南カリフォルニアのパンク/ハードコア・ムーブメントの先駆的存在の一つでありながら、パンクロックを軸にしつつも、ブルース、カントリー、ロカビリーといったアメリカのルーツ・ミュージックを掘り下げてきた点に、彼らのアイデンティティがある。同時に、社会に居場所を見つけられない人々と同じ目線で、痛みや葛藤、反逆、そして愛を歌ってきたことも、長年にわたり絶大な人気を誇る理由の一つだろう。
決して多作ではないが、これまでに7枚のスタジオ・アルバムを高いクオリティで発表してきた彼らが、2011年の『Hard Times and Nursery Rhymes』以来、15年ぶりとなるニュー・アルバム『Born To Kill』をリリースする。
このアルバムにはバンドの魅力がすべて詰まっており、正直に言って最高傑作と呼んでも過言ではない。ライヴ・バンドとして一度も失速することなく活動を続けてきた、強靭なエネルギーとグルーヴがあり、楽曲、演奏ともに充実しているところからも、バンドが今最高の状態にあることが伝わってくる。
パンクロックの怒りや反逆性はもちろん、歳を重ねたからこそ滲み出るような達観や祝福も感じられる、このアルバム。相反する二面性が同居する、その奇跡。ソーシャル・ディストーションの真価は、いまなお進化し続けるこのアルバムにこそ表れている。
今回インタビューを担当した大野俊也は、ソーシャル・ディストーションへの思い入れが強く、かつて自身の雑誌の創刊イベントに彼らを招聘してしまうほどだ。そのため、本インタビューにはそうした視点が含まれていることを、あらかじめ断っておきたい。
インタビューに応じたのは、ヴォーカル&ギター、ソングライターで、唯一のオリジナル・メンバーであるマイク・ネス。彼は本作の制作中に扁桃腺がんと診断されるも、治療を乗り越え、このアルバムを完成させた。
Zoomで行われたインタビューに映るマイクは、年齢を重ねたクールさとともに、生涯パンクロッカーであり続けるエッジを併せ持っていた。
左から、デヴィッド・イダルゴ・ジュニア(ドラムス)、マイク・ネス(ヴォーカル、ギター)、ブレント・ハーディング(ベース)、ジョニー "2 バッグズ” ウィッカーシャム(ギター)
Photography: Jonathan Weiner
主役がテクノロジーではなく、ロックロールだった時代へのオマージュ
SiiiCK 調子はどうですか?
マイク・ネス いいよ。前に会ったよね。
SiiiCK 覚えていますか? ’96年に一緒にジャパンツアーをやりました。
マイク・ネス ああ、そうだ。シック・オブ・イット・オールも一緒だったね。思い出したよ。俺たちあそこにいたよな。
SiiiCK あれは当時の自分の雑誌(WARP)の創刊イベントだったんですよ。あのツアーで、NYハードコアの連中はみんな、あなたと仲良くなりたかったんですけど、何か距離があって。覚えているのは、名古屋公演のバックステージで、あなたがいきなりサイコロを出して、「ゲームしよう」って言い出して。それでみんな一気に仲良くなったんですよ。
マイク・ネス (笑)ああ、そうだったね。その通りだ。あれだけで充分だったんだ。
SiiiCK それで、あなたはライヴ中に「Sick Boy」を彼らに捧げたんです。みんなで大合唱になりましたよね。
マイク・ネス いいヤツらだよな。最終的には友達になれた。
SiiiCK あの一連の出来事に関われたこと、本当に光栄です。
マイク・ネス うん。また会えてうれしいよ。
SiiiCK こちらこそです。最後にお会いしたのは、2010年、LAのトゥルバドールでのフランク・ターナーのライヴでした。ブレット・ガーウィッツと一緒でしたよね。自分はファット・マイクと一緒でした。
マイク・ネス ああ、そうだったね。
SiiiCK またお会いできて本当にうれしいですし、今回のアルバムは最高のアルバムになったと思っています。
マイク・ネス 自分でもかなり気に入ってるよ。お気に入りの曲はある?
