’80年代には弟のマイク・ミュアー(スイサイダル・テンデンシーズ)も加わって、ヴェニスからカルチャーを発信していくリーダー的な存在となった。スケートボードを軸に、音楽、アート、さらにはスタイルとアティテュードが加わったのが、DOGTOWNというカルチャーである。
このSiiiCKの連載では、DOGTOWNを愛する様々な人たちに登場していただき、スケートボードとカルチャーのつながりとルーツを紐解いていきたいと思う。
第6回目は、1964年東京生まれ、カリフォルニア州ハンティントン・ビーチ在住の五十嵐勉さんが登場。10代でスケートボードのライダーになり、その後トップサーファーとして全日本選手権などで活躍し、1995年からはカリフォルニアに移住。五十嵐カノア、五十嵐キアヌという二人のサーファーの父親でもある。息子たちの活動をサポートし、家族で世界中を旅して回る中、YouTubeチャンネル『CCC|カリフォルニアカルチャーチャンネル』をプロデュースするなど、カルチャーの積極的な発信を行なっている。ここでは息子のキアヌとともに帰国中、東京・原宿で行ったインタビューを紹介する。
Photography: Ryusei Takano
JACKET (M51 Short coach jacket) ¥22,000
T-SHIRT (DT Jacquard border LS TEE) ¥16,500

スケートボード
SiiiCK 最初はサーフィンよりも先にスケートボードをやっていたのですか?
五十嵐勉 最初はスケートですね。生まれが日暮里で、地元がアメ横だったんですよ。スケートは6~7歳で始めて。映画『スヌーピーの大冒険』を観たのがきっかけですけど、舞台がカリフォルニアなんですよね。これはスケートを買わなきゃと思って。うちの近くのスポーツ店でスケートボードを買って。そこから始まりました。
SiiiCK スケートボードはどこまで極めたのですか?
五十嵐勉 太東にスケートパークがあって、そこでフリースタイルで1位を獲ったことがありますね(注:全日本選手権フリースタイル部門で優勝)。横浜のボウルでダブルスのコンテストでチーム優勝したこともあります。ムラサキスポーツのチームにいて、ローズ(松島勝美)とは同い年ですよ。アメ横には、今のムラサキスポーツの本店の向かいに、太平洋スポーツっていうのがあって。スケートは太平洋スポーツの方が強かったんです。そこではちゃんとオリジナルのウィールとかも作っていて。まだスケートボードが6インチの頃で、グラスファイバーからウッドに変わるくらいの時代で。みんな太平洋スポーツに溜まってたんですよ。それをムラサキスポーツが見て。元々ムラサキはスキーとゴルフとテニスばかりだったのが、太平洋スポーツの影響でスケートを置くようになったんです。
SiiiCK そんなことがあったんですね。
五十嵐勉 その時、ムラサキスポーツがハイヤーしたのが、伊東くんという、アメ横にあったミウラ&サンズでバイヤーをやってた人で。伊藤くんが入ってからムラサキのバイイングが良くなったんです。OP、BIRKENSTOCKを入れて、リーバイスの646も入れ始めたんです。それで伊藤くんとアメ横の古着屋仲間が、「次の2店舗目はどこへ行く?」、「竹下っていうのがある」っていうので、アメ横の人たちがまだ何もなかった原宿の竹下に移り始めて。ムラサキも2号店を竹下にしたんですよ。それを決めたのは伊藤くんで。伊藤くんはOPを日本で始めた人で、後々OP JAPANの社長になるんです。俺は伊藤くんと仲が良かったから、OPのモデルもやってたけど、「俺がモデルをやるよりも、久我孝男っていうスゴい子がいるから、あの子をモデルにした方がいいよ」って。ああいう子を集めてチームを作りなよって伊藤くんに言って、OPはあれだけブームになったんですよ。
15歳。松戸のサニーランドの室内スケートパークにて。当時関東にあったスケートパークは、渋谷、平和島、松戸、横浜のみで、雨になると室内パークの松戸にスケーターは集まってた。このパーク、その後はボウルが釣り堀に……

