ミリタリー、トラベル、ロックンロール、写真といったカルチャーを背景に、ストリート・ブランドの新しい可能性を打ち出してきたLiberaiders®︎。その根底にあるのは、メディアやハイプを信用せず、自ら旅に出て、自分の目で世界を見て、既成概念やカテゴライズにとらわれないものづくりを続けてきたMei Yongの姿勢だ。
これまで世界各地を旅してきたMei Yongが、2026年秋冬シーズンの旅先に選んだのは、アメリカ・カリフォルニア州のサンフランシスコ。1960年代のサマー・オブ・ラブを始め、反戦運動やヒッピー・カルチャー、ロック・ミュージック、スケートボードなど、様々なカウンターカルチャーが交差してきた街だ。一方で現在は、シリコンバレーを背景にAIやテクノロジーの最先端を走り、無人タクシーが街を行き交う。古いカウンターカルチャーと未来のテクノロジーが同居する、サンフランシスコならではのコントラスト。
今回のコレクションでは、Mei Yongが実際にサンフランシスコの街を歩き、様々な人と出会い、そこで感じたものが、Liberaiders®︎ならではの視点で落とし込まれている。
Photography: Mei Yong
サンフランシスコと自分が生まれた時代
SiiiCK カリフォルニアというと、LAに行くことが多かったですよね。サンフランシスコはメイさんにとって、どのようなところになりますか? 若い時に憧れたイメージ、音楽とかカルチャーもあったと思いますが。
Mei Yong 僕にとってサンフランシスコというのは、自分が生まれた時代のカルチャーというイメージがまず強いんですよ。僕は1967年生まれで、ちょうどその頃のサンフランシスコは、サマー・オブ・ラブとかフラワーチルドレンのムーブメントがスゴかったんです。と同時に、僕は中国で他に何も情報がない中で生まれてきて。海外の情報も、ロックンロールも、何も入ってこなかった時代なんですよ。1967年の中国は、ちょうど文化大革命の真っ最中だったので。
SiiiCK ある意味、スゴい年に生まれたんですね。
Mei Yong そうなんですよ。そういう時代にサンフランシスコでは、ジャニス・ジョプリン、ジミ・ヘンドリックス、ジェファーソン・エアプレイン、グレイトフル・デッドといったバンドが出てきて、自由とラブ&ピースのカルチャーが盛り上がってたんです。僕はまだ何もわかってなかったし、そのことは大学で日本に来てから知ったんですよ。そこから歳を重ねるにつれて、自分が生まれた時代に、他の世界ではどうなっていたのかに少しずつ興味が湧いていって。それを考えた時に、何か運命を感じたんですよね。
SiiiCK なるほど。
Mei Yong まず'80年代の音楽を全部聴いて、オンタイムで'90年代、2000年代の音楽を全部聴いていって。その次はその前に何があったのかを逆に知りたくなったんですよ。でも、僕のサンフランシスコのイメージと言ったら、チャイナタウンとかゴールデンゲートしかなくて。だから、何故あの時代の音楽はサンフランシスコから生まれたのか、それがけっこう不思議で。そこからどんどんルーツを知っていった時に、「あ、これは面白いな」と思って。それで、サンフランシスコに一回遊びに行った時に、この街はロサンゼルスとは全然違うなと思ったんですよね。ロスにはどこかリラックスした感じがあって、ビーチもあるし、毎日が晴れてるイメージだけど、サンフランシスコはちょっとシリアスなんですよね。でも、何がシリアスなのかはわからない。街を歩くのも不便だし、坂道ばかりで、ロスと同じカリフォルニアだと思えないんですよ。しかもサンフランシスコって、ロスにはない、シティって感じがするんですよね。

SiiiCK LAは広大な郊外って感じがしますからね。
Mei Yong そうなんですよ。あと、服装も全然違うし、四季の変化もちゃんとあって。それがサンフランシスコの印象ですね。それに、ベイエリアと言っても、オークランドは橋を渡るだけで、サンフランシスコとはまた全然違うし。サンタクルーズにしても、ブランド名になるくらいカルチャーの街だと思ってたら、小さな村みたいな感じじゃないですか。それで、1時間半車で走ったら、シリコンバレーがあるから。スゴい不思議なものの集まりみたいな感じがしたんですよ。
SiiiCK 確かに、ベイエリアと一言で言っても、全然違いますからね。
Mei Yong 僕は'90年代からずっとアメリカに通っていて、世界最大のスケートボードの会社、Dwindleと仕事をスタートすることになるんですけど、そこにenjoiというブランドが出来て、うちの会社で代理店になって。enjoiはサンノゼにあって、サンフランシスコに近いんですけど、スケーターがサンフランシスコともまた違うんですよね。1時間半ぐらいしか離れてないのに、サンノゼの方がハードコアなんですよ。
SiiiCK スケートボードのメディアにしても、サンフランシスコにあるThrasherの方が、サンディエゴにあるトランスワールドよりもハードコアだったりしますからね。