SiiiCK 全曲ですね(笑)。
マイク・ネス いいね(笑)。まるでグレイテスト・ヒッツみたいだ。
SiiiCK それと同時に、さっきも話に出た’96年にツアーをやった時は、ちょうどアルバム『White Light, White Heat, White Trash』を出したタイミングでしたよね。あのアルバムは本当に好きで、というのも、パンクロックのルーツに立ち返っている感じがして、当時のあなたは初期のようにアイライナーを入れたし、曲の方も疾走感とエッジがあって、反逆精神もあるんですけど、同時にスゴく深みがあって、心の奥底まで響くような歌でした。今回のアルバムを聴いて、そのヴァイブスを彷彿とさせるものを感じたんです。
マイク・ネス そうだね、確かにそれはあるよ。あれを一つの指針にはしてるからね。でも同時に、どのアルバムもそうだけど、今回のアルバムでは特に原点に戻りたかったというのがある。本当の意味での原点だ。’70年代後半のパンクシーンとか、あるいは’70年代半ばのグラムロックの感じとかね。俺にとってあの時代は本当に最高だったし、ロックンロールとパンクがスゴく純粋だった。主役はテクノロジーなんかじゃなくて、ロックンロールだったから。
SiiiCK 本当、そうですね。
マイク・ネス 初期のパンクは、まだスゴくトラディショナルなものだった。ロックンロールなんだけど、もっと速くて、クールで、アティテュードがあって。見た目もカッコ良くて、服もイケててさ。歌ってる内容も、自分たちにとって大事なことばかりだった。レッド・ツェッペリンの「天国への階段」みたいなのはもう必要なくなった。もっと、ストリートで何が起きてるかっていう話が重要だった。
SiiiCK 間違いないですね。
マイク・ネス 現実だとか、抑圧とか、そういうことだよ。だからこそ、あの時代に立ち返りたかった。ちゃんと向き合って、もう一度見つめ直したかった。本当に俺にインスピレーションをくれたものだし、あそこがすべての始まりだったから。だからさ、敬意を払わない理由はないだろ? ちゃんと認めて、称えたかったんだ。
SiiiCK その通りですね。今回のアルバムは、パンクロックだけじゃなく、パンク以前のロックンロールにもオマージュを捧げているように感じたんですよね。例えば、ルー・リードやストゥージズ、デヴィッド・ボウイのような。
マイク・ネス そうだね。デヴィッド・ボウイやイギー・ポップとかね。
Social Distortion - Born To Kill
SiiiCK 「Born to Kill」のミュージックビデオでも、多くのロックスターの映像を使っていますよね。
マイク・ネス ああ、そうだね。俺はさ、ロックンロールを聴き続けてもう59年になるからね(笑)。膨大な量の音楽だよ。ビートルズからテンプテーションズまで、それから、サム&デイヴ、ローリング・ストーンズ、クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル、デヴィッド・ボウイ、ルー・リード……本当にたくさんいるから。それに、ただ聴いてただけじゃないんだよ。完全に夢中になってたんだ。それに、俺の子供時代の逃げ場でもあったからね。
SiiiCK 自分も同じです。
マイク・ネス 俺にとって、ロックンロールはとてつもなく大きな意味を持ってた。だからこそ、自分が吸収してきたものを、今こうやって外に出していくのはスゴく意味があることなんだ。
SiiiCK そうですね。ただ、その長いロックンロールの歴史の中でも、パンクロックは特別な存在ではないですか?
マイク・ネス もちろん特別な存在だよ。ラモーンズは、ローリング・ストーンズと同じくらい重要だ。

ニューアルバム『Born To Kill』とパンクロック
SiiiCK パンクロックと出会って、人生はどのように変わりましたか?