DOGTOWNのカルチャー
SiiiCK 勉さんがDOGTOWNを意識するようになったのは、いつ頃からですか?
五十嵐勉 スケートを始めた時から、「ZEPHYRに乗らなきゃ」と思ってましたね。ZEPHYRの一番最初のレインボーのタイダイのボードが欲しかったんですけど、手に入らなかった。それで、先輩に藤原くんと寺林くんというプロスケーターがいて。昔あった『SPORTS NOTES』にも出てた二人で。その二人の先輩がよくカリフォルニアに行ってたので、ZEPHYRを持ってきてくれたんです。そういう流れがあって、中学1年ぐらいの時にDOGTOWNだなっていう風になって。まだ日本には入ってなかったから、自分たちでDOGTOWNを描いて。千住に俺の友達がいるんですけど、家をガラガラっと開けると「DOGTOWN」ってスプレーで描いてあるんですよ(笑)。DOGTOWNはそこからずっとですね。
SiiiCK スケートボードからサーフィンに転向したのは、何かきっかけがあったのですか?
五十嵐勉 当時の日本のスケートって、中学生までだったんですよね。高校生はサーフィンに転向しなきゃいけないみたいな空気感が何となく流れてて。それと同時に、スケートパークがクローズしたんですよ。平和島も渋谷もクローズしたでしょ。その時に、じゃあもうサーフィンだなってなって。渋谷には中村大輔も来てたんだけど、彼もサーフィンに行ったんですよ。大瀧(大瀧浩史)たちはまだパークで滑れなかったんですけど、渋谷のパークがなくなった時に、スケートボードをやりたいということで、平和島に来るようになって。そこで大瀧に滑り方を教えてあげてたんだけど、平和島もなくなっちゃって。それからこの辺で滑るようになって、ストリート・スケートが流行ったんですよ。当時、カリフォルニアもパークがなくなっていったじゃないですか。それで、サンタクルーズでストリート・スケートというのが出来上がって。ジャンプランプで滑るようになって。クリスチャン・ホソイが出てくるんですよ。俺は千葉の海に行きながら、街では大瀧とストリート・スケートをやったり、太東スケートボードセンターでスケートをやったり。本当にDOGTOWNのヤツらがヴェニスでやってるようなスタイルを、太東でやってた感じですね。
SiiiCK サーフィンをやっている時も、DOGTOWNのカルチャーは好きでした?
五十嵐勉 ジェイ・アダムスとトニー・アルヴァしか見てなかったので。俺は長嶋茂雄、王貞治よりも、ジェイ・アダムス、トニー・アルヴァだったので(笑)。
SiiiCK ’95年にアメリカに移住しようと思ったのは何故ですか?
五十嵐勉 やっぱりスケートだね。当時、Big Oとかマリナ・デル・レイとか、スケートパークがあったじゃないですか。あれを見てみたくて。子供の頃はそこまで行けてなかったんですよ。マリナ・デル・レイ、ヴェニスってどういうところなんだろう?と思って。そこが気になってしょうがなかった。たまたまうちのかみさんがカリフォルニアにサーフィン留学で行ってたので、カリフォルニアの知識が詳しかったんですよ。それで、’90年ぐらいから一緒に行くようになって。’95年に夫婦で移住したんです。
SiiiCK 最初はハリウッドに住んでいたんですよね。
五十嵐勉 そうそう。ビヴァリー・センターの裏。子供たちは、どちらかというとサーフィンよりも最初はスケートで。スケートで行かせようかな、サーフィンで行かせようかなという感じでしたね。カノアという名前は、昔、Kanoa Skateというチームがあって、そこから取ったんですよ。ジェイ・アダムスがかぶってるFlyawayのヘルメットも、Kanoaというモデルなんですよね。レドンド・ビーチに昔からあるスケートショップに行った時ですけど、俺と同世代のオヤジが店番をやってて、Kanoa SkateのTシャツを着てたんですよ。「そのTシャツ、欲しいんだけど」って言ったら、「これは昔のヴィンテージだから。おまえには売れないよ。おまえは誰だ?」って言うから、「五十嵐」って言ったら、「五十嵐カノアの父ちゃんか? ちょうどおまえの息子のヒートを見てたところなんだ」って。裏を見たら、YouTubeでカノアのヒートを見てたんですよ。
SiiiCK カノアさんも最初はスケートをやっていたんですね。
五十嵐勉 そこいら中のスケートパークに通ってましたね。それこそトニー・アルヴァにスケートボードをもらってたし、トニー・アルヴァのスケートに乗せてました。