サンフランシスコで見て経験したこと
Mei Yong 今回、ルックブックを撮りに行った時に、現地のスケートショップの紹介で、Thrasherの本部を訪問させてもらえたんですよ。僕からすると、ミュージアムみたいなところで、今までの雑誌も全部あって。本部から歩いて5分のところにウェアハウスがあって、そこでTシャツを刷ってるんですけど、別に目新しいデザインのTシャツとかは何もなくて。何も変わらずにやってる感じなんですよ。全然コマーシャル的な雑誌にも見えなくて、何かローカル雑誌で好きなことをやってるような感じがしたんですよね。

SiiiCK パンクのアティテュードもあるからですかね。
Mei Yong だから、サンフランシスコってどんな印象かといったら、僕にとっては、'60年代、'70年代の反戦運動とかヒッピー・カルチャーのイメージが強くて。でも、何故あのカルチャーがサンフランシスコで生まれたのかは、スゴく不思議なんですよね。何故、みんなそこに集まるの?と思って。生活環境にしても、正直、ロスよりもいいわけでは全然ないから。でも、オールドマネーがいっぱいあるから、大きな家もある。そこから坂を下っていったら、テンダーロインっていうスラム街になる。不思議なんですよね。
SiiiCK 坂道でいうと、昔のスティーヴ・マックイーンの映画のカーチェイスのイメージがありますね。
Mei Yong 今回のサンフランシスコは、観光の名所ももちろんだけど、スケートボードのシーンにもいろいろ行けたし、ヒッピー発祥の地、ヘイト・アシュベリーにも行けたし。Thrasherの本部だけでなく、Deluxeにも行けて。 ジム・シーボーはレジェンドすぎて、しかも初めて会う人だったので、写真を撮らせてくださいとは言えなかったですけど。

SiiiCK これまで、Liberaiders®︎のコレクションの旅先として、LAとジョシュア・ツリーにそれぞれ行きましたが、今回サンフランシスコに行ってみようと思ったタイミングは何かあったのですか?
Mei Yong 元々、サンフランシスコは2020年のテーマにしようとしてたんですよ。そしたら、コロナが始まってしまって行けなかったんです。それで、仕方なく東京をテーマにして1シーズンやったというのがあって。実は、サンフランシスコは前々からやりたかったんですよ。僕の中では聖地の一つだし、逆にあの時にやれなくて、今がちょうどいいんじゃないかと思ったんです。6年経ったし、いろいろ準備もできたし、気になってるところにも全部行けたから、スゴく楽しい旅になりましたね。
SiiiCK そういうことだったんですね。
Mei Yong 例えば、ビートニク文学の発信地として知られている、City Lights Bookstoreにしてもそうで。有名な詩人のアレン・ギンズバーグの詩集を出版してたりする、そういう店が今でも存在するのは、何かサンフランシスコらしいなって思うんです。

SiiiCK 他にも、行きたかったところには行けました?
Mei Yong 今回、ゴールデンゲートをきれいに撮れたのは良かったですね。今まで三回行ったんですけど、いつも霧だったので。今回は、7日間霧がなくて、晴れてたんですよ。あと、バークレーにも行きましたね。 マックス・シャーフのガレージにも行きました。
SiiiCK ヘイト・アシュベリーはどうでした?
Mei Yong 正直、このストリートをゆっくり見たことはなかったんですよ。いつも行って買い物して終わりだったけど、今回は一軒ずつ回ったんですよ。スケートショップ、FTCのケントさん(ケント・ウエハラ)は昔から知ってたんですけど、たまたま彼がいなくて。その隣にある、Big Time Vintageのオーナーのボン(ボン・シグア)に全部案内してもらって。ヘイト・アシュベリーには、全米からヒッピーの格好して来てる人が多かったですね。いまだにそうしてる人がいるのが面白くて。ジャニス・ジョプリンみたいな女の子もいるし、聖地なんですよ。15年前に行った時と正直、何も変わってなかったのが良かったです。