マイク・ネス まあ、そこまで劇的に人生そのものが変わったわけじゃないけどね。というのも、俺の育ちを話すとさ、両親は最高の親とは言えなかった。母親はリベラルで、親父はかなり厳しかった。音楽に関しては、カントリーミュージックは親父側から学んで、ロックンロールは母親側からだった。母親の兄弟、つまり俺の叔父たちは’60年代のカウンターカルチャーにどっぷり浸かってた。それにかなり早い段階で影響を受けたんだ。だからさ、これは昔話したことだけど、俺のヒーローは大統領とかスポーツ選手じゃなかったんだ。ギャングスターとか、ジャンキーなギタリストだった。12歳か13歳の時に、映画『イージー・ライダー』を観てさ、チョッパーバイクを自分で作って乗り回してた。ああいうヤツらみたいになりたかったんだよ。だから’60~’70年代のカウンターカルチャーの一部だった流れで、パンクに行くのは自然だった。でも、さらにハマった理由もあってさ。自分の家庭環境はぶっ壊れてて、アルコール問題もあったし、機能してなかったったんだ。それに、俺は周りと違うって理由だけでいじめられてた。ただの繊細な子供だったんだよ。タフガイ・タイプじゃなかった。身体も小さかったし、ただ楽しみたかっただけなんだ。でも周りの子供とは違ってた。金もなかったし、服は古着だから、からかわれてた。髪を切る金もなかったから、自分で切ってたし(笑)。
SiiiCK そうなんですね。
マイク・ネス だから家庭の影響もあって、怒りを抱えてた。17歳でパンクに出会った時には、もうかなり怒りが溜まってた。そんな時に出会ったパンクミュージックは、アグレッシヴで、怒りがあって、自分にはない “声” があった。パンクは俺に声をくれたんだよ。しかも当時、俺が育った場所では、世界の99%が「NO」って言ってるような環境だった。「おまえには無理だ」としか言われなかったんだ。でも俺は、「これが唯一のチャンスだ」って思ってた。だからこそ、必死で戦った。命を懸ける覚悟だったんだ。
SiiiCK 自分も同じです。今回のアルバムの曲を聴くと、パンクに夢中だった当時をスゴく思い出しました。「Born to Kill」を聴いた時、ブリッジであなたが歌う「俺は負け犬から頂点にのし上がる/孔雀みたいに気取って歩く反逆の詩人だ/変えてやる、この世界を組み替えてやる/気をつけな、もう俺の射程圏内だ」というラインには、スゴくグッときました。ああ、やっぱりマイク・ネスは今でも生涯パンクロッカーなんだと感じました。
マイク・ネス それはもう、自分の反逆精神の一部になってるし、権威に疑問を持つことや、自分のやり方でやるっていう姿勢そのものは、かなり早い段階で人格の一部になってるからね。だから、これは一生消えないと思うよ。
SiiiCK あと、「The Way Things Were」も名曲ですよね。
マイク・ネス ああ、あれは自分でもお気に入りの一つだよ。
SiiiCK 10代の日々を思い出すような曲ですよね。あなたがデニス・ダネルと一緒に過ごしていた頃のことも思い浮かびました。
マイク・ネス ああ、そうだよね。
SiiiCK 実はデニスとは、’90年代にSessionsのジョエル・ゴメスに紹介されて、友達になったんですよ。
マイク・ネス なるほど、つながりが見えるね。
SiiiCK Sessionsの横にあったカスタムカーの工場で、フォトセッションをやりましたよね。その時はランシドのマット・フリーマンもメンバーでした。
マイク・ネス ああ、思い出したよ。
Social Distortion - The Way Things Were (Lyric Video)
SiiiCK ニューアルバムに話を戻しますが、制作を始めたのは2012年頃ですよね。曲自体はずっと書き続けていたと思うのですが、その間に癌の治療も経験して、制作を中断しましたよね。
マイク・ネス 前のアルバムから15年も経ってしまったね。本当はそんなつもりじゃなかったんだけどさ。インタビューでもよく「何故15年かかったんですか?」って聞かれるよ。そのたびに、「ずっと休みなくツアーしてたし、両立が難しかった」って答えてるんだ。でもよく考えてみたら、この15年間は人生でいろんなことがあったんだ。15年前は息子がドラッグの問題を抱えてて、法的なトラブルにも巻き込まれてた。それを乗り越える必要があったし、家族の生活もかなりの影響を受けた。その1年後にはもう一人の息子が鬱になって、サポートが必要だった。まあ、人生にはそういったことが起こるものだよ。両親は二人とも亡くなってしまったし、コロナ禍だってあった。それでようやくツアーを止めることにして、「よし、ちゃんと向き合おう」って思ったんだ。この20年間書いてきた曲を見直そうってなって。曲だけはずっと書き続けてたし、一度も止めたことはない。気づいたら40曲くらいあって、それを一つひとつ見ていく作業が必要だった。時間をかけて、曲を整理して、アレンジして、このアルバムのヴァイブスに合うかどうかを見極めていく。それで、最終的に11曲選んだんだけどさ。収録されなかった曲もかなりあってね。だから、この先10年はレコードを作り続けたいと思ってる。実は、今が一番クリエイティヴがイケてる時期だって感じてるんだ。だから、次の作品で15年も待たせることはないよ。それは約束する(笑)。
SiiiCK その間に癌の治療もありましたよね。
マイク・ネス ああ、その質問に答えると、診断を受けた時には、アルバムはちょうど半分くらい完成してたんだ。
SiiiCK YouTubeのオフィシャル映像『The Road to 'Born To Kill’』で、「もし自分のハイヤーパワー(上の存在)がまだここにいろって言うなら、自分にはまだ役割があるんだって思った」と話していますよね。音楽をやる意味など、癌の治療の前と後で変わったことはありますか?