ジェイ・アダムス、トニー・アルヴァ
SiiiCK アメリカに来て、ジェイ・アダムス、トニー・アルヴァと実際に交流が始まった時に、改めて感じたことはありますか?
五十嵐勉 やっぱりスタイルだよね。ちょうどビヴァリー・センターの近くにトニーは店を持ってたので、そこによく通ってたんですよ。カノアにはスケートボードは本物を乗せなきゃと思って、トニーから譲ってもらって、ずっとトニーのスケートボードに乗ってたんです。トニーの店はオーシャンサイドに移るんですけど、それはDOGTOWNの映画の公開前ですよ。たまたま友達がオーシャンサイドでショップをやってて。行ったら、隣りにAlvaのロゴがあったんです。オーシャンサイドにもいいスケートパークがあって。カノアが6~7歳ぐらい、キアヌがまだ赤ちゃんの時に、そこまで行ってスケートをやらせて。何故かと言うと、ウッドのパイプでスゴく調子が良かったので。ハンティントンからわざわざそこまで通ってたんです。
SiiiCK その頃にはハンティントン・ビーチに住んでいたのですか?
五十嵐勉 キアヌが生まれてからすぐですね。その時は、ヴェニス、マリナ・デル・レイとか、波が良くてスケートができるところをいろいろ探してたんだけど、結局、サーフィンのメッカであるハンティントン・ビーチまで、ハリウッドから一気に行くことになったんです。ちょうどこの前、撮影でDOGTOWNのオフィスに行ったんですけど、ジム・ミュアーが、「五十嵐、よく来たな」みたいな感じで言ってくれて。「カノアとキアヌのことはよく知ってるよ」、「おまえの息子にはうちの息子がコテンパンにやられてるから」みたいな感じで(笑)。「ああ、そうか。本物のDOGTOWNの人がわかってるんだ」、「本当に認められたんだな」と思って、スゴくうれしかったですね。DOGTOWNって本物じゃないですか。ストリート・カルチャーの本物がうちの息子のことをわかってくれてるんです。しかもジムはキアヌが来たので、うれしくなったんですよ。
SiiiCK ジム・ミュアーに会ったのはその時が初めてでした?
五十嵐勉 初めてでしたね。クリスチャン・ホソイも今ハンティントンに住んでて、息子が仲がいいんですよ。そういうところでも今またしっかりつながってるんです。昔、’70年代、’80年代に俺たちが憧れてたスケートカルチャーがあって、息子たちもつながって、俺たちも本物になってきたなっていう感じがしますね。でもそれは、DOGTOWNの一番最初のチームにショーゴ・クボさんがいたから、日本人はスケートでやっていけるんじゃないかなっていうのがあったと思うんです。
SiiiCK 確かに、ショーゴ・クボさんの残した功績は大きいですね。
五十嵐勉 絶対に大きいよ。その後にトム・イノウエが出てきたでしょ。トム・イノウエなんて、SkateBoarderマガジンの広告で零戦を使ってるんだよ。トム・イノウエのInouye's Pool Serviceのステッカーもまた良くて。それもショーゴさんがいたからそこまで行けたわけだから。レスター・カサイがいて、クリスチャン・ホソイがいて、そこでゴールドメダリストの堀米雄斗くんまでつながってくる。ショーゴさんがいたから堀米くんがいるっていう、俺はその流れが絶対だと思ってて。俺たちがスケートボードを諦めなかったのは、ショーゴ・クボさんがいたからだと思うんです。
SiiiCK アメリカと日本のつながりが積み重なっていった感じがしますね。
五十嵐勉 トニー・アルヴァがドッグボウルで神風とかやってるでしょ。あれはショーゴ・クボの日本からのお土産だから。ショーゴさんが初期のDOGTOWNのチームにいたから、日本のカルチャーともつながってるし、ファッション・カルチャーともつながってる。俺はZ-Woodyのショーゴ・クボ・モデルに乗ってたからね。6インチの頃で、Z-Flexでなく、Z-Woodyっていう、Zが初めて作ったウッドのボードで。その「Z」って、ZEPHYRのZなんですよ。
SiiiCK ‘70年代から始まって、50年の年月を経て、2周も3周もした今、またDOGTOWNの価値が高まっていますよね。
五十嵐勉 やっぱり本物だと思うね。途中、DOGTOWNは日本では不良っぽい感じのブランドになったけど、それが今はきれいになくなってる。ちゃんとカルチャーとして見ると、やっぱりあのロゴってスゴいなと思うんですよ。俺も作ってもらいたいものがあるから、ジムに頼もうかな。50本だけ作って、ちゃんとシリアルナンバーを入れて、作ってもらえないかな(笑)。
Cap (Cross logo low twill cap) ¥5,940
JACKET (Work Track jacket) ¥19,250

M51 ショートコーチジャケット ¥22,000
カラー:ホワイト、ブラック、コヨーテ
サイズ:M L XL
素材:綿60% ナイロン40%

DT JACQUARD BORDER LS TEE ¥16,500
カラー:Cream、Navy、Black
サイズ:M L XL
素材:綿100%
https://www.dogtownskateboards.co.jp/ja/products/dt-jacquard-border-ls-tee

Cross logo low twill cap ¥5,940
カラー:C.Gray、Black、Navy、Beige
サイズ:ONE SIZE(56-60cm)
素材:綿100%
https://www.dogtownskateboards.co.jp/ja/products/low_twill_cap

ワークトラックジャケット ¥19,250
カラー:ブラック、グレー、スレート、ブルー
サイズ:M L XL
素材:ポリエステル80%、綿20%
https://www.dogtownskateboards.co.jp/ja/products/dogtown-work-track-jacket-black

DOGTOWN
https://www.dogtownskateboards.co.jp/ja
Instagram: @dogtownskate_jp
Facebook: @dogtown.jp
五十嵐勉
Instagram: @tom_igarashi
『CCC|カリフォルニアカルチャーチャンネル』
YouTube: @cccbycalicreator
SiiiCK Official
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