SiiiCK 女性スケーターも撮影していますね。
Mei Yong エリッサ・スティーマーですね。サンフランシスコを代表する女性ストリート・スケーターで。表に一切出てこない人なんですよ。バート(BRAVOのパートナーであるバート・リクティ)に紹介してもらって、写真を撮らせてもらいました。あと、Thrasherのバウンサーと言われてるロスも、バートの紹介で撮りました。面白いのは、いろんな人の写真を撮る時に、他に撮った人の写真を見せるんですけど、「エッ? 何でエリッサ撮れるの?」とか「何でロス撮れたの?」って言われたんですよ。






サンフランシスコで受けたインスピレーション
SiiiCK 今回のサンフランシスコで、改めて発見したことはありました?
Mei Yong 僕らは今回、丘の上にあるAirbnbに泊まったんですよ。それで下に降りていくとスーパーがあって、滞在中によく行ったんですけど、ガラが悪いんですよね。下に行けば行くほど悪くて、陳列してる商品も違うんです。貧富の差がハンパないなっていうのは感じましたね。あと、一番印象的だったのは、無人タクシーで。無人タクシーが多いから、Uberが逆に減ってるぐらいなんです。東京でもたまに、アンテナがいっぱい付いてる車がテスト走行してるじゃないですか。あれが普通に街中を走ってるんですよ。僕もサンフランシスコに行くまでは、ITの人たちが、「あと5年でAIがどうのこうの」って言ってるのを聞いて、「こいつらやっぱり狂ってるな」って思ってたんですよ。でも、あそこにいた1週間で、「普通のことを言ってるんだな」って感じましたね。無人タクシーが古いサンフランシスコのチャイナタウンを走ってるところを想像した時に、この国ってまだまだいけるなと思いましたよ。ヘイト・アシュベリーと、無人タクシーとのコントラストというのが、もう意味がわからなくて。
SiiiCK スゴいコントラストですよね。でも、ITの人たちって元はヒッピーですからね。
Mei Yong 発想にルールがないから。ルールのない人たちが作ったものがルールになるんですよ。それで、無人タクシーが自動運転してる中、スケーターたちは下り坂を頑張って滑ってるんです。
SiiiCK 何だか時空を超える感じがありますね。
Mei Yong 今まで行った旅先って、けっこうチャレンジがあったんですよ。初めてのアフリカとか、イスラム系の国、共産主義国とかが多かったので。でも今回、久しぶりにサンフランシスコに行って、スゴい新鮮だったし、プレッシャーがなかったんですよね。企画的にも、デザインがやりやすいというよりも、何か納得しやすかったんです。例えば、デッドヘッズが何をやってたのかとか、若い頃は知らない部分が多かったけど、今回のコレクションでちょっと伝わったらいいなと思ったり。グレイトフル・デッドのスゴいところは、権利とか関係なしに好きにライヴを録音していいというところじゃないですか。それで、みんなテープレコーダーを持って自由に録音して、そこから手書きでカセットテープを作って、ファンの間で交換できるようにしてた。そういうので、あのバンドのやり方が広がっていったんですよ。あと、サウンドシステムもハンパなかったしね。

SiiiCK コレクションのアイテムで、今回の旅からインスピレーションを受けたものはありますか?
Mei Yong スケーターが着てた、チャイナタウンのギフトTシャツからのインスピレーションがありますね。ヘイト・ストリートのイラストもあるのですが、デッドヘッズに描いてもらいました。ファーザー・バス(注:小説家ケン・キージーと彼が率いたグループ「メリー・プランクスターズ」が1964年にアメリカ横断の旅に出るために購入したバス)もあります。あと、サイケデリック・コーチ・ジャケット。これはグレイトフル・デッドの感じがあって、僕らの中では新しいんですよ。ジャニス・ジョプリンのTシャツに載せた歌詞もカッコいいんですよね。「Freedom's just another word for nothing left to lose(自由とは、失うものが何もないということの別の言い方に過ぎない)」って。Windows 95のインスピレーションもありますよ。

SiiiCK やはりサンフランシスコだからか、ツボを押さえたデザインが多いですね。
Mei Yong 僕が欲しいものを作ったので……何かね、湧いてくるんですよ。別に理解されなくてもいいかなとは思っていて。ただ、今回のコレクションが良すぎるから、次のシーズンが心配になりますね(笑)。
ブランド・ディレクター Mei Yong