マイク・ネス もちろんあるよ。あんな経験をして、何も変わらないわけがない。人生ってほんの一瞬で変わるものだって、強く実感したんだ。次の瞬間にはもういないかもしれない。だから、自分がいなくなる前の時間はどうだったのかって考えるんだ。ちゃんとそこに存在したのか、ちゃんと向き合ってたのか、愛せていたのかって。本当に、ものの見方が大きく変わったよ。それに、これまでも人生に感謝しようとはしてきた。これが初めて死に直面したわけじゃないしね。でも今は、それをもっと強いレベルで感じてる。ほぼ毎日のようにね。感謝をしてると、“今” という瞬間にちゃんといられるんだ。より意識的になるし、ちゃんと存在できる。いい精神状態になってるよ。
SiiiCK 音楽を続ける意味も、より強く感じるようになりましたか?
マイク・ネス ああ、もちろん。音楽はずっと俺の人生の目的だから。それに、今は2歳の孫がいるんだ。孫のおかげで人生は大きく変わったよ。癌の治療中は、まだ生まれてなかったけど、それが生きる目的になった。「会わなきゃいけない」「そばにいなきゃいけない」って思ってた。今でははっきりわかるんだよ、これが人生で最も大事な関係の一つになるって。祖父と孫っていう関係さ。伝えたいことがたくさんあるし。自分が人生で得てきた知恵を全部渡せるんだから。
Social Distortion - The Road to 'Born To Kill'
パンクロックの反逆精神と歳を重ねたからこその達観と祝福
SiiiCK 今回のアルバムを聴いて思ったのですが、バンドの状態が本当に素晴らしいんですよね。バンドの演奏も、あなたのヴォーカルも、ギタープレイも、最高の状態にあると思わされたたし、サウンドプロダクションもスゴくいいんですよね。
マイク・ネス ありがとう。デイヴ・サーディという、いいプロデューサーを選べたんだ。彼と俺で一緒に制作をやってるんだ。もう他の誰かとレコードを作る気はないね。彼とだけやりたい。それくらい最高の経験だったってことだよ。
SiiiCK それに、ソーシャル・ディストーションは、今なお進化し続けていると思いました。
マイク・ネス 確か、日本のことわざか、中国の思想か、はっきり覚えてないけど、よく読んでた古代の教えがあるんだ。「学ぶことをやめるな」とか、「変わることを恐れるな」っていうヤツ。でも結局はさ、自分らしくあることを恐れないってことだと思うんだ。それがパンクロックだよ。自分を信じること、自分はいい人間だって信じることなんだ。
SiiiCK その通りですね。
マイク・ネス それを信じ続けることなんだ。
SiiiCK あと、今回驚かされたのは、このアルバムには、パンクロックの反逆精神やエッジがありながらも、同時に、歳を重ねたからこその達観とか祝福のような感覚も感じられたことです。その二つはなかなか共存しないものだと思っていたので、驚かされました。
マイク・ネス でも、何でダメなんだ?(笑) 共存できないって、誰が決めたんだ? パンクロックにルールなんてないはずだろ?
