっているんですね。
FRONTERA そうですね。人との出会い、救われた経験、つながりの連鎖。だからこそ、今度はそれを返していきたいんです。FRONTERAは、そのために生まれました。

FRONTERA
Instagram: @frontera.jp
SiiiCK Official
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