Liberaiders®︎ Fall / Winter 2026

MICRO RIP-STOP PUFFER JACKET
¥52,800
モンスターパーカーをイメージした、ボリューム感のあるジャケット。表地には撥水素材を使用し、天候の変化にも対応。中綿にはThinsulate™を採用し、軽量でありながら高い保温性を確保。襟裏にはグリッドフリースを使用し、首元の快適性も向上。背面に刺繍、両腕にはリフレクタープリントのワッペンを配置し、デザイン面にもアクセントをプラス。軽量かつ機能とデザインを兼ね備えた防寒性の高いアウター

ZIP-UP DOWN JACKET
¥46,200
ほど良いダウン分量のジップアップダウンジャケット。ダウンとフェザーをバランス良く封入し、高い防寒性を確保。左胸とバックにはリフレクタープリントを配置し、デザイン面でもアクセントをプラス。レオパード、リアルツリー、ブラックと、大きく印象の変わる3カラーを展開


VELOUR SOUVENIR JACKET
¥41,800
ベロア素材の中綿入りスーベニアジャケット。スカジャンをデザインソースに、サンフランシスコのチャイナタウンをモチーフにした、ドラゴンのグラフィックを大判刺繍で施している。ベロア素材のスカジャンの上品なクラシックさと、サンフランシスコのカルチャーが融合した珠玉のアウター


PSYCHEDELIC COACH JACKET
¥30,800
ピーチスキンナイロンを使用したコーチジャケット。グラフィックはベトナム戦争など、時代の混沌を背景に、'60年代サンフランシスコで巻き起こったサイケデリック・アート・ムーブメントに着想を得ている。アート、音楽、思想が交差し、革新的な文化が次々と生まれた時代で、若者たちはそれらに影響を受け、意識を解放し、新たな表現を生み出していった。偉大なアーティストたちの作品にオマージュを捧げた一着

REVERSIBLE RETRO FLEECE ANORAK
¥33,000
古き良きアウトドアウェアをイメージしたアノラックジャケット。片面はフリース、裏面はナイロン生地のリバーシブル仕様。保温性と防風性を兼ね備え、シーンや気分に応じた使い分けが可能。ナイロン面にはサイドポケットとカンガルーポケット、フリース面にはサイドポケットを配し、両面ともに機能性を考慮。タウンユースはもちろん、キャンプなどのアウトドアでも防寒着として活躍する万能アウター


HANDWRITING CAMO COACH JACKET
¥35,200
ERDL迷彩を再現した生地を採用したコーチジャケット。ERDL迷彩とは、ベトナム戦争中にアメリカ軍によって開発された、ジャングル戦に特化した迷彩パターン。ハードウォッシュをかけた迷彩生地に、手書き風のグラフィックをランダムにプリント。裏地にはヘリンボーンツイルを採用、胸裏にはポケットも配置。ボタンにデザインされた13個の星は、1776年のアメリカ独立宣言時にアメリカを構成した州の数を意味している。1940~’50年代の軍モノによく見られるディテール。ヴィンテージライクな空気感とインパクトが抜群な一着

DEAD ROSE TIE-DYE TEE
¥13,200
5.6ozの天竺を使用したS/S TEE。ヒッピーカルチャーを彷彿とさせるタイダイ染めに、DEAD ROSE グラフィックがプリントされたスペシャルな一枚。’60年代サンフランシスコのカウンターカルチャーを象徴するバンド、グレイトフル・デッド。そのフロントマンの一人であるジェリー・ガルシアと、ランドマークであるゴールデン・ゲート・ブリッジをオマージュしたグラフィックがひび割れプリントされている。スケルトン&ローズはバンドを象徴するモチーフの一つであり、生と死、終わりと循環を内包しながら、自由に変化し続ける音楽性を示している

DEAD ROSE THROW BLANKET
¥16,500
今シーズンを象徴するDEAD ROSEのグラフィックを、ジャガード織で大胆に表現した大判スルーケット。ジャガード織ならではの、繊細かつ立体感のある表情が特徴。複数の色糸を巧みに織り込むことで、表情豊かなデザインに仕上げている。ほど良い柔らかさで身体に馴染みやすく、快適な使い心地も魅力。ひざ掛けとしてはもちろん、車内やソファ、ラグとして使用するなど、インテリアのアクセントとしても活躍するアイテム

LBR LOGO DAMAGED CAP
¥9,350
ボディにダメージ加工を施した6パネルキャップ。フロントには、某企業ロゴを彷彿とさせるグラフィックを刺繍で表現。バックにはLiberaidersのワッペンを配置。ヴィンテージライクな空気感を楽しめるアイテム
ニュートロン
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