SiiiCK その通りです(笑)。
マイク・ネス もちろん合わないものだってあるよ。でも “オープンマインド” っていうのは、パンクの本質の一つだと思うんだ。心が開いていれば、いろんなアイデアや思想、価値観を受け入れられるから。
SiiiCK 本当にそう思います。あと、これも驚かされたのですが、クリス・アイザックの1989年ヒット曲「Wicked Game」をカバーしていますよね。個人的に大好きな曲なので、カバーとして選ばれたことに驚きました。
マイク・ネス うれしいな。カバー曲はいつも慎重に選んでるんだ。できるだけあまり知られてない曲を選ぶことが多いけど、これはもう直感だった。カバー曲は基本、自分が歌いたいものを選んでる。この曲は美しい曲だから、「待ってくれよ! 俺はこの曲を歌いたいんだ」って強く思ったんだ(笑)。
SiiiCK 自分はあの曲を知ったのは、デヴィッド・リンチの映画『ワイルド・アット・ハート』がきっかけでした。
マイク・ネス ああ、もちろん。
SiiiCK 以前の取材では、カバー曲に選ぶのは、リビングルームで10年以上歌ってるような曲だと話していましたよね。
マイク・ネス そうだね。でも今回はちょっと違う。「Wicked Game」は他のアーティストもよくカバーしてるから、そのカバーもいろいろ聴いたよ。違うかなと思いつつも、自分でギターを弾きながら歌ってみたら、「ワオ、これは何かできるぞ」って思ったんだ。しかも、自分なりのやり方でね。
SiiiCK 完全にソーシャル・ディストーションの曲になっていて、素晴らしかったです。
マイク・ネス ありがとう。
SiiiCK 自分はデヴィッド・リンチもスゴく好きなんですけど、彼の描くカリフォルニアの闇の美学は、ソーシャル・ディストーションと通じる部分があると思うんです。
マイク・ネス そうだね。彼を失ったのは大きいよ。
SiiiCK ギターについても聞きたいのですが、このアルバムには印象に残るフレーズが多く、ギタープレイもさらに磨きがかかっていますね。
マイク・ネス ちょっとレベルアップしたと思うよ(笑)。
SiiiCK 「Partner in Crime」のギターソロが特にいいですね。
マイク・ネス あれは俺もお気に入りの一つだよ。ワウも使ってる。
SiiiCK 「Born to Kill」のミュージックビデオでは、後半のギターソロはジョニー・ウィッカーシャムが弾いていますよね。最近はソロを二人でシェアしているんですか?
マイク・ネス ああ、交代でやるのが好きなんだ。楽しいからね。
SiiiCK ローリング・ストーンズ・スタイルですね。
マイク・ネス そう、その通り。
Social Distortion - Partners In Crime
アルバムのアートワーク、ゲストとのセッション、オアシス、ツアー
SiiiCK 今回はアルバムのアートワークもいいですね。これは、あなたとシェパード・フェアリーのコラボになりますよね。
マイク・ネス そう、面白い話があってね。LAでリスニングパーティをやった時に、ブレット・ガーヴィッツと質疑応答をやったんだ。その時、彼がこのアートワークについてスゴく的確な言い方をしてくれてさ。「このアルバムのアートワークは、アイコニックで、かつ挑発的だ」って。その組み合わせがスゴくいいなと思ってさ。よく考えてみたら、音楽も同じだなって思ったんだ。シェパードとは友達だし、前にも一緒にやってるし、本当に楽しい制作になった。彼は自分が求めていたものを完璧に形にしてくれたよ。今回はアルバムのカバーを、’70年代後半のアンディ・ウォーホル的なポップアートに戻したかった。当時のパンクバンドは、セックス・ピストルズも、ブロンディも、どんなバンドもポップアートにしてたからね。スゴく強烈なステートメントだったし、目を惹くものだった。だから今回はそれをやりたかったんだ。
SiiiCK 描かれているヒョウもスゴく象徴的ですよね。
マイク・ネス ああ、あれはタトゥーを入れないと(笑)。
SiiiCK あなたのホットロッドのカスタムショップも、Black Kat Kustomsという名前ですよね。やっぱり犬派ではなく、猫派なんですね。
マイク・ネス そう、ずっと猫派だよ。
SiiiCK 「Born to Kill」のMVでも、ヒョウが襲いかかるような動きがあって、女性のシルエットが出てきて。猫と女性のイメージですよね。
マイク・ネス そうそう、その通り。危険な存在ってことだね(笑)。
SiiiCK 今回のアルバムの中には、ルシンダ・ウィリアムスとのデュエットもあるし、トム・ペティのキーボーディストであるベンモント・テンチも参加していて、パンクロックとはまた違う音楽のコラボレーションも楽しんでいますよね。
マイク・ネス ルシンダは何年も知り合いなんだ。この曲を書いてる時、デュエットがいいなと思ってね。ただ、可愛いすぎる声は違うと思ったんだ。だから、彼女の声は本当に自然にこの曲に溶け込んだよ。あと、レコーディングをやってる時、キーボード・プレイヤーがいなかった。最高のプレイヤーを探してた時に、俺はトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのファンだったから、ベンモントが参加したのは自然な流れだった。素晴らしいセッションになったし、いいインスピレーションをもらえたよ。
SiiiCK インスタグラムを見て気になっていたのですが、オアシスのファンになりましたよね。オアシスに何か特別なものを感じたのですか?
マイク・ネス 俺は完全にバカで、本当にカッコいいものを見逃してた感じだね。’90年代の俺は視野が狭かったから、ちゃんとよく見もせずに否定してたんだ。これは「Contempt prior to investigation(調査前の軽蔑)」って言うヤツだ。俺は完全に「有罪」だね(笑)。
SiiiCK 結果として、新たに好きなバンドを見つけた感じですか?
マイク・ネス いや、単にちゃんと向き合ってこなかっただけなんだよね。俺のプロデューサーがイギリスで観たって話をしてさ、「LAに来たら絶対観に行け」って言うんだ。「そんなに動き回るバンドじゃないけどさ。でも、10万人が一緒にシンガロングするのを体験したら、良い曲が持つパワーだけでも圧倒されるよ」って。それで、長男のジュリアンと一緒に行ったんだ。あいつはファンでね。もう最高の時間だったよ。一晩中ずっと楽しめたし、「何で今までちゃんと聴かなかったんだろう」って本気で思わされたよ。
SiiiCK 今年は北米ツアーが控えていますよね。それとリトル・スティーヴンのUnderground Garage Cruiseにも出演しますね。
マイク・ネス そうそう。あとはヨーロッパ・ツアーもある。秋には、俺たちとディセンデンツ、The Chatsで組んだツアーもある。
SiiiCK いいですね。でも、日本にはまだ2回しか来てないですよね。
マイク・ネス そうなんだよ。でも、新しいマネージメントとブッキングエージェンシーで、ちゃんと動いてるから、待っててほしい。日本はスゴく重要な場所だからね。2027年には日本に行けるように本気で動いてる。
SiiiCK 最後の質問になります。あなたの音楽は多くの人の人生を救ってきたし、自分もその一人になります。そんなあなたにとっての音楽とは何でしょうか?
マイク・ネス 信じられないかもしれないけど、音楽は俺自身の人生も救ってくれたんだ。これが俺のコミュニケーション手段だし、俺にとっては一番の表現方法なんだよ。しかも、自分の中に溜めてるものを外に出す方法でもある。だからこそ俺も救われたんだ。ただ、曲を書いてる時って、それが誰かの人生にそんな影響を与えるなんて思ったことはない。ただ楽しんでもらいたい、いい体験をしてほしいって思ってるだけで、それ以上のことになるなんて思ってないんだ。でも、そういう影響を与えてるわけだから、本当にありがたいことだと思ってる。
SiiiCK このアルバムを聴いてると、マイク・ネスは決して止まらない人だなって感じました。
マイク・ネス 決して止まらないよ。これが好きすぎるからね(笑)。

『Born To Kill』
(Epitaph Records)
2026年5月8日リリース

1. Born To Kill
2. No Way Out
3. The Way Things Were
4. Tonight
5. Partners In Crime
6. Crazy Dreamer
7. Wicked Game (Chris Isaak cover)
8. Walk Away (Don’t Look Back)
9. Never Goin’ Back Again
10. Don’t Keep Me Hanging On
11. Over You
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